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【徹底分析】「必然」のリヴァプール加入…南野拓実6つの長所、起用法を西紙分析官が紐解く

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昨季チャンピオンズリーグ(CL)を制し、今季は悲願のプレミアリーグ制覇とCL制覇を狙うリヴァプール。しかし、夏には即戦力の補強を行わなかった。“適切な選手”を“適切なタイミング”で獲得するのを待っていたのだそうだ。

そして、その“適切な選手”として1月に加入したのが、日本代表FW南野拓実だった。今季のCLグループリーグで対戦した際にはリヴァプール選手が衝撃を受け、獲得を進言するほどのパフォーマンスを見せた24歳は、1日についに合流。5日のFAカップ3回戦エヴァートン戦でのデビューが期待されている。

世界中が注目する南野だが、その長所はどこにあるのだろうか? そしてリヴァプールではどのように起用されるのだろうか? そもそも、ユルゲン・クロップとフロント陣はなぜ彼を獲得したのだろうか?

今回は、スペイン大手紙『as』で試合分析を担当する=ハビ・シジェス氏に、南野のプレー分析を依頼。フットボール大国でも高い評価を受ける分析官は、移籍を「必然」と断言した。

文=ハビ・シジェス(Javi Silles)/スペイン紙『as』試合分析担当
翻訳=江間慎一郎

■自然に訪れたステップアップ

2020-01-03 Minamino Takumi Liverpool

リヴァプールは電撃的、個性的、前衛的なフットボールによって欧州の頂にまで到達した。バルセロナがクラシックの音楽を奏でているならば、クロップの指揮棒が刻む拍は、まるでヘヴィーメタルのようだ。そして彼が演奏者に課す要求は厳しく、高いインテンシティーを発揮でき、素早く決断を下せ、少ないタッチ数で連係できることが必須となる。そして南野拓実は、そうした要求に応えることのできる新加入選手だ。

南野はレッドブル・ザルツブルクでの6シーズンで停滞することなく成長を続け、極めて自然な形でステップアップを果たした。クロップやリヴァプールのスポーツディレクターであるマイケル・エドワーズが、その瞳に彼の姿を焼き付けたのは決して気まぐれではない。リヴァプールとオーストリア王者は類似したスタイルを有し、これまでにはマネやケイタがイングランドへ渡り、この冬に南野の番がやって来た。リヴァプールとザルツブルクは力量差こそあれど、トランジション(この点でリヴァプールの右に出るチームはない)、相手を窒息させるようなプレッシング、さらには感情の発露においてエキスパートと称せる2チームであり、それは南野がアンフィールドで成功をつかむための保証になるはずだ。

■最大の長所

Takumi Minamino Hee-chan Hwang Salzburg 2019-20(C)Getty Images

南野の本格的なブレイクは、今季途中に訪れた。特にアンフィールドでの一戦(10月2日、CLグループリーグ第2節:4-3)では、違いを生み出せる選手としての特徴がすべて表われ出ていた。基本的なことをすべてこなせる万能さがあり、攻撃におけるプレーバリエーションが豊富で、DFとMFのライン間を主として巧みなポジショニングを見せることができ、ボールタッチは繊細そのもの。ザルツブルクではサイド、中央とあらゆる攻撃的な役割をこなしてきたが、特に結果を出していたのは1-4-3-1-2のトップ下を務めていたここ3カ月だ。ハーランド、ファン・ヒチャンの2トップの後方に位置した南野は、意図を持ったボールトラップによって前を向き、その広い視野からドリブルを仕掛け、ラストパスを出していった。彼はライン間で自分がボールを受けるべきタイミングを熟知し、そこから創造性あふれるプレーを見せることができる。また状況が求める場合には、中盤まで下がってビルドアップにも参加することを厭わない。

南野はトップ下だけでなく、両サイドを出発点としたプレーも得意とする。彼の長所の一つには明晰な判断力も挙げられるが、サイドから中央に寄って逆サイドで展開されていたプレーに絡んでいくのが非常に上手なのだ。例えば6-2の大勝を飾った今季CL初戦のヘンク戦では、サイドから姿を消して中央で効果的にプレーするファルソ・エクストレモ・デレチョ(偽右ウィング)として存在感を発揮。ショボスライとポジションを交換しながら、相手DF陣を混乱に陥れていた。加えて、南野はストライカーとしてプレーしても並の選手にはならない。体格やシュート精度こそ劣るものの、クロスが送られた際に見せるマークを外す動きや、両センターバックの間を突くプレーは見事なものだ(ただし、そうした役割については、ザルツブルクで務めることはほとんどなくなっており、日本代表でプレーしているときの方が頻繁に見られる)。

■必然の加入

Takumi Minamino Jurgen Klopp Salzburg Liverpool GFX

南野のポリバレント性、高い技術、戦術理解力は間違いなく、リヴァプールで様々な役割に適応する助力となる。ただし、レッズのトリデンテ(サラー、フィルミーノ、マネ)は現在のところ不動であり、3人の内の誰かが負傷したりローテーションが行われたりしなければ出場機会は限定されるだろう。そして南野にとって望ましいのは、フィルミーノの代わりにプレーすることとなる。彼よりも後方に下がり、トップ下としてサラー&マネという二発の弾丸を扱う役割だ。中央のレーンでプレーする彼は、リヴァプールのカウンターにおいて極上の潤滑油になり得る。その巧みなマークを外す動きでサイドに流れたり、ライン間で迅速・的確なプレーを見せたりして、確度のあるチャンスを導けるはずである。

南野はまた、サラー、マネの代わりにサイドでプレーしても有用だろう。彼の中央に寄っていく習性は、アレクサンダー=アーノルド、ロバートソンという深みを取る両サイドバックと親和性が高い。日本人が大外のレーンを明け渡すならば、彼らのオーバーラップはより大きな意味や効果を得ることになる。そうした観点から言えば、クロップが1-4-2-3-1のシステムを使用するときには先発で出場する可能性も高まる。リヴァプールは今季、ファビーニョが負傷していたエヴァートン戦とワトフォード戦で同システムを使用したが、その場合に南野はフィルミーノの後方でトップ下としてプレーするか、1トップに据えられるサラーの代わりに右サイドハーフを任せられるかもしれない。その一方で1-4-3-3のインサイドハーフは、ボールのありなしにかかわらず強烈な運動量を求められるために、少なくともそのポジションにおけるオートマティズムを獲得しない限りは難しいはずだ。

南野のプレーは、クロップ率いるリヴァプールの哲学に合致してはいる。しかし、それがプレミアリーグに挑戦する上でのいくつかの疑いを払拭するものにはならない。そのフィジカルはやはり頼りなく、守備を実践する上での強度、球際での争いのほか、ラストパスやシュートまで持ち込むまで相手の重圧に耐えられるのかどうか、不安が残る。リヴァプール加入前に披露したアンフィールドでの衝撃的なパフォーマンスについては、ロバートソンが監視を度々怠っていたことにも由来していた。

だがフィジカルを除けば、南野ほどリヴァプールにはまる攻撃的選手はいない。彼のアンフィールド到着は運命の気まぐれなどでは決してなく、純粋なフットボール的意図でもって生じた必然なのだ。

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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

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