このページにはアフィリエイト リンクが含まれています。提供されたリンクを通じて購入すると、手数料が発生する場合があります。
2019-11-20-japan©Kenichi Arai

強くなるための“我慢”なのか?惨敗のベネズエラ戦で見えた森保監督のマネジメント

 日本代表は19日、パナソニックスタジアム吹田で開催されたキリンチャレンジカップ2019でベネズエラ代表と対戦し、1-4の完敗を喫した。前半4失点は65年ぶりという惨敗が森保ジャパンに突き付けた課題は多い。ここでは特にこの試合からあらためて浮き彫りになった森保監督 のマネジメントにフォーカスする。【取材・文=飯尾篤史】

■失点を繰り返しても動かないベンチ

2019_11_19_moriyasu

 言われたことは忠実にやるが、自分たちで判断するのが苦手――。長らく指摘されている日本人の弱点を克服するうえで支払うべき高い勉強代だったのだろうか。

 前半のうちに4点を叩き込まれたベネズエラ戦のことである。

以下に続く

 用意していたプランがまるでハマらず、反対に、自陣に生じたギャップを論理的に突かれて失点を重ねる様子は、今年1月のアジアカップ決勝、カタール戦(1-3)のようだった。

 だが、失点を繰り返しても動かないベンチワークを見て思い出したのは、昨年のワールドカップのベルギー戦(2-3)とその後の森保一監督の言葉だった。

 日本が2点のリードを奪った直後、ベルギーはフェライニとシャドリを投入してパワープレーに打って出る。ここで日本ベンチはメンバー変更を検討するが、逡巡しているうちに失点を重ね、ゲームは振り出しに戻ってしまう。

 このシーンについて森保監督の話を聞けたのは、A代表の監督に就任して2カ月が経った昨年10月のことだった。ワールドカップでコーチを務めた森保監督は、植田直通の投入と5バックへの変更を強く提案できなかったことを悔やむ一方で、こんな風に言ったのだ。

「ああいう場面で選手たちがピッチ上で問題を解決できるようにならなければ、もっと先(ベスト8、ベスト4)には進めないんだろうな、とも思った」

■愚者のマネジメント

 選手の自主性を伸ばし、対応力や臨機応変さを身に着けさせる――。

 こうした考えは、ベルギー戦の教訓だけでなく、西野朗前監督のチームづくりから受けた影響も大きいようだ。

 ワールドカップの3カ月前に就任した西野前監督は、「自分は世界を知らないから、みんなで考えよう」と呼びかけ、選手たちから最適解が出てくるのを待った。のちに愚者のマネジメントと評されるのだが、これによって選手たちは意見をぶつけあい、最終的に日本代表は集団からチームへと変貌を遂げていく。

 その様子をコーチとして目の当たりにした森保監督は、就任会見でこう語った。

「あの短い準備期間でワールドカップに臨むとなれば、自分のやりたいことを選手やスタッフに詰め込むのが普通だが、西野さんは我慢や見守ることができる人でした。やりたいことはいっぱいあったと思うが、選手を急かしたりせず、チームの成長に必要なことを働きかけて与えていく。その、一歩待ったりする部分は凄かった。普通であれば、やってしまったり、言ってしまったりする場面で、選手たちのやる気を認めながらチームを作っていく。でも最後は、コンセプトを伝えながら短期間でチームを作るのは、なかなかできないこと」

 さらに今年6月のコパ・アメリカでも「プレーのクオリティを上げるには、お互いに要求し合うことが必要」と語り、「基本的なコンセプトや方向性は伝えるが、勝つためには、ピッチ内で修正して問題を解決していけるかどうかが大切。そこは我慢というか、強くなるためには当然のこと」と続けたあと、こうしたスタンスが「西野さんからの影響」だと認めている。

■試合途中で修正を施している

2019-11-20-japan-nakajima©Kenichi Arai

 1-4と完敗したベネズエラ戦で、戦術的なコンセンサスがまったく見えなかったわけではなかった。鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)と浅野拓磨(パルチザン)の2トップによって前から圧力を掛けたい思惑は感じられたし、相手のアンカー脇のスペースを2トップのひとりや中島翔哉(ポルト)に使わせたい狙いも見て取れた。

 だが、プランは空転し、早くも8 分に先制点を許したことで腰が重くなり、それによって生じたスペースをベネズエラにまんまと使われ、論理的に攻略された。

 このベネズエラ戦とアジアカップ決勝のカタール戦に共通するのは、試合途中で修正を施している点だ。ベネスエラ戦ではハーフタイムを挟んで[4-4-2]から[4-2-3-1]に変更。中島翔哉を左サイドハーフからトップ下に移してバランスを取り戻し、最終ラインに三浦弦太(ガンバ大阪)を入れてディフェンスラインを押し上げさせた。

 カタール戦でも2失点したあとにプレスの仕方を変えて、劣勢を挽回している。

 いずれも修正が遅過ぎる。だが、その遅さに、森保監督の我慢が感じられるのだ。対応力や臨機応変さを磨くために、あえて我慢して見守っている、というように。

 長い目で見て、覚悟を持って、我慢する――。それもひとつのマネジメントだろう。2次予選はそれでも勝てるし、親善試合の勝敗に一喜一憂する必要もない。自主性を磨いたうえで、最終予選やワールドカップ本番に向け、戦術的なアプローチをしていくのではないか。

 ただし、対応力や臨機応変さが求められるのは、選手だけではない。ベンチワークにおいても、求められるものだ。どこかで指揮官自身も鮮やかな修正力、対応力を示す必要がある。そうしなければ、ファン・サポーターの理解は得られない。

▶【Goal.com×鹿島アントラーズ】誰でもDAZN(ダゾーン)が2ヶ月無料に!詳細はコチラ|11月30日まで

【関連記事】
DAZNを使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZN(ダゾーン)をテレビで見る方法7つを厳選!超簡単な視聴方法を紹介
DAZNの2019年用・最新取扱説明書→こちらへ  ┃ 料金体系→こちらへ  ※
【簡単!】DAZNの解約・退会・再加入(一時停止)の方法を解説  ※
【最新】Jリーグの試合日程・放送予定一覧/2019シーズン
Jリーグの無料視聴方法|知っておくと得する4つのこと
「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

Goal-live-scores
広告