2018-02-22-shimizu-kitagawa

常に先を見据える北川航也…Jリーグでの活躍が日の丸のシャツへとつながる【J1注目選手:清水エスパルス】

■残留を決めたFK弾の裏にあったもの

始動は早かった。

「年が明けてから、開幕までもう1カ月半しかないんだなと。休む時間なんてないと思ってやっていました」

シーズン中にはできない筋力トレーニングに励む日々。それは準備の大切さを知っているからだ。

清水エスパルスは最終節に残留を決めるという劇的な形でシーズンを終えたが、こと北川航也のパフォーマンスに関しては、観ているものに「終わってしまうのがもったいない」と思わせるようなものだった。

「確かにそうですけどね。ただ、終盤のコンディションを今季フルシーズン出来れば、去年以上の結果が出るんじゃないかなとは思いましたね」

最終節のヴィッセル神戸戦、1点ビハインドを負った直後の19分、ボックス手前でFKを獲得。「自信がある自分が蹴った方が良い」と輪に駆け寄りキッカーとして名乗りを上げる。右足から放たれたボールは、バーをかすめながらネットに収まった。ここまでプロで直接FKからゴールを決めたことがない。それでも、自信を持っていたのは、それまでの準備があったからだ。

北川は、3月12日のトレーニング中に左足内転筋の肉離れで約2カ月間ベンチを外れている。その悔しい経験を踏まえて、

「毎朝体幹トレーニングをすることを日課にしました。それ以外でも、自分がサッカー選手として大事だと思うこと、例えば飲むもの、食べるものを全て見直したし、チームの練習を100%やるのは当然だけど、それに加えて自主トレーニングをしっかりとやるようになりました。当然、休みも大事なこと。睡眠もしっかりと取らないといけないですし」

と全てをサッカーに捧げた。ただ、元々「再発しないようにしたこと」が、ケガの防止だけでなく、目に見える結果としても現れるようになった。直接FKも、居残り練習でつかんできた自信の裏付けがあった。

今年はどんな北川航也を見せてくれるのか。

■自らの“形”の習熟と新たな“形”の確立

「もっと試合に出なければいけないし、もっと点を取らなければいけないし、もっとバリエーションも増やさなければいけない。クロスからの得点も少ないし、頭での得点もない。ペナの外からでも決められるとか、左右の足でも決められないと」

昨季は得点数こそ5点に終わったが、そのゴール全てがインパクトを与えるものだった。8月の月間ベストゴールに選ばれた第21節セレッソ大阪戦のヒール、第25節ヴァンフォーレ甲府戦の意表を突くシュートなど、様々な得点パターンを見せてくれた。それでも、満足することはない。

そもそも北川には確たるゴールの形があった。それを完璧な形で見ることができるのは、2年前、2016年の明治安田生命J2リーグ第17節FC町田ゼルビア戦のゴールだろう。六平光成が前線のスペースに蹴り出したボールに反応。ディフェンスの裏に抜け出すと、後ろから来た浮き球のボールをつま先でピタリと止め、GKとの一対一を冷静に決めた。ディフェンスの裏に抜け出してゴールを奪うこと。それは北川にしてみれば、簡単にゴールを奪える形だった。しかし、昨季はそれが観られなかった。ヤン・ヨンソン体制となった今季、ディフェンスの裏へ積極的にボールを出すことを要求し、FWにはそのスペースで勝負することを望んでいる。

「裏を取ることは、チームでは誰にも負けたくない。そこは極めていきたい」

と本人も意気込んでいる。しかし、それだけではないことも分かっている。

「自分の得意な形は、そこにボールが来たらという話。J1のレベルになると相手も警戒するし、自分が思っているようにはいかない。だからこそ、もっとバリエーションを増やさないといけない。『自分に合わせてくれ』というのではなく、チームに合わせないといけない。1人ではサッカーはできないし、みんなに生かされて点を取ることができると思うから」

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■Jリーグの先に見据える日の丸

得点数アップへ。そのために、その先に見据えるのは、チームの勝利であることはもちろんだ。しかし、今年に限ってはそれだけではないようだ。

「今年は危機感を持ってやっています。やっぱりワールドカップの年なので。『あいつ選んだ方が良いんじゃないの?』って周りの人が声を上げてくれるくらいになりたいし、ならないといけないと思う。そうなれば、たとえ今年出られなかったとしても、ワールドカップが終わって、また新しい代表になった時に呼ばれると思うから。だから、今年の(リーグが中断する)5月20日までが、まずは勝負になる」

クリスランが加わり、FWの争いは、激しさを増すばかり。公開された練習試合4試合全てで先発していた北川も、キャンプ後の練習からスタメン組と見られるチームからは外れている。

「開幕スタメンですか? そこは目指すところかもしれないけど、最終的にピッチに立ち続ける選手が良い選手だと思っています。開幕でスタメンを取れたら良いですけど、それが全てではない。スタメンでなくても、やることは変わらないし、結果を出し続ける努力を継続してできれば、使われるようになるんじゃないかなと。だから、開幕スタメンへのこだわりは特にありません。それより、一年を通して試合に出続ける、点を取り続けるということの方が大事。シーズンが終わったあとに、『チームのためになった』と言われるように、点を取りつつ、それ以外の部分でも評価されたら良いかなと」

今季への準備、ワールドカップへの準備、その先の代表への準備。北川航也は常に1つ先を見ている。

写真・文=田中芳樹

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