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川崎Fが優勝パレードでホームタウン凱旋…「祝!脱・無冠ターレ」に見る“フロンターレらしさ”

選手たちが乗り込んだラッピングバス。その先頭に記されていた文字は、なんと「祝!脱・無冠ターレ」だった。記念すべき初タイトルを獲得した川崎フロンターレが10日、衝撃的なフレーズを掲げて川崎市内で優勝パレードを行った。

“シルバーコレクター”としての歴史に終止符を打った2017シーズン。21年目の悲願成就に至るまで何度も寸前でタイトルを逃してきたからか、その悔しさを一蹴するかのような文言がバスの正面に踊った。

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クラブ在籍15年目でようやく初めてタイトルを手にした中村憲剛はパレード終了後、バスに記されたフレーズについて聞かれ、クラブのスタンスについて触れながら「散々言われましたからね。一気に皮肉ったんじゃないですか?フロンターレらしいといえばらしい。それをバスの一番前に貼るのもあまり考えられないですけど(笑)。まあ、優勝の時に風呂桶を掲げているんで、もはや何でもありかなと思いますけどね」と笑った。

この日はまず川崎市役所第3庁舎で福田紀彦川崎市長への優勝報告会を実施。クラブを代表してあいさつした藁科義弘社長は「トップチームが頑張ることはプロとして当然だが、地域と一緒にやってきたことがある。今年も1,000回を超える地域貢献活動を行った。昨年までは7年連続して『地域に貢献したクラブ』でトップに選ばれたが、今年は21年目にして本業でもトップを取ることができた。ただ、タイトルを取ったからと言って変わるわけではない。これからもサッカーを通じてホームタウンとともに歩んでいきたい」とコメント。クラブとして重視してきた地元密着の理念を今後も継続させていくことを明言した。

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その後、選手とスタッフは市庁舎前で2台のオープンバスに分かれて乗り込むと、中村憲剛がマイクを握って「会いたかったぜー!」と絶叫。「スタジアムでのあの景色と、今日のこの景色を見るためだけにやってきたんだと感じています。この景色を見たら、もう一回やりたくなってきました。また来年もこういう話ができるように頑張っていきます!」というマイクパフォーマンスでパレードがスタートした。

川崎市役所から川崎駅まで約30分間のパレードを見るため、沿道に集まったフロンターレのファン・サポーターは約5万人。途中、中村憲剛を中心に何度も掛け声に合わせてシャーレを掲げ、喜びを分かち合っていた。福田市長が「市役所通りがこれほど人で埋まったのは初めて」と話したように、沿道はまさに黒山の人だかり。バスの上から見ていた憲剛は「オレは人混みが苦手なんですけど、そういう中でもあれだけの人が来てくれた。沿道はもちろん、商店街の中で人が動くのがすごかった。うねりが生き物のようでした。オレたちしか見えなかったと思いますけどね」とパレードのフィーバーぶりを振り返っていた。

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ただし、この日は日本代表としてEAFF E-1サッカー選手権に参加している小林悠、谷口彰悟、車屋紳太郎、阿部浩之、大島僚太の5選手と、すでに離日してしまったブラジル人4選手が欠席。参加できなかった選手たちは等身大パネルがバスに乗り込み、“分身”が隊列に加わっていた。

クラブ在籍15年目にしてようやく歓喜の光景を目の当たりにしたバンディエラは、参加できなかった選手たちに対して「もったいないねー」と切り出し、「(日本代表の)試合がすぐにあるから、仕方がないけれど」と前置きしながら話を続けた。

「彼らに写真?送らないですよ。彼らには来れなかったことを後悔してもらいたいんで(笑)。しょうがないですけどね。(日本代表の)試合がすぐにあるんで。でも、これを体験できなかったのはかわいそうだなって。これを味わえたら、またみんなであそこへ行きたいと思うから。また来年、彼らがパレードに参加できるように、どれだけ良かったかをあとでしっかり伝えておきます。小林には『やっちゃったね。キミはパネルだけだったね』って言っておきます(笑)」

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地域密着を掲げ、ホームタウンとともに歩みながらJリーグの頂点を極めた川崎フロンターレ。その指揮を取った鬼木監督は「それがJリーグの理念でもあるし、そういうものを自分たちが先頭に立っていければいい。それが地域とクラブ、サポーターとのあり方においてプラスに働き、いろいろなところに波及していけば」と語る。さらに「来シーズンは自力で優勝してセレモニーでシャーレを掲げたい。そしてこの選手たちを、このサッカーを、世界で見てもらいたいという思いは強い」と来シーズンのリーグ戦連覇とAFCチャンピオンズリーグ制覇を視野に入れる。

ホームタウンのファン・サポーターと歓喜をともにした後、東京都内に移動して行われた優勝祝賀会ではスポンサーを始め、ここまでクラブを支えてきた関係者約1,300人が集まり、再び初タイトルの喜びを分かち合った。

優勝セレモニーで風呂桶を掲げ、自虐的なフレーズを掲げたオープンバスで優勝パレードを行う。あらゆることをポジティブなものに変え、ホームタウンとともに楽しみながら前へ進んでいく。願い続けたリーグ王者になっても、川崎フロンターレはスタンスを変えることなく突き進んでいく。

文=青山知雄

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