■完璧なリヴァプール
Getty通信簿を付けるとすれば5段階評価で“オール5”。それほど前半戦のリヴァプールは完璧だった。
開幕19試合で勝ち点55(18勝1分け0敗)は、プレミアリーグどころか131年のイングランドのフットボールリーグ史で最高記録だ。彼らは勝負強さも光っている。90分にジェイムズ・ミルナーのPKで勝った試合(第8節レスター戦)もあれば、第11節アストン・ヴィラ戦では残り3分から逆転した。唯一勝利を逃した第9節のマンチェスター・ユナイテッド戦でも、途中出場のアダム・ララーナが2年半ぶりのゴールでチームを敗戦から救った。
実は、昨季の得点王であるモハメド・サラー(9ゴール)とサディオ・マネ(10ゴール)は、2人とも得点ランクの上位に入れていないのだが、それもチームの強みとなっている。今季16名がネットを揺らしているのはリーグ最多。“日替わりヒーロー”が生まれる理想的な状況にある。
2位につけるのは、大躍進のレスターだ。世界中の人々に夢を与えた4年前の“ミラクル・レスター”とは違い、今のレスターは現実的な希望を与えている。優秀な指導者と計画性があれば、努力次第で一流と渡り合えることを証明した。夏に引き抜かれたDFハリー・マグワイアの穴を、1年前に獲得していたカグラル・ソユンチュが埋めたのは計画的な補強の賜物だ。守備の安定はリヴァプールとの共通点でもある。
一方で、最終ラインに不安を抱えたまま建て直しが利かなかったのがマンチェスター・シティである。史上5クラブ目となるリーグ3連覇を目指す彼らだが、DFアイメリク・ラポルテの負傷離脱でDFラインと中盤のシャッフルを強いられ、調整が上手くいかないまま3位で前半戦を折り返した。
レスターがトップ4に割って入ったため、いつになく激化するチャンピオンズリーグ出場権争いは、チェルシー、マンチェスター・U、トッテナムで残る1枠を争っている。クラブOBを監督に大抜擢した新生チェルシーは、良くも悪くも新鮮である。11月にはプレミアリーグにおいてクラブ史上最年少となる平均24歳88日のスタメンを並べ、その若さは試合中の積極性に表れている。だが同時に脆さでもあり、8年ぶりにリーグ戦ホームゲームで連敗を喫した。
マンチェスター・Uは、過去33年間で最低のスタートを切り、一時は14位に低迷した。だがオーレ・グンナー・スールシャール監督は現役時代から大一番に強く、現在8位以内にいるチームには負けていない。ポイントが伸び悩んだのはいわゆる格下相手に勝ち切れなかったからだ。
スパーズは、主力の去就問題を抱えたまま開幕を迎えると、一度も勢いに乗れずに11月に監督交代の荒療治に踏み切った。ジョゼ・モウリーニョ体制となり、ようやく浮上のきっかけを手にしたが、失点が減っていないのが悩みの種だろう。こうして振り返ると、トップ2を除けば上位勢も何かしら悔いの残る前半戦だった。
■MVPは…
Getty Images前半戦のMVPは、本来ならば独走中のリヴァプールから選ぶべきだろう。が、どうしても1人に絞り切るのは難しいため、17ゴールで得点ランク首位をひた走るレスターFWジェイミー・ヴァーディとする。ゴール期待値(xG)は「11.48」のため、予想より「5.52」も多く稼いでいる計算になる。この数字もリーグ最高だ。トップスピードからのフィニッシュはもちろん、クロスに合わせたり、切り返しからのシュートだったりと得点パターンも豊富。17点の内訳は、右足7、左足7、頭3と非常にバランスが取れている。監督の指示でゴールをだけを意識するようになり、完成されたストライカーへと変貌を遂げた。
■13季ぶり参戦でビッグサプライズ
Getty Images開幕前、「8位で年を越す昇格組がある」と聞いたら、大型補強を行ったアストン・ヴィラを思い浮かべる人が多かったはずだ。だが実際にエリートクラブと肩を並べているのは、13季ぶりのプレミア挑戦となったシェフィールド・ユナイテッドだ。彼らについては、3バックの攻撃参加で数的有利を作る“オーバーラッピング・センターバック”という言葉が独り歩きしているが、最大の特長はそれを可能にするシステマチックな動きとコミュニケーションの頻度である。常に互いをカバーするため穴ができないのだ。ここまで19失点は、首位リヴァプールに次ぐ数字。敵地でも決して臆さず、欧州5大リーグのクラブで最もアウェイゲーム(カップ戦を含め)の黒星が遅かったのが彼らだ。そんな組織力を植え付けたのはクリス・ワイルダー監督。クラブ内ではアヒルの子を連れて歩く「母親アヒル」と称されるほど求心力があるとか。
■期待を裏切った名門

いくら過渡期とはいえ、まさかアーセナルが12位で新年を迎えるとは誰にも予想できなかった。ウナイ・エメリ体制2年目は、CL出場権争いに参戦する前に崩壊したのだ。既にスタジアムの雰囲気は悪化していたが、決定打となったのは主将の人選だ。選手投票でMFグラニト・ジャカが選出されたが、彼を認めないファンの反感を買い、10月のクリスタル・パレス戦では大ブーイングがジャカを襲った。そのパレス戦以降、チームも1勝しかできておらず、12月には60年ぶりにホームでの公式戦4連敗を喫した。
11月末に解任されたエメリの後任としてOBのミケル・アルテタに白羽の矢が立った。就任後、2試合とも勝利を逃したがチームに連動性と活気が戻ってきており、後半戦の巻き返しが期待できる。しかし、今からトップ4との11ポイント差を埋めるのは至難の業。それにしても皮肉なことだ。好調レスターの主柱であるFWヴァーディとCBジョニー・エヴァンスは、過去にアーセナルが獲得に動いた選手なのだ……。
文=田島大
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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

