奇跡を後押ししたリヴァプールの秘密。今季躍進の舞台裏にあったもの…

Klopp Robertson Salah Liverpool
Getty/Goal
アンフィールドでバルセロナを圧倒し、トッテナムの待つチャンピオンズリーグ決勝へと駒を進めたリヴァプールだが、この奇跡を可能にした要因はいったい何だったのだろうか?

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■「実力」でリヴァプールに屈したバルセロナ

Jordan Henderson Liverpool Barcelona 2019

“You'll Never Walk Alone”がアンフィールドにこだまする中、セルヒオ・ブスケッツは試合後のインタビューで言葉を詰まらせていた。バルセロナのメンバー全員がそうであったように、彼はその時ショック状態にあったのだ。

KOP(アンフィールドのゴール裏スタンド)の前で、ジェイムズ・ミルナーが歓喜の涙を流していた一方で、ブスケッツは絶望に打ちひしがれていた。

昨年のチャンピオンズリーグ準々決勝セカンドレグで、ローマ相手に0-3の屈辱的な敗戦を喫したのはちょうど1年前のことだが、バルセロナはまた同じ過ちを犯してしまった。しかも今回は、準決勝で勢いに乗ったリヴァプールを相手に、情け容赦なく4ゴールを奪われたのだ。

「彼らは私たちより強かった」と、ブスケッツは潔く認めた。

「彼らは開始からずっとゲームに全力を注いでいた。サポーターにはただ謝りたい。ローマ戦のようなことは二度と勘弁だと思っていたのだが…」

溢れる涙に抗いながら、ブスケッツは次のように述べている。

「リヴァプールのようなチームにプレスをかけず、チャンスをものにできなければ痛い目にあうこととなる。他に言うことは見当たらないよ」

そこに言い訳はなかった。バルセロナは正真正銘、実力でリヴァプールに敗北を喫したのだ。「彼らは私たちよりも賢く、スピーディーだったんだ」。ブスケッツはそう口にしている。

フィジカルでも精神面においてもリヴァプールが優れていたことは、トレント・アレクサンダー=アーノルドの機転の利いたコーナーキックに象徴される。

これによりディヴォック・オリギに勝ち越しゴールを許してしまったバルセロナは、あっけにとられているようだった。指揮官のエルネスト・バルベルデでさえ、あの瞬間に何が起こったのか理解しておらず、気がついた時にはボールがネットに吸い込まれていた。

Ernesto Valverde Liverpool PS

とはいえ、アンフィールドでのリヴァプールの試合運びは予想通りのものであった。バルベルデは彼らがどのように戦ってくるのかが分かっていながら、それをしのぐことができなかったのだ。

「(リヴァプール相手に)どんなミスでもあってはならない。集中して戦い抜くことが必要だ」と試合前に語っていながら、自らの言葉を証明する結果となってしまった。

「圧倒的な勢いを持ったチームであり、15分あれば強引に押し切ろうとしてくる。そして多くの場合、それは成功するんだ」

■メンタル、フィジカルの両面で圧倒

Jordi Alba Trent Alexander Arnold Liverpool Barcelona UEFA Champions League 05/07/19

バルサは開始7分、そしてインターバル直後の3分の間に2点を与え、リヴァプールからの強烈なプレッシャーに押し切られた。

アンドリュー・ロバートソンとトレント・アレクサンダー=アーノルドの力強いサイドバックコンビは、フォワードを爆発させるためのチャンスを何度も創り出した。彼らによって、バルサはサイドの主導権を奪われたのだ。

一方、ブスケッツやバックラインはリヴァプールの攻撃陣に翻弄され、苦しみ続けた。その結果、いつもであれば冷静沈着なジョルディ・アルバでさえ、危険なエリアでのポゼッションを相手に許してしまっていた。

こうして明らかにフラストレーションの溜まったバルセロナは、自慢の正確なパスでの組み立ても機能せず、自陣からボールを持ち出すことに苦しんだ。

もちろん、前がかりになっていたリヴァプールの背後には大きなスペースがあり、リオネル・メッシはそこに侵入して50分までに3本のラストパスを供給した。しかしフィリペ・コウチーニョ、ジョルディ・アルバ、ルイス・スアレスはそのチャンスで決めきれず、リヴァプールの息の根を止めることに失敗した。

その直後、リヴァプールの「急襲」によってジョルジニオ・ワイナルドゥムに2点を奪われ、合計スコアでタイに持ち込まれたバルサはもはや逆転されるのを待つのみだった。

世界一のプレーヤーであるメッシのためのスペースは埋められ、バルサの攻撃は行き詰まる。そして、残り11分のところでそうした混乱につけ込まれ、オリギが決定的な1発を流し込んだのだった。

トーナメントの大本命相手のファーストレグを0-3で落としたにもかかわらず、それをひっくり返したチームについてユルゲン・クロップは、「とんでもないメンタルだ」とチームを称賛していた。一方のバルベルデは、リヴァプールのプレッシャーに対処することは「フィジカルというよりも精神的なチャレンジ」だったと語っている。

しかし、リヴァプールがそうしたプレッシャーをバルサに対してかけ続けられたのは、精神力の問題だけではない。彼らが並大抵ではない体力の持ち主でもあるからだ。

リヴァプールはこの伝説の逆転劇の裏で、間違いなくプレミア史上最強のチームであるマンチェスター・シティとプレミアリーグのタイトルを激しく争っていたのだ。

しかし、バルサ戦で彼らに疲労の色はまったく感じられなかった。どうしてか?

クロップ政権が獲得してきた主要な人物としてよく名前が取りざたされるのは、モハメド・サラー、ヴィルヒル・ファン・ダイク、アリソン、ロバートソン、サディオ・マネといったところであり、確かに彼らは名を上げるだけの活躍を見せてきた。

しかし、アンドレアス・コルンマイヤーやモナ・ネマーといった存在も、リヴァプールの大逆転劇に欠かせないものであったといえるだろう。両者はともに2016年にバイエルン・ミュンヘンから加入し、アンフィールドに大きなインパクトを残してきたのだ。

■知られざる2人の重要人物

2019-05-29-kornmayer

実は、ネマーとはクラブの栄養学のヘッドに就任した人物であり、メルウッド(リヴァプールのトレーニング施設がある場所)における最重要人物の一人だ。

ファーストチームのメンバーやスタッフの食事のプランを作成し、監督する立場として、彼女は実質的にリヴァプールの「燃料」についての責任を負っている存在なのだ。

「私は多くの人が考えるような、典型的な栄養士ではありません」と話すネマーはクラブ公式サイトで、仕事についてこのように説明する。

「私にとっての大きな仕事は、科学に基づく理論的な側面と、実践的な側面とをすり合わせることです」

「それは、私がメルウッドでシェフや献立を管理することを意味しています。試合前日や試合当日のメニュー、そして試合後のバスの中で何を食べてよいのかなど、状況に応じた栄養素を考え、購入する食材の品質をケアしているのです」

「そうした仕事は、食べるタイミングや試合前に最後に口にするものにも及びます。中には自分で料理をしたり、テイクアウトを好む選手もいますが、そうした選手にも個別でアドバイスを行っています」

「もし選手が料理のレッスンを望んでいれば、それが選手の妻やガールフレンドだったとしても喜んで彼らのニーズに応えます」

「フットボールとは、忍耐強さだけでなく力強さも求められる難しいスポーツです。そのため私は、常に知識のアップデートに努め、学術機関とのつながりを保つことで自分のレベルを更新し続けているのです」

ここまで、クロップがネマーの仕事に満足していることは疑いようがない。彼はネマーの才能を見込んで、クラブに対してレストランの開店やレシピ本の出版を提案したほどだ。

そして、ネマーがチームに燃料を供給しているとすれば、コルンマイヤーはリヴァプール・マシンがスムーズに動くように整備を請け負うメカニックだ。

彼がリヴァプールのフィットネス・コンディショニング部門のヘッドに就任して以来、チームの力強さが増していったことは決して偶然ではない。

コルンマイヤーは、ファーストチームのフィットネスコーチであるコナル・ムルタとともにフィットネス・トレーニングを指導した。こうして彼は、選手たちがクロップの求めるスタイルに適応するため、非常に重要な役割を担ったのだ。

■チームへの信頼感を深める選手たち

Jurgen Klopp FC Liverpool 2019

選手たちは、一人ひとりが自分に合った体の管理方法を持っている。

たとえば、ミルナーやサラーといった選手はゲーム後のリカバリーが早いが、デヤン・ロブレンやアダム・ララーナといった選手にはしっかりと時間をかけて、別メニューを与えなければならない。こうした管理をすることで、ケガのリスクや疲労の蓄積を最小限に抑えようとしている。

クロップはコルンマイヤーと彼のチームに全幅の信頼を置いており、スタメンや途中交代選手の決定の際に彼らがしばしば最終的な判断を下していることを認めている。

「彼は、チームのためになるすべてのことを統括する絶対的な存在なんだ」

かつてのボルシア・ドルトムントの指揮官は、容姿も自らと瓜二つなコルンマイヤーについてそのように語っている。

「彼は最高のプレーヤー、最高のコーチ陣のもとで一緒に戦ってきた経験豊富な男なんだ」

「この仕事において教育と経験は最も重要な要素であり、彼はその2つを完璧なスタイルで組み合わせられるんだ。彼は私たちのコーチ陣に完璧にフィットしたよ。ここに来るまで彼のことは知らなかったが、本当によくフィットしてくれたと思う」

「彼は頭が良いし、優しくてユーモアもある。そしてそれはとても大事なことなんだ。毎日多くの時間をともに過ごす相手がつまらない人間なんて耐えられない。彼はその正反対の人間なんだ!」

「選手たちは恩恵を感じていると思う。フィットネスは今日やって明日成果が出るようなものではない。次のレベルに達するために正しいトレーニングを行い、それを繰り返すことがすべてなんだ」

リヴァプールは今シーズンにこうした積み重ねをおこなってきた。それに加え、戦術を考える上ではクロップが重要な役割を果たしてきたことは言うまでもない。

今シーズンのリヴァプールは慎重なアプローチを実践した。フルスロットルな戦い方によって、サラーをはじめとした選手が多くの得点を生んだ昨シーズンのやり方をアップデートしている。

昨季と比較して若干保守的になり、必要であれば進んで体力を温存できるようになったのは、選手たちがより一層チームに対して信頼を置くようになってきたからに他ならない。

ファン・ダイクが影響力を強め、ワールドクラスのゴールキーパーであるアリソンが加わったことで、彼らはこれまでに増してバックラインに安心感を得ることができたのだ。

■実を結んだメルウッドでの取り組み

Melwood Training Ground

リヴァプールはまた、プレスをかける時間帯やその長さといった点においても昨年よりも考えたプレーをするようになった。その結果として効率的な試合運びが可能となり、より優位にゲームを進めているように見える。

今シーズンと昨シーズンの順位表を見比べてみれば一目瞭然だが、リヴァプールはマンチェスター・シティとの差をずいぶんと縮めることに成功したのだ。

今のリヴァプールは、ペップ・グアルディオラがハイプレスを徹底してバルセロナの一時代を築き、多大な成功を残してきたときのチームと比べても遜色がないほどだ。

フットボールのデータを扱う『Opta』の統計によれば、2018-19のプレミアリーグにおいてリヴァプールは、相手陣地からの攻撃につながるハイ・ターンオーバー、スタート・ディスタンス、リカバリーといった項目ではシティに次いで2位だったが、興味深いことに、自陣からのカウンターの数、カウンターからのシュート、カウンターからのゴールといった項目ではチャンピオンを上回っていたのだ。

さらに、アリソンは他のどのゴールキーパーよりも多い回数のスプリントをこなしており、これは、彼の補助的なスイーパーとしての役割の重要性を示すものだ。また、リヴァプールはスプリント回数の全体のトップ6に3人の選手(2位ロバートソン:676回、3位サラー:667回、6位マネ:579回)をランクインさせている。

要するに、リヴァプールがメルウッドの食堂とトレーニング施設で行ってきたことが、今となって目を見張るほどの成果を出しているのだ。

リヴァプールの成功のレシピはもはやシークレットではない。ただ、バルベルデ率いるバルセロナが苦杯をなめたように、リヴァプールがどんなチームであるのか分かっていることと、それを実際に食い止めることとの間には大きな隔たりがあるのだ。

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です

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