2019-12-18 Minamino Takumi SalzburgGetty Images

南野拓実の真価と進化。欧州での5年間で得たもの

■ザルツブルクで求められたこと

ザルツブルクに南野拓実が加入したのは2015年1月のこと。冬の移籍でそれまで主力だったスロベニア代表MFケビン・カンプル(現ライプツィヒ)の後継者として活躍を期待されていた。カンプルはピッチ上のどこにでも顔を出す運動量、ダッシュで何度も往復できるインテンシティ(プレー強度)の高さ、それでいてボールをどこからどこへ運べばいいのかを熟知しているインテリジェンスを兼ね備えた選手だ。

当時監督だったアディ・ヒュッター(現フランクフルト監督)は南野について「トレーニングで彼は才能を見せてくれている。まだ時間が必要だ。それは我々もわかっていたし、そのための時間を与える」とデビュー戦となったヴィナーノイシュタットとの試合後にコメントを残している。素質に対する評価は当時から高かったが、それをコンスタントにやり続けられることが求められていた。欧州では、いいプレーを一つできれば合格というわけではなく、1点取れたからとすべての評価がガラッと変わったりもしないのだ。

以下に続く
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まず、ザルツブルクには明確なプレーコンセプトがある。監督が変わっても、選手が変わっても、要求されるプレーは変わらない。

チームでは、素早い攻守の切り替えの連続を可能にするための、攻守両面におけるインテンシティー(プレー強度)が生命線となる。ダッシュでボールを奪いに行ったあと、すぐにまたダッシュで裏のスペースに飛び出し、ボールを失うとまたダッシュで戻る。これをどれだけの頻度で繰り返しできるかが重要で、それだけの負荷の中でも冷静な判断力で確かな技術を発揮できるかということも求められる。

「監督が一番に言うのは攻守の切り替えの速さ。そこですね。良い守備が良い攻撃につながるところを練習からやっている」

デビュー戦後の南野のコメントだ。これは一朝一夕で身につくものではない。やるべきことが何かを理解するまでにはそこまで時間はかからない。事実南野は1年もする頃には、すっかりザルツブルクスタイルがどういうものかを把握していた。

■課題も克服

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しかし、実際ピッチでそのスタイルを体現するのは頭で理解するのとは別物。リーグ戦で、そしてヨーロッパリーグでゴールに絡むシーンはどんどん増えてきても、1試合を通してみたときにやや物足りない。一つひとつのアクションにどこまで関われているか、常に次のプレーへのイメージを持って準備ができているかというところで、消えてしまっている時間帯が少なくないところが課題となっていた。

ザルツブルクは欧州屈指の若手タレントたちが集まるクラブ。ほとんど考える時間がない中で常に最適解を見つけ出すのは至難の業だが、チームの主軸となる選手にはそれが求められていたし、主力選手たちにはそれがあった。

南野はチームのスタイル同様、走り、ハードワークを続けた。苦悶する時期もあっただろう。どれだけ努力をしてもその先には進んでいる選手たちがいる。だが、そこで踏ん張り、自分と向き合い、サッカーと向き合い、毎日できるだけのことに取り組んでいく。そんな日々があったからこそ、いつの日か、蓄えられた力を自然と出せるようになっていたのだ。

そしてついに今季、努力は結果という大輪の花を咲かせた。CLでの活躍は偶然ではなく、急に南野が変わったわけでもない。それだけのことをやってきた男が、ようやくふさわしい舞台で、何一つ臆することなく、自分に宿る力を引き出したに過ぎない。

■リヴァプールに評価されたポイント

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欧州挑戦から5年のときを経て、南野はザルツブルクのサッカーを誰よりも体現できる選手となった。

フィジカルレベルは大きく向上し、ダッシュを何度繰り返してもプレー精度は落ちることがない。どんな状況でも下を向くことなく、最後の最後まで足を止めることなく走り続けられる。

幹となる部分はどんどんと太くなり、枝葉となる部分はみるみる広がっていった。サッカーの何かを体現する選手ではなく、ましてや何かが一つだけできるというレベルでもない。あらゆるプレーをハイレベルで実践することができるハイブリットタイプで、“サッカーそのもの”を体現できる選手となった。だからこそ欧州でも高く評価され、CL王者リヴァプールは南野の獲得を決断したのである。

磨きのかかった南野の「スペースに顔を出してパスを引き出す」、「攻守に連続してプレーし続けることができる」、「次の攻撃につなげるポジショニングが取れる」、「そしてどんなところからでもゴール前に飛び出していける」というストロングポイントは、リヴァプールのスタイルにもかみ合い、必要とされる能力だ。

順応するためにはまた時間が必要となるかもしれない。これまで以上にレベルの高いポジション争いが待っている。とはいえ、リヴァプールにはただ経験を積みにいくわけではない。加入直後に語ったように、自分のポジションを勝ち取るための挑戦に「ワクワクしている」ことだろう。南野はこれまでと変わることなく、自分を見失うことなく、すべてをかけて突き進んでいくはずだ。

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