ドリブル突破、細かいパスでのつなぎ。崩すこともあれば電光石火、目の覚めるようなカウンター。実に多彩な形で2019シーズン68ゴールを挙げ優勝を遂げた横浜F・マリノス。すでに新シーズンへの準備が進んでいるが、トリコロールがさらに進化するために昨季の経験は貴重な糧だ。ここではキャプテン・喜田拓也に改めて昨季のチームを振り返ってもらった。【取材協力=アディダスジャパン株式会社】
■逃げ道を探せばたくさんあった
「ケガをしなかった。まずはピッチに立てる状況じゃないと話にならないので。チームメイト、メディカルスタッフのサポートもあって、シーズンを駆け抜けることができました。本当に感謝しています」
2019シーズンリーグ戦全34試合のうち、出場停止以外の33試合に先発し、32試合でフル出場。2013年に横浜F・マリノスユースからトップ昇格して以降、最多の出場を果たした。そして、クラブ15年ぶりのJ1制覇。その喜びはひとしおだったことだろう。
「小さいことの積み重ね。毎試合毎練習、愚直に取り組んできた結果です。逆に言えば、小さいことを積み重ねられたから、とも言えます。成功体験、失敗体験を繰り返して修正して。そんな良いサイクルがあった。みんなの姿勢が生んだ結果だと思います」
アンジェ・ポステコグルー監督が就任して2年目での優勝。キャプテンとして一番「仲間を知るところにパワーを使ってきた」と言う。
「監督やコーチはそれぞれの目線でチームをマネジメントしてくれました。選手は選手でできることがある。そこにパワーを使ってきたかな。チームへの接し方と、自分の在り方…キャプテンとしても一人の人間としてもそこは考えました」
攻撃的なサッカーへの大きなシフトチェンジ、2年目でのJ1制覇。2018年は失点がかさみ、残留争いにも巻き込まれた。しかし、自分たちのスタイルを貫き通すことができた。その理由を問うと、「みんなの信じる気持ち」と淀みなく答える。
「スタイルを大きく変えたのは事実ですし、うまくいくことばかりじゃない。覚悟していても現実に直面すると難しいこともある。逃げ道を探せばたくさんあった。でもそんなときもみんな逃げずに貫き通しました。チャレンジして、出てきたことへの修正や積み上げは間違いなく必要になってくる。ただ、前向きに取り組んでいないとそんなことも出てこない。みんな全然ネガティブにはならなかったですね」
結果が出ない中、揺れた人もいたのでは? というちょっと意地悪な質問を投げかけた。「可能性はあります」としつつも、「目指すサッカーをいかにチームに反映させていくかは揺れる揺れないとはまた別の話」だと明快な答えが返ってきた。
「うまくいかないときに揺れてしまうのは、人間として自然なこと。ただ実際、どう行動に移していくかというところで、みんな頑張っていました。優勝はあの苦しい時を乗り越えた人たちの力でもあるので」
©J.LEAGUE■じっくり時間をかけて考えた
そんな苦しい時を越えての優勝。33試合に出場した自身のシーズンべストプレーを選んでほしいとお願いすると、かなり時間をかけて考えた後、「あるんですけど、言いたくない。あまり好きじゃないんですよね」という。この言葉自体に喜田の姿勢が表れている。何かがあっての優勝ではない。誰か一人の素晴らしいプレーがあっての結果ではない。すべては積み重ね――。そこで、質問を変えた。
マリノスは68ゴールを挙げました。べストゴールを選んでもらえませんか?
「68…とんでもない数ですね、今考えると」
全34試合、1試合平均2ゴール。リーグ2位のFC東京が46 得点、得点ランキング2位のヴィッセル神戸が61得点だから、圧倒的だった。
「どういう視点でいくか、だな」
ここでもじっくりじっくり考えて選んだのは、11月30日、等々力陸上競技場での第33節・川崎フロンターレ戦。4-1で勝利を挙げた試合の89分遠藤渓太のゴールだった。
「エリキの横パスで誰もいないゴールに。あれはチームの姿勢がすごく凝縮されたゴールだったと思います」
この試合、8分に仲川輝人が決め、49分、69分とエリキが2得点を奪っていた。
「エリキはあと1点取ればハットトリックだった。その時点で勝っていたし、状況的にも自分で打てたと思う。でも、エリキはそこでより確実なほう、より可能性の高いほうを何の迷いもなく選択した。チームのために、勝つためにという姿勢があのプレーにはあったと思います。それを信じて走っている渓太も足を止めず、最後までサポートに行きました。派手じゃないゴールだったけど、きれいに崩してとか高速カウンターでとかじゃないんですけどね。経緯もプレスから奪ってで。僕たちがやってきたこと、すごくいろんなことが凝縮された良いゴールだったと思います」
このゴールを「本当に頼もしかったですね、キャプテンとして」と笑顔で振り返った喜田。王者として迎える新シーズン。連覇を目指すトリコロールには、アジアでの戦いも待っている。
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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です
