Pep Guardiola Manchester City 2018-19Getty Images

優勝待ったなし!“ケガの功名”が分けた大一番、序盤攻勢のユナイテッドを攻略したシティの狙い

■ユナイテッドの守備が光った前半

FAカップによるスケジュール変更によって4月にずれこんでいたマンチェスター・ダービーが、24日にオールド・トラッフォードで行われた。優勝を争うマンチェスター・シティと、トップ4を目指すマンチェスター・ユナイテッドのライバル対決は、後半にベルナルド・シウバ、レロイ・サネがゴールを決めたシティが2-0で勝利を収めた。

前半は、一進一退の攻防だったと言っていい。ヴィクトル・リンデロフ、クリス・スモーリング、マッテオ・ダルミアンの3バックにルーク・ショー、アシュリー・ヤングを左右に配した3-5-2のシステムでダービーに臨んだユナイテッドは、満員のスタジアムの熱気に背を押され、非常に集中力のある入りを見せた。

とりわけ前線からの守備のバランスが非常によく、マーカス・ラッシュフォードとジェシー・リンガードの2トップが精力的なプレスバックでフェルナンジーニョを監視。両サイドバックのカイル・ウォーカー、オレクサンドル・ジンチェンコにボールが出るとインサイドハーフのアンドレアス・ペレイラ、ポール・ポグバが素早く寄せ、ウイングバックのショーやヤングと連動しながら複数人でプレスをかけ、シティのビルドアップを妨害した。特に前半のヤングの働きは素晴らしく、ジンチェンコへのプレスとラヒーム・スターリングのドリブル対応を高いレベルで兼務し、キャプテンらしい責任感とベテランの妙を見せていた。これによりシティは攻撃の“最初の一手”が定まらず、それによって前の選手たちの動きも阻害され、組み立てに苦戦しているようだった。

シティがなんとかダビド・シルバやイルカイ・ギュンドアンといった攻撃的MFにパスを入れても、ユナイテッドがうまく誘導した形であるため、リンデロフやダルミアンが素早く詰めてくる。ボールを奪えば、ポグバを経由してラッシュフォードを走らせるカウンター。オーレ・グンナー・スールシャール監督が授けた策は、少なくとも序盤戦は機能しているように見えた。

■じわじわとこじ開けていくシティ

2019_4_25_Fernandinho(C)Getty Images

ただ、相手はアウェイでのダービーでも最近7試合でわずか1敗と、オールド・トラッフォードにまったく苦手意識を持っていないシティである。ペップ・グアルディオラのチームもまた、この日は守備が手堅かった。裏へのパスは、ヴァンサン・コンパニを中心とした守備陣とアグレッシブなGKエデルソンがしっかりケアし、ユナイテッドに決定機を作らせない。中々裏を取れない故に、ユナイテッドのMF陣はミドルシュートを狙う場面が多くなるが枠に飛ばず、ボールをシティに渡してしまう。そうした中で、試合のペースは徐々にだが、シティに傾いていくことになった。

しっかりブロックを作って守るユナイテッドを、じわじわとこじ開けようとするシティ。その兆候は30~40分あたりで特に顕著になっていき、この時間帯はボール支配率が80%に上った。そして44分にはようやく“らしい”崩しが見られ、巧みなパスワークからスターリングが中に入り込んで惜しいシュートを放つ。ユナイテッドにとっては、前半終了間際になってペースを譲り渡してしまったことで、後半に大きなツケを払うことになった。

試合後、ペップは「前半はピッチ中央でボールを失うことが多かった。それにより相手にカウンターを仕掛けられていた」と振り返っている。後半に入ると、シティはその点を“微修正”し、MFがアンカーのフレッジの両脇、つまりポグバやペレイラがSBのケアにあたって空けたスペースをうまく使うことでさらに攻勢を強めていく。そして51分、試合の行方を左右する出来事が起こる。フェルナンジーニョの負傷交代だ。シティにとっては痛い交代ではあったが、結果的にこれが“ケガの功名”になる。フェルナンジーニョに代えてサネを投入したこの交代箇所から、シティの最初のゴールが生まれることになったのだった。

■“ケガの功名”で生まれたゴールが分岐点に

Bernardo Silva Leroy Sane Manchester City 2018-19Getty Images

54分、インサイドハーフからアンカーに移ったギュンドアンが、同じくウイングから右インサイドハーフに移ったB・シウバに鋭い縦パスを通す。B・シウバがボールを受けたのは、SBのウォーカーにチェックをかけていたポグバの裏、そしてショーの対面という絶妙なポジションだ。そのままハーフスペースから内に切り込んで左足を振り抜く。ファーに巻くシュートを予想していたのか、ニアを狙ったシュートに意表を突かれたダビド・デ・ヘアは一歩対応が遅れ、ボールはネットに収まった。シティの並びが変わったことで、ややマークがずれたユナイテッド。そこを的確に突いたシティ。この1点が、勝負の分かれ目になったのだった。

これで試合の様相は変わった。攻めに出なければいけなくなったユナイテッドは、ここからボールを奪う気持ちがはやってプレスの連動性が失われていき、守備のバランスが崩れていく。66分にサネが決めた2点目は、先制点よりも必然性が高いゴールだった。点が欲しいユナイテッドが際どい縦パスで勝負に出たところをシティ守備陣が奪い、カウンターからスターリングがドリブル突破を仕掛け、彼のラストパスを受けた左のサネが再びデ・ヘアの牙城を破る。ユナイテッドの気勢を削ぐには十分の一発。これで勝負は決した。

その後のラスト20分は、シティも必要以上に前から奪いにいくことなく落ち着いた試合運びを見せた。一方のスールシャール監督は、72分にロメル・ルカク、83分にアレクシス・サンチェスとアントニー・マルシャルと立て続けに攻撃の選手を投入。ルカクにボールを集めて何度かシュートまで持ち込んだ場面はあったものの試合の大勢は変えられず、終盤はシティに悠々といなされる展開で、最後までゴールを奪うことはできなかった。

■シティは優勝待ったなし、ユナイテッドは次節に決戦へ

Pep Guardiola Manchester City 2018-19Getty Images

これでリーグ戦11連勝とし、その道中でトッテナム、ユナイテッドとの連戦という山場を乗り越えたシティは、リヴァプールを抜いて単独首位に。残り3試合で連勝すれば文句なしで自力優勝を決められるポジションを手に入れた。その3試合の相手はバーンリー(A)、レスター(H)、ブライトン(A)で、普段通りの実力を出せれば負ける要素は見当たらない。この試合を欠場したケビン・デ・ブライネや、負傷交代したフェルナンジーニョの状態はやや心配だが、それでも番狂わせが起こるとは考えにくく、連覇に向けて待ったなしといったところだろう。

一方、エヴァートン、シティに痛恨の連敗を喫したユナイテッドは、公式戦ここ9試合で7敗とスールシャール就任直後の好調ぶりが嘘のようにフォームが低下。直近3試合連続でゴールがない攻撃陣がカウンター以外に形を作れていないのも心配だが、2月24日の第27節リヴァプール戦(0-0)を最後に無失点がなく、1971年以降でワースト記録となる12試合連続クリーンシートなしという数字の方がより大きな不安要素だろうか。

ただ、4位を争うアーセナルがクリスタル・パレスとウォルヴァーハンプトンに連敗し、チェルシーも前節でバーンリーと引き分けたのは不幸中の幸いで、しかも次節は勝ち点3ポイント差の4位チェルシーとの直接対決だ。負ければおそらく終戦だが、勝てばトップ4入りに光明が見えてくる。スールシャール監督がどこまでチームを立て直せるか、注目だ。

文=寺沢薫

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です

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