■来夏の沈静化が大前提だが
東京五輪は「1年程度の延期」となった。日本の安倍晋三首相とIOCのバッハ会長の間で得られた合意に基づく決定だが、新型コロナウイルスによるパンデミックが五輪に関して強大な権限(と利権)を持つアメリカ合衆国にまで達した時点で予想された流れだった。12日のドナルド・トランプ大統領の「1年程度は延期すべきかも」発言から、状況はすべて変わっていた。
世界陸上や世界水泳が同時期にあるといった分かりやすいスケジュール上の諸問題もあるし、日本国内の事情で言えば、「スタジアムや練習場の確保」といったところから、五輪に関するスタッフの契約が軒並み今夏で切れてしまうといった問題、そしてもちろんお金の問題といった課題が山積である。
サッカー界だけに限定しても難しいところは多々あるのだが、欧州も日本も国内リーグすらできていない状態なのだから、そもそも「五輪どころではない」のが現実だ。ここから話す内容はすべて、新型コロナウイルスの流行に伴う社会の混迷が、来夏には沈静化へ向かっていることを前提としている。
■年齢制限U-24になるのか?

男子サッカー競技については「U-23」で行われていた大会を来年「U-24」で行うのかという問題が提起されそうだが、ここは「1年程度の延期」ならば大きな問題にならないだろう。2年の延期となるとW杯と同年の開催という問題まで出てきてしまうし、会場変更を含めて大会の内容について色々な変更を加える時間的な余力が出てくる。ただ、1年程度の延期ということなら、「変更しなくていいところはできるだけ変更しない」という判断になるだろう。
「『変更しない』ということなら『U-23のままになるのでは?』」と思われるかもしれないが、そうではない。五輪の男子サッカーに関する規定を読んでみると、出場選手についてはこんなことが書かれている。
「参加するすべてのプレーヤーは、1997年1月1日以降に生まれなければならない。ただし、最大3人までは年齢超過の選手をリストに含めても良い」
つまり、大会規定に「U-23」と書いてあるわけではなく、書かれているのは「1997年1月1日以降生まれ」ということ。これを解釈すると、2020年に23歳になる選手までがリミットという話だから、各地域予選を戦った枠組みでもあるこの規定をわざわざ変える道理はない。なので、この点に関して心配はしていないのだ。この規定を特段に変更しなければ、自然と来年の五輪にも1997年生まれの選手(つまり来年「U-24」になる選手)も出場できることになる。
もっと心配なことは他にある。
■欧州組の招集という最大の障壁

五輪は国際Aマッチではないため、FIFA規定に基づく招集権が原則的には発生しない。このため、前回のリオ五輪大会においても、欧州でプレーしていたFW久保裕也が招集できないなど、難しい状況に陥ることがしばしば起きていた。しかも現在はこの代表の候補となる選手に限っても、MF堂安律、久保建英、DF冨安健洋ら十数名が欧州でプレーしている時代である。ここは東京五輪を見据えて日本が直面している最大の障害だった。
だからこそ今夏の東京五輪開催を想定して、欧州でプレーしている東京五輪世代の選手たちの相当数は、招集に関する規定をクラブとの契約に盛り込んでいた。このため、「招集できそう」な選手が多かったのだが、今回の延期によってこの要素が不透明になってきた。来年を見据えたとき、男子サッカーにとって大きな懸念材料はここだろう。
もう一つネックになるのは、W杯のアジア最終予選である。来夏に大会が行われるとすると、それは最終予選が行われている最中ということになる。試合自体はバッティングする日程にしないとは思うものの、「A代表」と「五輪代表」を分けて強化を進めようとすると、難しい問題が発生してくる。当然ながら両代表で「呼びたい選手」はかぶってくるし、二つのチームを同時に「最強編成」とすることはできなくなる。兼任監督のメリットを活かし、二つの代表を同時並行的に強化していくしかないが、選手の招集可否の問題と合わさり、難しい対応を迫られることとなる。
ただ、延期の報について代表スタッフの一人と話したときに、彼の漏らした「中止にならなくて良かったです」という言葉は、偽らざる本音だろう。五輪という檜舞台を目指し、努力を重ねてきた選手やスタッフにとって、舞台自体が消えなかった意味は大きい。難しい部分は多々あれど、乗り越えていくほかないし、そのために必要なエネルギーも失われてはいない。
■著者プロフィール
川端暁彦
1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。2002年から育成年代を中心とした取材活動を開始。04年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画し、10年からは3年にわたって編集長を務めた。13年8月からフリーランスのライター、編集者として活動する。東京五輪世代は立ち上げ期から取材。この3月、元サッカー日本代表・水沼貴史氏、元サッカーマガジン編集長・北條聡氏とともにYouTubeチャンネル 「蹴球メガネーズ」 をスタート。サッカー大好きおじさん3名が日本代表、Jリーグ、海外サッカーなどを語り尽くしている。
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