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五輪世代を五輪世代で固めない。従来型ではない強化策に見えた森保“兼任”監督の狙い

 日本サッカー協会は4日、12月10日に韓国で開幕するEAFF E-1サッカー選手権2019(E-1選手権)に臨む日本代表メンバー、ならびに同28日に行われるキリンチャレンジカップ2019のU-22ジャマイカ代表戦に臨むU-22日本代表メンバーを発表した。国内組で構成されたE-1選手権のメンバーには、22歳以下のプレーヤーが計12人招集。来年に控える東京五輪への強化を色濃く反映させる選考となった。兼任監督としての森保一監督の狙い、そして強化の考え方とは。【文=川端暁彦】

■五輪世代を五輪世代で固めない

2019-11-17-u22japan(C)Kenichi Arai

 この年末年始にかけて三つの日本代表チームと四つのグループが形成されることになりそうだ。

 一つは12月10日に始まるEAFF(東アジアサッカー連盟)主催のE-1選手権に臨むチーム、もう一つが年末の12月28日に行われるキリンチャレンジカップ・U-22ジャマイカ代表戦に向けたチーム、そして来年1月に行われるAFC U-23選手権(東京五輪アジア最終予選)のチームである。

 このうち、12月に活動する2チームについてのメンバー発表が4日に行われたが、一見して分かるのが基本的な方向性は「五輪シフト」ということだ。

 E-1選手権に臨むのは「A代表」ではあるのだが、関塚隆技術委員長が「IMD(インターナショナルマッチデー)ではないので(選手招集に関する)拘束力がない」と率直に語ったとおり、12月中旬に行われるこの大会に欧州でプレーしている選手たちを招集することは不可能。ご存知のように現在の『A代表』はそのほとんどが海外でプレーする選手たちで構成されるようになっており、必然的に『B代表+』といった編成になることは確定していた。

 ここで森保一監督は兼任監督としてのメリットを活かし、五輪世代の選手たちを一気に大量招集。実に五輪世代から9名の初招集選手を含む12名が招集されることとなった(恐らく、最終的にはさらに1名が追加招集され、13名になると思われる)。指揮官は以前から「A代表のスタンダードへ五輪世代を引き上げたい」と語っており、今回もそうした狙いがあるのだと思われる。

 今年6月にも同じようなコンセプトでコパ・アメリカを戦っているが、当時「経験のある選手たちの背中を見せることによって若い選手たちの意識を引き上げることができた」と語っていたが、今回の会見でも同様の趣旨の発言を残している。

 もちろん、Jリーグで結果を残し続けているMF仲川輝人が初招集されたことからも分かるように、単なる「五輪シフト」というわけではない。ただ、ベネズエラ戦で初招集となったDF進藤亮佑、荒木隼人、MF古橋亨悟、FWオナイウ阿道がいずれも選外となり、これについて森保監督が「1試合だけで考えているわけではない」「一度代表の活動を経験してもらいつつ、代表のコンセプトを理解してもらう」と言っていたことは示唆に富む。

 つまり、A代表についてはあくまで3年後のカタールW杯が目標であり、代表の候補となり得る選手たちに「自分にもチャンスがある」と意識させながらラージグループを形成していっている段階であり、チームを仕上げていくようなことを考えていないということだ。「今後の厳しい戦いの中で戦力となり得る選手が数多くいることがより強いチームを作る、選択肢にもなる」と語るとおりである。

 逆に五輪代表についてはすでに半年余りしか時間が残されていない中で、本大会を意識しながらのチーム作りになる。ただ、森保監督はかねてより五輪年代を五輪年代で固めて強化するのではなく、より高いレベルを意識させながら強化していくことが「五輪で結果を出すことにも、五輪の後にも繋がる」と語っていた。オーバーエイジ選手の有効活用のためにも、五輪年代の選手たちが同年代で固まってしまうような従来型の五輪代表強化は考えていないことが改めて分かる。

■森保“兼任”監督の狙い

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 また五輪代表はA代表同様に海外組の比率が飛躍的に増えていく流れにあり、従来型の強化が難しいという根深い問題もある。実際、来年1月のAFC U-23選手権に海外組の選手はほとんど参加できないことが予想され、E-1選手権のA代表に引き上げられた選手たちがコアメンバーとなりそうだ。

 つまり、この年末年始には三つの代表チームが形成されることになるのだが、堂安律や久保建英といった選手たちはこの三つのチームにいずれも含まれない第四のグループとなるわけである。

 会見で関塚隆技術委員長が「1月や6月に移籍することもある」と示唆していたように、ここからさらに海外組が増えていくことも考えられるなかで、「呼べるときに呼ぶ」という形で強化していくしかない。その意味で五輪代表の強化策としてA代表を「使える」のは兼任監督ならではのメリットだろうし、そのことに森保監督はかなり意識的である。

 またA代表と五輪代表をまとめて観ながら、未来図を描いているのも明らかだ。これまでW杯を目指すA代表のチームパフォーマンスのピークがW杯の年ではなく、その前年や前々年に来てしまうということがしばしば起きてきた。ザックジャパンやジーコジャパンの失敗はその典型で、逆に大会直前になってチームのコア部分を作り直した岡田ジャパンや西野ジャパンが結果を出している現実もある。

 代表チームは4年間にわたるパフォーマンスの平均値を競うものではなく、4年目に迎える短期決戦のカップ戦での瞬間的なパフォーマンスを競うのだから、それも当然と言えば当然だ。

 森保監督が狙っているのは恐らくその中間点で、継続的な方針でチームを強化しつつ、しかしチームを作り込むことはしない。今日この時点でベストパフォーマンスを発揮している選手が3年後もベストである可能性はむしろ低いからだ。

 ベースを築いて「選択肢」を確保しつつ、仕上げていくのは東京五輪が終わって二つのチームが完全に一つとなってから。そんな青写真を描いていることがあらためてうかがえるメンバー発表会見だった。

文=川端暁彦

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