■下位クラブと上位クラブの差が縮まる

みなさん、こんにちは。中村憲剛です。ヨーロッパの新シーズンが幕を開けて、1カ月あまり。すでにCLの戦いも始まりましたが、相変わらず興味深い発見があって目が離せませんね。そこで前編と後編の2回に分けて、僕なりの所見をお届けしたいと思います。前編の今回はクラブにスポットを当てて、ここまで気になったことや注目ポイントなどを取り上げてみましょう。
まずは現時点の率直な感想から。意外とクラブ間の実力差が縮まっている――。これが僕の第一印象でした。もちろん、まだまだ序盤という但し書きはつきますが、リーガを見てもレアル・マドリーやバルセロナがすんなりと勝ち点を伸ばせず、苦しんでいる。(9月24日現在)ひとまず結果を残しながら少しずつ内容を高めていくというのが例年のパターン。そこがうまく回らず、第二集団に巻き込まれてしまっているなと。いや2強のみならず、アトレティコにも試行錯誤という感じがある。
プレミアリーグに目を移しても、3連覇を狙うマンチェスター・シティが昇格組のノリッジに寝首をかかれましたからね。しかも、がっちり守られて逆襲から失点を重ねる負けパターンとは少し違っていました。恐れずに向かっていくチームですからね、ノリッジは。聞くところによると、指揮官のダニエル・ファルケはユルゲン・クロップ(リヴァプール監督)の弟子筋にあたる人。そうした新進気鋭の監督に率いられたチームが増えてくれば、メジャークラブも一筋縄ではいかなくなる。それを象徴するような出来事だったかもしれないですね。
◆CL第1節の結果

【グループA】
クラブ・ブルージュ 0-0 ガラタサライ
PSG 3-0 レアル・マドリー
【グループB】
オリンピアコス 2-2 トッテナム
バイエルン 3-0 レッドスター
【グループC】
シャフタール 0-3 マンチェスター・シティ
ディナモ・ザグレブ 4-0 アタランタ
【グループD】
アトレティコ・マドリー 2-2 ユヴェントス
レヴァークーゼン 1-2 ロコモティフ・モスクワ
【グループE】
ナポリ 2-0 リヴァプール
ザルツブルク 6-2 ヘンク
【グループF】
インテル 1-1 スラヴィア・プラハ
ドルトムント 0-0 バルセロナ
【グループG】
リヨン 1-1 ゼニト
ベンフィカ 1-2 ライプツィヒ
【グループH】
チェルシー 0-1 バレンシア
アヤックス 3-0 リール
CLにしても以前と比べてグループステージの勝ち抜きを予想するのが難しくなっているのかなと。最終的には収まるところに収まるのかもしれませんが、第1節を見た限りでは「ここは鉄板」と断言できるグループが以前より多くないイメージがあります。ザルツブルクなんか面白かったですね。もう速い、速い。もちろん、ヘンクの出来が芳しくなかったのもありますが、前半だけで4点も叩き出すゴールラッシュなんてCLではなかなかお目にかかれない。いきなりハットトリックを決めた19歳のアーリング・ハーランドには失礼ながら「いったい何者!?」と思いましたよ。いい意味で驚きがありましたね。
ただ、ザルツブルクのグループにはリヴァプールとナポリがいるので簡単ではないでしょう……。それにしてもリヴァプールとナポリの直接対決は見ごたえ十分でしたね。カルロ・アンチェロッティの采配も含め、ナポリの戦いぶりは見事の一語。連覇を狙うリヴァプールはプレミアで順当に勝ち点を積み上げていますが、やはりCLは別モノですね。確かにナポリも力のあるチームですが、カルチャーの違う相手と敵地で戦うとなれば必ずしも盤石ではない。そこがCLの面白さでもあるわけですが。
格差の縮小という意味では強豪クラブの監督交代やチーム編成の変化にも一因があるかと。新監督にマウリツィオ・サッリを迎えたユヴェントスがそうですね。この人事がどう転がるか。サッリの戦術には決め事が多く、チーム全体に浸透するまで時間がかかるでしょう。前述したアトレティコやバイエルンは主力やベテランの退団が重なってチーム編成が変わりました。選手の組み合わせなど新しいパズルを模索している段階。ディエゴ・シメオネ(アトレティコ)とニコ・コバチ(バイエルン)の両監督はそれぞれ青写真を描いているはずですが、新戦力の起用に紐づく戦い方の微調整を含め、これという最適解を見出すには相応の時間が必要でしょう。
その点、アヤックスは面白いですね。フレンキー・デ・ヨング(バルサ)やマタイス・デ・リフト(ユーヴェ)といったキーパーソンが抜けたものの、試行錯誤している感じが薄い。むしろ、昨シーズンのCLでベスト4に食い込んだ自信と経験が上積みされているような印象すらありますから。アタック陣の顔ぶれは変わっておらず、貫禄が出てきた。エリック・テン・ハーグ監督も選手たちも相当に自信を深めたんでしょうね。もとより若い選手が多いので伸びシロがある。
レアルとバルサはオフにチーム編成をめぐるゴタゴタもありましたからね。ネイマールの獲得が暗礁に乗り上げたり、放出の噂もあった選手たちが残留したり……。いくらプロの世界とはいえ、一度は放出扱いされた選手たちのモチベーションを維持するのは簡単ではないと思います。指揮官のマネジメントが難しいという意味ではパリ・サンジェルマンも同じじゃないかと。バルサに移る気満々だったネイマールが……ね。確かにピッチ上では活躍していますけど、周囲からどう見られているのか。
今回の件も含め移籍等に関して言えばあまりにもビジネスライク過ぎて、ファン・サポーターの心情が置き去りにされているところも気になります。レアルやバルサもそうですけど、いったい誰のためのクラブなのかと。現場やフロントの認識や考え方にちょっと違和感を覚えます。本来、ピッチ外で片づく問題がピッチ内にまで影響しそうな気配があるなと。
いくら実力のあるタレントがそろっていても、それがダイレクトにチーム力へ反映されなければ苦戦は免れないでしょう。このあたりも実力差が縮まっているように感じた理由かもしれないですね。クラブをどうマネジメントしてファンとともに戦っていくか、同じ方針の下でチームが一丸となって戦っていくクラブが最後に笑う。それをあらためて感じさせるシーズンになるかもしれないですね。
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です





