Nacho Monreal Arsenal ChelseaGetty Images

不敵に笑うヴェンゲルの“罠”…リーグ杯決勝に進んだアーセナルの間近に来た「最高の時間」

アーセナルは来月、ウェンブリーで行われるカラバオカップ・ファイナル進出を決め、アーセン・ヴェンゲル監督は、自身がまだ獲得したことのない唯一の国内タイトルを獲得することを目論んでいる。

昨年の大晦日から公式戦5試合未勝利が続き、多くの批判にさらされていたガナーズ(アーセナルの愛称)。しかし、去就が騒がれ続けたアレクシス・サンチェスとヘンリク・ムヒタリアンのトレードがほぼ決定した中迎えた20日のプレミアリーグ第24節クリスタル・パレス戦では、息を吹き返したようなパフォーマンスを披露。13分で3ゴールを挙げ、相手を圧倒して4-1で勝利を収めた。

そして24日に行われたチェルシーとのカラバオ・カップ準決勝第2戦では、2-1と逆転勝利。2試合合計スコアでロンドンのライバルを上回り、ファイナル進出を決めたのだった。

■不敵に笑ったヴェンゲルの“罠”

「25年間ファイナルに進出していないチームを祝福しようじゃないか」

ヴェンゲルは試合前日の記者会見で、チームが4年で3度のFAカップ優勝を果たしているのを引き合いにだし、ジャーナリスト達にこうジョークを飛ばした。

実際、彼の言っていることはある意味正しい。リヴァプールやトッテナムは、戦術面において国内外から多くの称賛を集めているが、リヴァプールはおよそ6年間、最大のライバルであるトッテナムは10年間タイトルに手が届いていない。

ビッグゲームでの戦術に、ここ数年多くの批判を受けてきたヴェンゲル。しかし、チェルシー戦前日に不敵な笑みを浮かべていた68歳のフランス人指揮官は、この試合に周到な準備をして臨んできた。

1-1で迎えた後半、モハメド・エルネニーを中盤の深い位置に置き、エデン・アザールの動きをカバーさせる決断をしたのは大当たりだった。エジプト代表MFは、1月にチームを離れたフランシス・コクランよりもポジショニングに優れ、決定的な場面で効果的なプレーを発揮できることを証明してみせた。相手のエースを、周到に準備してきた“罠”に見事にはめたのだった。

同様に、メディアやファンから懐疑的な目を向けられていたグラニト・ジャカも、この試合では好プレーを披露。視野の広さ、そしてポジショニングのセンスがアーセナルにとっては非常に有益なものであることを示してみせた。実際に、決勝点も奪っている。

このスイス代表は、「中盤深い位置からチームを操る背番号10」と思われがちだが、時折右サイドやより前のポジションで良いプレーを見せる。彼のインテリジェンスは過小評価されがちだが、より規律を伴ったパフォーマンスを見せるようになったことで、ようやく3,500万ポンドの価値に見合った選手になったと言えるだろう。

Arsenal, Carabao CupAFP Photo

■目の前まで来た「最高の時間」

チームの士気という部分に関しては、サンチェスの移籍は大きな影響を与えることになっただろう。

アントニオ・リュディガーのオウンゴール、そしてアーセナルの決勝点につながったディフレクションは試合を決めるものではあったが、アーセナルが勝利に値する試合をしたのは間違いない。

カラバオカップ・ファイナルは、2月25日に予定されている。相手は、今季プレミアリーグで圧倒的な強さを見せるマンチェスター・シティ。ガナーズは、次戦のリーグ戦も含め、1週間で2度シティと対峙することになる。

否定的な人々は、この1週間でアーセナルのシーズンが終わると考えているだろう。しかし、ヴェンゲルと選手達は、昨シーズンのFAカップ準決勝での対戦(延長戦の末、2-1で勝利)や、決勝のチェルシー戦(2-1で勝利)で見せたように、彼らは常に大一番において何かを残してきている。

1月の獲得が噂されるFWピエール=エメリク・オーバメヤンの加入は、数日中に決定する見込みである。前半戦はピッチ内外で苦しんできたガナーズだが、「エミレーツ・スタジアム」は再び熱狂に包まれた。

「最高の時間」はもうすぐそこまで来ているのかもしれない。

▶サッカーを観るならDAZNで!1ヶ月間無料のトライアルを今すぐ始めよう。

広告