Arsene Wenger Arsenal extensionGoal

ヴェンゲル契約延長でファンの内輪揉めに終止符を!続投が示す本当の意味とは?

退任を求めるデモ活動やバナーに加え、YouTube動画やTwitter上での批判などアーセン・ヴェンゲルは、2017年、イングランドで最も叩かれた人物の一人であると言える。しかしこの度、彼はなんとか生き残り、アーセナルの監督の座を守ることに成功したのだ。

クラブは先日、ヴェンゲルとの契約を2年延長することで合意に至ったと発表した。2年間監督の職を全うするとなると、ヴェンゲルはアーセナルの監督として計23年指揮することとなり、プレミアリーグの監督在位期間最長を維持することになる。外部からの退任を求める巨大な圧力があったにも関わらず残留が決まったという事実は、67歳の彼の持つ影響力の大きさを物語っている。

Wenger InGoal

ヴェンゲルとアーセナルの関係は、1996年に彼が始めて旧ホームスタジアムであるハイバリーの扉をノックしたときから始まった。それ以降、選手獲得に費やされた金額はおよそ7億ポンド(およそ1兆円)。ティエリ・アンリやアレクシス・サンチェスのように素晴らしいものから、フランシス・ジェファーズやパク・チュヨンのように失敗に終わったものまで様々であるが、ヴェンゲルは良い時も悪い時もアーセナルのサッカーを楽しんできたように思う。

アーセナルの監督として、ヴェンゲルは16個の優勝トロフィーを獲得している。これはアーセナルの歴史上最高の監督であるということを意味しているだろう。しかし一方で、もう13年もプレミアリーグ優勝からは遠ざかり、チャンピオンズリーグでは7シーズン連続でベスト16で敗退、今シーズンに至っては来シーズンのチャンピオンズリーグ出場を逃している。

Arsene Wenger ArsenalGetty

こうした事実がファンの間での論争を巻き起こし、クラブの未来にとって彼がふさわしい人物であると信じる“残留派”と、彼のやり方は時代遅れでクラブは監督交代の必要性があると訴える”退任派”の対立をつくり上げてしまった。

「お前たちにそのユニホームを着る資格はない」
これはクリスタル・パレスに0-3で敗れた試合で、アーセナルファンからピッチで戦う選手たちに向けられた歌である。

しかし今こそ、反対していた人も含め、サポーターはみんなでアーセナルとヴェンゲルをサポートするべきなのではないだろうか。さもなければアーセナルの危機的状況は間違いなくこれからも続いていくだけだ。FAカップでは、チームにもヴェンゲルにも、そして選手に対しても辛辣な言葉が向けられていた最中で優勝を勝ち取ったのだ。チームとしてのプライドは少なくともいまだ保たれている。

ヴェンゲルは2年契約の延長にサインした直後、クラブの公式ウェブサイトで以下のように語っている。

「ファンの皆さんからのメッセージはクラブにとって大きな助けとなります。ぜひ一つになって、選手たち、そしてクラブへのサポートをお願いします。我々は我々がいるべき場所に戻るために、全力を尽くして戦います。自分たちの求めるスタイルのサッカーを貫き、すでに頂いているようなサポーターの皆さんからの選手へのサポートをこれからも頂くことで、チームはより高いレベルに到達して行けると確信しています。もちろん来シーズンに向けてチームの強化に取り組んで参りますが、我々の求めるスタイルは貫いていきます。サポーターの皆さんにも、一緒になってサポートをお願いしたいと思います」

この夏、ピッチ内外の両方でアーセナルに大きな変革が求められるのは明らかだ。難しいシーズンとなることが予想される中では、多くのオプションが必要でありチーム強化は必然的なことである。今シーズン、マンチェスター・ユナイテッドが怪我人の多発で苦しんだことを教訓にし、リーグで上位進出を狙うのであれば、全てのポジションにトップクラスの選手が必要となる。

HD Wenger Out Banner ArsenalGetty Images

また、アーセナルがビッグタイトル獲得を本気で目指すのであれば選手獲得方針を変えなければならない。ルイス・スアレスとゴンサロ・イグアインはここ数年アーセナルが渋ったがために、獲得を逃したビッグネームの2人である。クラブは交渉においてもっと断固とした態度をとるべきであり、ヴェンゲルも移籍金の上昇というのが今日のサッカーの一部であることを受け入れる必要がある。

契約を2年延長したことでヴェンゲルは2019年まで続投することになり、またさらに長く続ける可能性も否定していない。今シーズンを通して次期監督にはマッシミリアーノ・アッレグリ、ディエゴ・シメオネやトーマス・トゥヘルといった名前が取りざたされてきたが、彼が退任したときのことを視野に入れたプランの検討も今は白紙に戻ってしまった。

何にせよ、この瞬間ヴェンゲルの続投は決まったのだ。今最も重要なことはそれを全てのサポーターが受け入れ、手を取り合ってクラブ史上最高の監督を支持することではないだろうか。サポーター間の内戦もついに終わりを迎えるべき時がきたのだ。

文=クリス・ホイットリー/Chris Wheatley

サッカーのライブを観るならDAZNで!1ヶ月間無料のトライアルを今すぐ始めよう。
広告

ENJOYED THIS STORY?

Add GOAL.com as a preferred source on Google to see more of our reporting

0