2017-10-31-shinji-okazaki(C)Getty Images

レスター監督交代でベンチ行き…岡崎慎司は何を思うのか?【現地レポート】

レスター・シティのFW岡崎慎司が、クロード・ピュエル新体制でベンチスタートを命じられた。

プレミアリーグ10節・エバートン戦の5日前に行われたリーグ杯のリーズ戦で、岡崎は「温存」でメンバー外。試合後のマイケル・アップルトン暫定監督も「シンジは前節スウォンジー戦で大きな役割を果たした。(優先順位で劣るリーグ杯の)今夜はスポットライトから外れる良い機会だと思った」と称賛した上に温存であると強調していたが、この翌日にクロード・ピュエル新監督の就任が決定。新体制で行われた2回のトレーニングを経て、岡崎はベンチに送られた。新指揮官の就任で、潮目が変わったのは間違いない。

フォーメーションも、従来の4−4−2から4-2-3-1に変更。FWは2トップから1トップに代わり、トップ下のポジションにはリヤド・マフレズが入った。さらに、サイドMFには21歳のデマライ・グレイと、本来はSBを務める20歳DFベン・チルウェルを起用。クレイグ・シェイクスピア前体制で主力扱いだった、岡崎とマーク・オルブライトンが先発メンバーから外れた。

■新指揮官の采配に何を思う?

試合前はこうしたサプライズ起用を不安視する声もあったが、ピュエル新体制はエバートンに2−0で快勝。グレイが2ゴールに絡む活躍を見せ、チームは11位に浮上した。試合後、岡崎は監督交代の影響について次のように語った。

「チームが刺激を受けて効果が出た。何か刺激が必要だったと思うんです。監督が代わって、グレイが活躍したり、今まで使われてなかったチルウェルが出場したり。そういう刺激がチームに注入された。今までは、(プレースタイルを)元に戻すということでしか解決できなかったけど、監督が交代したことで、勇気ある決断ができたんだと思う」

たしかに、これまでのレスターなら不振に陥ると監督を解任し、原点の「プレッシングサッカー」に立ち戻って難局を乗り越えてきた。その中で、岡崎も先発メンバーに復帰してチームを助けてきた。

しかし今までと違い、ピュエル監督は自身のやり方にこだわった。若手を積極的に起用し、プレッシングサッカーを貫く姿勢も見せなかった。その結果、岡崎は先発メンバーから外れた。75分から途中交代で出場し、15分の出番だけで終えた日本代表FWは、自身の立ち位置について次のように話す。

「今はチームがチャレンジしている状況なので、自分もそこにトライしないといけない。ただ、こういう状況は、自分も待ち望んでいたというか。(チームが不振になると)常に自分に返ってきて、(チームとして)また同じことを繰り返してきたので。このままシェイクスピア監督でいけば、僕もあれでしたけど(=レギュラー扱いの状況は変わらなかったの意)。ただ同時に、今シーズンはチームが勝てないことも多かった」

「監督が代われば、レギュラー争いがフラットになるのは当然のこと。マフレズをトップ下に置き、(練習ではケレチ)イヘアナチョもトップ下で使いたい感じでしたので。そういう意味では、監督は中央にクオリティのある選手を置きたいんだと思う。だから、(トップ下として出場した)15分間のなかで、自分も何か見せないといけなかった。そういうアピールが、今後また必要になってくる。悔しいですけど、それが今の立ち位置」

「出場時には、監督から『相手をフリーにしないように』と言われた。そこから前に出て行って、何回かチャンスになりそうな場面はあった。そこでクオリティを見せないといけないが、その点で言うと、今日は(攻撃の見せ場が)何もなかったなと。だから、今日の(出場時間の)15分は、“悔しい15分”になりました。だけど、この15分が自分にとってスタート地点になる。『次はあそこで何ができるか?』。そう捉えたい」

■狙うものは変わらず…

では、新監督へのアピールポイントはどこになるのか。そう質問をぶつけてみると、岡崎は迷うことなく「ゴール」と言い切った。

「見失っていけないのはゴール。インテンシティの高いプレーを示し、その中でゴールを取る。ゴールに向かう力を見せたい。何でもいいから二桁ゴールを取りにいく。出場時間は先発しても60分しかないんで(苦笑)。だったら、途中出場の20分でも結果を出せるようにしたい。ここで二桁取りにいく。そういう強い気持ちで今シーズンはいきたい」

1試合を消化しただけなので断定はできないが、ピュエル新体制のレスターは、今までとは違う方針へ舵を切ったように見えた。ナイジェル・ピアソン前監督とクラウディオ・ラニエリ前監督、そしてクレイグ・シェイクスピア前監督と続いたレスターの「プレッシングサッカー」にピリオドを打ち、新たな道を模索し始めたように映ったからだ。そのプレッシングサッカーで中心的役割を果たし、ここまで4ゴールと好調の岡崎の立ち位置も揺らぎ始めている。

だが当の岡崎は、「このチームでどう結果を出していくか。また新しいチャレンジになるので楽しみです」と前向きな姿勢を崩さない。この難局をどう乗り越え、そして二桁ゴールにどう近づいていくのか──。

プレミア在籍3季目の岡崎の挑戦に引き続き注目していきたい。

取材・文=田嶋コウスケ

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