■CL決勝トーナメント1回戦ファーストレグ レアル・マドリー 3−1 パリ・サンジェルマン
レアル・マドリー:クリスティアーノ・ロナウド(44分、83分)、マルセロ(86分)
パリ・サンジェルマン:ラビオ(33分)
14日のチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦ファーストレグ、サンティアゴ・ベルナベウでのレアル・マドリー対パリ・サンジェルマン(PSG)は3−1でレアル・マドリーの勝利に終わった。
黄金期を終わらぬために大一番に臨むレアル・マドリーと、彼らに取って変わる大型補強で黄金期を迎えようとするPSGの対戦。決勝トーナメント1回戦、最大の注目カードである。
移籍金総額2億2700万ユーロのベイル(今季9得点)、ベンゼマ(6得点)、クリスティアーノ・ロナウド(23得点)のBBCと、4億6600万ユーロのネイマール(27得点)、ムバッペ(15得点)、カバーニ(28得点)のトリデンテの対決に注目が集まったが、ジダン監督はベイルをベンチに置いて、その代わりにイスコを起用。エメリ監督はモッタ不在のアンカーをロ・セレソに務めさせたが、フランス人指揮官は現実的にPSGの穴となり得るゾーンをイスコで突く意図を示した。
前半の立ち上がりは、4−3−1−2システムを使用するレアル・マドリーがボールを保持。モドリッチ、クロース、そして前線から下がってくるイスコでビルドアップを図り、そしてバイタルエリで再びボールを受けるイスコのパスからフィニッシュを狙っていく。一方4−3−3のPSGはカウンターを中心に攻撃を仕掛け、3トップのクオリティーを生かそうと試みた。
レアル・マドリーは26分、ペナルティーエリア手前でイスコが倒されてFKを獲得。だがC・ロナウドが右足で叩いたボールは、わずかに枠の上へと外れる。また28分には左サイドのマルセロがPSGの最終ラインの後方にカーブをかけたパスを出し、走り込んだC・ロナウドがペナルティーエリアでGKアレオラと1対1に。だがシュートはPSG守護神に止められた。
ここまで惜しいチャンスを生み出してきたのはレアル・マドリーだったが33分、PSGが盛り上がるべルナベウに冷や水を浴びせた。ムバッペがマルセロをかわして右サイドを突破。折り返されたグラウンダーのクロスにネイマールは合わせられなかったが、ファーにフリーで詰めたラビオがボールを押し込んだ。
ビハインドを負ったレアル・マドリーはC・ロナウド、ベンゼマが決定機を迎えていくものの、決め切ることができず焦りを募らせる。だが44分、左サイドからペナルティーエリア内に侵入したクロースがロ・セルソに倒されてPKを獲得。キッカーのC・ロナウドが枠の左にシュートを突き刺し、スコアをタイに戻した。C・ロナウドにとって、このゴールはレアル・マドリーでのCL通算100点目となり、同一チームで史上初めて3桁の得点を決めた選手となった。ベルナベウはこのゴールによって勢いを取り戻し、「コモ・ノ・テ・ボイ・ア・ケレール(どうして愛さずにいられようか)」「アレ・レアル・マドリー」などのチャントをスタジアム全体に響かせている。
前半終了間際に同点に追いついたレアル・マドリーは、後半もボールを保持しながらゴールを狙う姿勢を示した。が、アタッキングサードでの連係・崩しのアイデアを欠き、空回り続ける。マルセロも高い位置まで上がってそこにとどまり、前のめりになる中でPSGのカウンターが牙を剥いた。49分にはネイマールのスルーパスからムバッペにフィニッシュまで持ち込まれたが、これはGKケイロール・ナバスの攻守によって何とか難を逃れている。
最初に交代カードを切ったのはエメリ監督。66分、カバーニに代えてメウニエルを投入。メウニエルを右サイドバックとして、そこに位置していたダニエウ・アウベスをウィング、ムバッペをカバーニの代わりにセンターフォワードとした。一方のジダン監督は68分、ベンゼマとの交代でベイルを入れ、C・ロナウドと2トップを組ませている。
以上の交代策の後にはPSGがボールを保持して攻め込み、レアル・マドリーをゴール前まで押し込む。しかしムバッペらはチャンスを生かし切ることができず、2点目のアウェーゴールを奪うには至らない。これに対してジダン監督は79分、イスコ、カセミロとの交代でルーカス・バスケス、アセンシオを入れ、交代枠を使い切った。レアル・マドリーは中盤にL・バスケス、クロース、モドリッチ、アセンシオを並べる4−4−2にシステムを変更する。
ジダン監督の交代策は、見事的中した。83分、アセンシオがメウニエルを抜き去って左サイドを突破したことをきっかけとして、逆転弾が決まる。ペナルティーエリア内左で再度ボールを持ったアセンシオはグラウンダーのクロスを送り、アレオラが倒れ込みながらこれを片手で弾く。そしてすかさず詰めたC・ロナウドが、ひざでこぼれ球を押し込んだ。
アセンシオの勢いは、まだ止まらない。86分、再び左サイドからクロスを送り、今度はマルセロのゴールをお膳立て。ベルナベウの観客は立て続けのゴールに歓喜し、「コモ・ノ・テ・ボイ・ア・ケレール」を大合唱。これまで何度もベルナベウで繰り返されてきた土壇場での逆転勝利、そこから生まれる魔法の夜の光景である。レアル・マドリーは2点リードを維持したまま試合終了のホイッスルを迎え、黄金期が依然として継続中であることをアピールした。
なお、PSG本拠地パルク・デ・プランスでのセカンドレグは、3月6日に行われる。




