【ルカ・モドリッチの物語】不合格のひ弱な少年が世界最高のMFになるまで

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世界最高のMFは誰か、という議論は常に衝突を生むものだ。もっとも、2017年において「ルカ・モドリッチ」の名前を挙げることが議論に終止符を打ついい方法となっている。彼はいかにして階段を駆け上がり、最高のプレーヤーの一人となったのか。

歳を重ねるたびに、進化を遂げる――。

レアル・マドリーのMFルカ・モドリッチは2017年度 FIFA/Fifpro(国際プロサッカー選手会)ベストイレブンに選出された。『Goal50』ではクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリー/スペイン)、ジャンルイジ・ブッフォン(ユヴェントス/イタリア)に次いで3位に選ばれた。今、彼がいかに優れた選手か、説明するすべはいくらでもある。

モドリッチは2012年にトッテナムからレアル・マドリーに加入した。過去4シーズンで3度のUEFAチャンピオンズリーグ制覇に貢献し、現在はおそらく世界最高のミッドフィルダーであると言えよう。

しかし、ここに至るまでの道のりは、決して平坦ではなかった。その過程を、振り返っていくことにしよう。

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■少年の気づかれなかった才能

luka modric kid zadar

1985年9月9日、モドリッチはクロアチアのザダルで生まれた。彼が育ったのはまさに“モドリッチ”と呼ばれる郊外の村。クロアチアの村では、村の名前を家族の姓とすることが一般的なことなのだ。しかし数年後、モドリッチという単語は村の名前以上の価値を持つことになる。

ザダルの若き才能の持ち主は、10歳の時にマリオ・グリゴロヴィッチとともに地元のサッカークラブ、ハイドゥク・スプリトのトライアルを受けた。

グリゴロヴィッチは我々に対し、当時を振り返ってくれた。

「彼とはザダルのユースチームで出会ったんだ。ハイドゥクではほんの少しの間だったけど、クロアチアのユースチームではいつも一緒だったよ。あの頃は、僕のほうが評価されていたけれど、それがひっくり返るのがサッカーだよね。僕やルカより、もっと大きな才能を持っている人でもプロになれない選手だっているし」

その言葉通り、当時のモドリッチはあまり評価されていなかった。

このトライアルにおいても、グリゴロヴィッチは合格したが、モドリッチは不合格。ハイドゥクのスカウトは、トップレベルのサッカー選手になるためには華奢で、力がなさすぎると判断したのだ。

「彼がハイドゥクでダメだったなんて、僕には言えないよ。短期間で少年たち全員のクオリティを見ることなんてできないしね。でも。ルカはザダルへ戻った数年後、ディナモ・ザグレブで大活躍したよね」

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■サッカーの父との出逢い、開花した「才能」

luka modric - zrinjski - 2003

luka modric - inter - 2004

ザダルに戻ったモドリッチはその後、地元出身のサッカー専門家であるトミスラフ・バシッチ氏の推薦もあって、ディナモ・ザグレブの目に止まり2000年に加入した。バシッチ氏はモドリッチのサッカー人生において父親のような存在だ。モドリッチは日ごろから感謝していた。プロになった後も2人は連絡を取り合い、2014年2月に亡くなった際には地元の小さな島で行われた葬式にも参列した。

グリゴロヴィッチはモドリッチの少年時代を回想してこう話す。

「子どもの頃の彼はごく普通の少年で、ピッチ以外で目立つようなことはなかった。でもサッカーだけは特別で、すごく興味を持っていたようだよ。でも子どもの頃のルカのプレーを見て『彼がトップクラスの選手になると分かっていた』なんて言う人の言葉を僕は信じていないんだ。そんなのあり得ないよ! 彼がトッププレーヤーになると明確になったのは、ディナモでリーダーになった後のことだからね」

ディナモ・ザグレブへの加入はモドリッチにとって重要ではあったが、彼が実際に輝き始めたのはインテル・ザプレシッチにレンタル移籍したときだ。彼はこの小さなクラブで、そのシーズンのタイトル争いに貢献し、最終的にクラブを2位に押し上げた。

インテル・ザプレシッチの元監督はこう明かす。

「ルカは(ヴェドラン)チョルルカと(フルボイェ)チャレと一緒に加入したんだ。私は彼ら全員に『チームの中で自分のポジションを掴み取らなければいけない。もし18歳でそれができれば、将来良い選手になるだろう』と伝えたよ」

そして当時のモドリッチについて、懐かしそうにこう語る。

「ルカはたった一カ月でスタメン入りした。私は彼の後ろに立ち、『恐れるな。もし試合の3つや4つで良いプレーができなくても大したことではない』と常に言っていたものだよ。ルカが頑張って戦うところを見たかったし、彼に寄り添っていたかった。なぜなら、彼が自分が持っている以上のレベルのパフォーマンスを見せると、チーム全体のレベルが普段よりも上がるからだ。私が指揮していたときは、彼は前線のすぐ後ろでプレーしていて、よく敵陣のペナルティエリアに侵入していたよ」

そしてこう続ける。

「彼はいつもチームのために努力していた。もし当初のディナモとの契約通り、シーズン最後まで残ってくれていたら、我々が優勝していたと今でも確信している。ピッチではいつもベストだった。常に自信を持っていて、目標を理解していた。それに、いつでも公平で正直なところには好感が持てた。チームメートはみんな彼を大好きだった。彼と一緒に戦えたことを嬉しく思うよ」

同監督は現在、インテル・ザプレシッチの子どもたちにサッカーを指導している。しかし、サッカーを取り巻く環境はここ数年で大きく変わった。今と昔では、子どもの指導方法が変わっていて、再びモドリッチのようなレベルのプレーヤーを輩出することは簡単ではないという。

「ルカの頃は、子どもたちはストリートサッカーで育ち、我々は選手としての形だけを教えればよかった。しかし、今の子どもたちは路上でサッカーをしないんだ。ルカの才能は路上で磨れたんだ。クロアチアが彼のような選手を輩出することは近年では難しいかもしれないね」

モドリッチの驚くべき才能について語った同氏だったが「彼が今のレベルのような選手になることを予想していたかと言えば、それは難しい。驚異のプレーヤーだと認識したのは、彼がトッテナムで主力選手になったときだったと思う」とも話してくれた。そして彼の本当の素晴らしさに気がついたのは、さらに後々のことだったようだ。

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■物静かだがピッチでは「魅せ方を分かっていた」

Luka Modric | Tottenham

Luka Modric UEFA Champions League

モドリッチはボスニア・ヘルツェゴビナのズリニスキ・モスタルでもレンタル移籍でプレーしていた。当時の指揮官、ステファン・デベリッチ氏もまた『Goal』の取材でクロアチアの魔法使いを絶賛する。

「ディナモのユースやその後のズリニスキでも、私が指揮していた頃のルカは常にセントラル・ミッドフィルダーだった。彼はクリエイティブで、人並み以上の才能があったし、いつでも自分を魅せる方法が分かっていたんだ。それに完璧な技術も備わっていたから、ボスニアリーグのような難しいピッチコンディションをもろともしなかった。彼はキャプテンとなったけど、18歳でチームを率いるのは珍しいことだ。ボスニアリーグを経験したことで、さらにタフになったんじゃないかな」

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■ついにフル代表抜擢、一流の中盤選手へ

Slaven Bilic Luka Modric Football Oscars

元クロアチア代表監督のスラベン・ビリッチ氏もモドリッチの青年時代を振り返る上で重要な人物だ。ビリッチ氏はU-21、そして後にクロアチア代表でも彼に中心的な役割を与えたのだ。モドリッチがビリッチ氏のことを「これまでの中で最高の監督」と言及したこともある。

モドリッチのフル代表デビューは2006年3月、リオネル・メッシを擁するアルゼンチン代表戦だった。ビリッチ監督の指揮下で並外れた活躍を見せて3-2の勝利をもたらすと、EURO2008予選で強豪イングランドを撃破。本大会出場の立役者となった。

それでも、かつては必ずしも最高の評価を得ているわけではなかった。優れたゲームメイクセンスでフィールドを支配する一方、なかなか得点を決めることがなかったため、物足りなさを指摘する声もあった。

しかし、最近ではそんな声はほとんど聞こえてこない。得点力を上げる代わりに、お得意の支配力と魔法のようなパスの精度をさらに磨き、世界最高の武器を保持するようになったのだから。

現在32歳。フットボーラーの絶頂期は短い。マドリーとクロアチアのファンは、少しでも長く活躍を続けてくれるよう願っている。それが永遠に続くことはないだろう。だが、永遠に続くのではないかという錯覚と希望を、彼は我々に与えてくれる。

それこそが、モドリッチが一流のプレーヤーであり、人の心を動かし、世界中の人々から愛される理由なのかもしれない。

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■世界最高の選手を決める『Goal 50』とは?

『GOAL 50』は過去12カ月の活躍に基づいて世界から50人のベストプレーヤーを選出し、ランキングするアワードだ。世界37カ国にあるGoalの編集長や記者たちが……

・ビッグマッチにおけるプレーぶり
・前年と比べたパフォーマンスレベルの一貫性
・記憶に残る活躍だったかどうか
・所属クラブと各国代表での実績

これらを総合的に判断し、候補者を選定。ポイントの合計でトップに立った選手が「世界最高の選手」の称号に輝く。

■世界最高のサッカー選手50人を見るには?

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文=Ante Buskulic & Hrvoje Tironi/アンテ・ブスクリッチ&フルヴォイェ・ティロニ

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