ウエスカFW岡崎慎司のリーガ・エスパニョーラ2部における挑戦は、決して順風満帆なものとはなっていない。しかし、だからこそ岡崎は楽しんでいる。楽しみながら、選手として、ストライカーとしてさらなる成長を果たそうとしている。
23日のリーガ・エスパニョーラ2部第29節、敵地バジェカスでのラージョ・バジェカーノ戦で、岡崎は2戦連続となる先発出場を果たした。その意味は、大きい。冬の移籍市場で加入したFWラファ・ミルにレギュラーの座を一時期奪われた日本人FWだが、そのミルが出場停止だった前節アルメリア戦で豪快なヘディングシュートによって今季5点目をマークすると、ラージョ戦ではミルが復帰したにもかかわらずスタメンを維持し続けた。出した結果が、そのまま出場機会につながった。
岡崎はこのラージョ戦でも、結果を残しかけた。前半18分、右サイドからクロスが上げられると、狡猾な動きでマークを外して、再びヘディングシュートでネットを揺らした。だが喜びも束の間、岡崎がゴールの30秒前、競り合いの中でハンドを犯した可能性があったために、主審がオンフィールドレビューを行い、結果ゴールは取り消された。ウエスカはその後、54分にPKからMFマリオ・スアレスの先制点を許し、72分にはFWホルヘ・デ・フルトスに豪快なミドルを決められて、0-2の敗戦を喫している。VARによってゴールが取り消された岡崎は、リーガの中でも一際ピッチが狭いことで知られるバジェカスで、ウエスカが窮屈な戦いことを強いられた関係もあって、フィニッシュの局面でチームメートとの連係が取れずにシュート数の記録はゼロとなった。
試合後、岡崎はVARによって取り消されたゴールについて、こう振り返った。
「競り合いの中で、確かに腕に当たったのはあったんですけど、故意ではなかったので。自分が体を入れようとしたときに、パッと当たったなと思ったんですが、まああのまま続いたので。あの時間(オンフィールドレビュー)はどっちに転ぶかなという感じだったんですけど、最後は審判の判断でハンドを取られてしまいました。場合によってはゴールでも良かったというのはありましたが、まあ実際当たったものは当たったんで、厳しいですけど、しょうがないです」
「まあ、決めたときにはハンドを取られそうやなみたいな空気はあったんですけど。相手がけっこうハンド、ハンドと言っていたから、絶対抗議するやろなと思ったんで。基本的に判定はホーム寄りだったかなとは思うんですけど、もちろん彼らのホームなのでしょうがないかな、と。相手のPKも正直どうなのかなっていうのもあるし、どっちも審判の判断で何とも言えないですけど、審判によってはハンドじゃなかったもしれないですね」
ギリギリのところで点を狙うストライカーゆえなのかもしれない。岡崎は今季、VARで7回もゴールを取り消されている。VARがなければ、得点数はすでに二桁に到達している。
「ゴールのあと、気持ち切り替えるのもあれだから、もう入ったときも入ってないって思っておこうって(笑)。まあ、VARというものが一般化されてきてるから、どうしてもしょうがないかな、という。VARで見てもらえたっていうので、こっちが得することもあるし」
「まあ、今日は相手がすごいアグレシッブで良いサッカーをしてきたから、僕らもそれに対抗して前からプレスかけて、奪って、チャンスになりそうな場面を何度もつくったと思うし、ただ、そこからのクオリティーが今日はちょっと低かったと思うんですけど、そういうところでこっちが1点取れれば。まあ、ミケル・リコの1-1にできるチャンスがあったりとか、それと(後半途中から)ラファとの2トップも試みたけど、なかなか……。今日は相手が高い位置取ってて、サイドの選手が居場所をなくして中に入ってくることが多かったんで、結構渋滞していたと思うんですけど、そこは相手にはめ込まれたなっていう感じがしますね」
ミルとのレギュラー争いもある中で、やはり結果がほしかった岡崎。だが、そうしたチーム内外に存在する厳しい競争の中で、結果を手にするための課題もはっきり見えてくる。
「ここで点を取れば、もう確実に(レギュラーを取り戻せる)というところもあったので、決めたかったし、ただチャンスもなかったですけど……。まあ、自分のやることは常に変わらないし、試合に出る出ない関係なしに今このチームは昇格を争っていて、一試合一試合がすごく重要なので、そこで勝利に貢献できるようなプレーをしないといけないし、今日みたいな試合でもどこかで打開できるようなものが個としても、結局スペインでやっていくには必要だと思うし、上に行けば行くほどそれがさらに必要になってくるので」
「……まあ、実感しますよね。スペインでのし上がっていくのに必要な技術は、さらにあるなという。フォワードだったらなおさら、ゴール前でどうするのか、仕掛けるのかボールを受けるのかとか。そういう動きなり、キープするなりドリブルできるなりというところが、やっぱり必要かな、と。プレミアはプレミアで必要なんですけど、縦に入る選手がいる中で、自分みたいに簡単にはたけるとか気を遣ってディフェンスできたりする選手が重宝されて、僕もレスターでやれていた部分もあるけど、またフォワードとしてこっちに来てるので、そういう意味ではここでやっていくのに必要なものっていうのも色々あるなと感じますね」
ウエスカを率いるミチェル監督は4-3-3のシステムで、コンビネーションサッカーを実践。直接的にゴールを狙うようなプレーは少なく、岡崎にとってはなかなかボールが届かず、歯がゆい時間を過ごすこともある。だが岡崎はそうした状況を受け入れながら、外国人枠を占める助っ人選手として、有無を言わぬ存在になることを目指す。
「もっとボールをガンガン入れてくれたら、もっと自分がやれることもあると思うんですけど、ボールをもらえずにじわじわと時間が過ぎていくというのは、ウエスカでやっているとよくあることで。ただ、それに関しては、もう自分の中ではオッケーで、ボールが来たときにクオリティーをどれだけ見せれるかっていうのに今はフォーカスしていて、それは練習でもトライしています。良い場所でボールをもらえないから仕掛けられていないけれど、もっと良い場所でボールをもらえれば、もっと仕掛けられるようになると思うし、実際ドリブルで運んでミドルを打つとかというのも練習ではやってきてるんで。やっぱりそういう部分とか、相手にも味方にも『こいつ、やってくれるな』と思われるものをプレーで証明しないといけない。スペインで好かれるタイプは、そういう選手なので。それは日本でも、ブラジル人が重宝されたりするので、そうじゃないですか。キープできて、仕掛けられるし、点取れるしっていう感じで。スペインリーグでも一際際立ったプレーというのが必要だと思うし、それが得点なのか何なのか、結果にならないといけない」
レスター時代には前線の“汗かき屋”として、ゴール以外での貢献で称賛されてきた岡崎だが、ウエスカで求める自分像は異なる。彼にとって“汗かき屋”であることは最低限のタスクであり、今はゴールの記録というストライカー本来の役割に結果に執着する。1部でプレーすることも見据えながら、ゴールを決めるための動きを磨き続けている。
「まあ点を取るっていうことですね。動きの質で点を取るっていうことです。今日とかも、まあ認められなかったですけど、自分の動きで外して点を決めたので、そういう部分は相手も嫌がっていたと思いますし、『こいつ動くな』という感じでは見られてと思うので。そういう部分で、もっとやれるようにして。ディフェンスとのやり合いっていうのもやっぱり面白いし、激しいし……まあ、昇格したいっすね(笑)」
「前線でプレッシャーかけ続けたり、気を遣って下りていったりっていうのは、僕にとってはもう普通のことなので。それにプラスアルファとなるものがこのリーグでは必要になって、これが1部になるともっと激しくなると思うので。ここで昇格を目指すというのはもちろんだし、ここでどれだけできるかっていうのが、来年にも繋がると思うし……、まあ楽しんでやっています」
リーガ2部はのし上がろうとする選手たちがひしめくリーグでもある。今年4月で34歳となる岡崎だが、そうした選手たちから触発され、貪欲な気持ちをより強くしているようだ。
「ただやっぱり、ゴール前で良い形でボールをもらえないっていうのは、自分の動きにも原因があるし、周りもシュート打ちたいから打っちゃうみたいなのもあるし。一回、僕がボールを落として、ラバがずっとドリブルして僕に良いスルーパスを出してくれたら、僕がどフリーだったっていう場面もあったんですけど……このチームもそうだし、2部のほかのチームも結果を残したいっていう選手が多いし、まあしょうがない部分もあると思うんですけどね。でもやっぱり自分がもし決めることができれば、あいつに集めようってなると思うし、まだそこには至っていないかな、と。このチームでそういう選手にならないといけないなと思います。そういう意味でも、貪欲にゴールを狙わなくてはいけない」
「ラファも途中から出て、周りに『おい!』とか言われても自分からシュートを打つっていう。ああいうのってすげえなって、こっちのやつらはすげえなって感心させられるんです。日本人だと、怒られても怒られてもシュートを打つっていう人は、あんまりいないじゃないですか。ああいうのはこっちじゃ普通なので。何回取られてもドリブルするっていうのも。アホやなって思いながらも、そういう愚直さがスペインの文化なのかなって感じながらサッカーできているので。アホでも、ミスして気づくこともいっぱいあるし、それで頭良くなったやつが上に行けるっていうところで。まあ、そういうやつの集まりが2部っていうことで、今は理解していますけど。荒削りやけど、貪欲な選手たちが、上に行きたい選手たちが集まっているのが2部なんだと。その中で自分も、チームと一緒に上がって行きたい、チームを(1部に)上げたいと思っていますけど」
まるで若手選手のように多くの課題を発見して、それを克服することに意欲を燃やす岡崎。では、今現在の自分の強みは、どこにあるのだろうか。
「守備ではこのボールを追ったらチームが楽になるなとか、単純な頑張りではなくてここまで培ってきた経験でどうやったらチームを助けられるかっていうのが分かるとか、ですかね。あと何度も競り合ったり、ここで動いてほしいなというときに動いたりとか。それとクロスでは、ほとんどの形でマーク外せているんで、そこだけはやっぱり自信持っているし、『ここにクロス入れてくれたらな』というところに入ってくるなら確実にクロスから点取れていると思うし、実際VARがなかったらもっと点取れてるはずなので。そういう意味では、ペナルティーエリア内に関しては、このチームの中で負けないものがあるなと思いますね」
ウエスカは現在、昇格プレーオフ圏内の4位に位置。リーガ1部挑戦を見据えながら、向上する意欲を決して失わない岡崎の挑戦は、これからも続いていく。
文/江間慎一郎
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