2017-07-27 Morata Chelsea

モラタの加入でチェルシーはどう変わる?100億円を費やしたコンテ監督の意図とは…

スペインが誇る実力派ストライカーのアルバロ・モラタは、レアル・マドリーからチェルシーへ加入した。報道によると7000万ポンド(約101億円)もの契約解除金が発生したとも伝えられている。モラタはコンテ監督の信頼を失ったとされるジエゴ・コスタの代わりに、チェルシーの新たなエースストライカーとして期待を集めることになるだろう。

コンテ監督はかつてイタリア代表監督となる前、ユヴェントスを指揮していた時にモラタ獲得を熱望したことがあった。モラタは結果的にコンテが去った後のユヴェントスに入団し、それから2シーズンにわたってセリエAでプレーした経験を持っている。

現在24歳のモラタは、レアル・マドリーとユヴェントスに在籍中、スペインとイタリアのリーグを4度制し、カップ戦を4回制覇している。そして、チャンピオンズリーグのトロフィーを2回も掲げているのだ。

モラタは189センチと大柄でありながらクイックネスが素晴らしく、スピードも武器とする。そのうえ強靭で、冷静さも持ち合わせている。D・コスタの代役を務めるのはタフな仕事となるが、彼の能力を考えれば、チームメイトから信頼を得るのにそれほど時間はかからないだろう。

2017-07-27 Morata Chelsea

■センターFWとして

チェルシーとコンテ監督は、プレミアリーグを制した昨シーズンのフォーメーションを、2017-18シーズンも採用してくるはずだ。モラタは、D・コスタとまったく同じ役割を果たすことが求められることになるだろう。

モラタはD・コスタよりも機動力があるが、フィジカル面では一歩劣るため、エデン・アザールやペドロ・ロドリゲスといったシャドーストライカーとのワンツーをより多用することになりそうだ。チェルシーは、ピッチ上に3人の俊足のアタッカーを配し、より深い位置でディフェンスすることも狙いの一つにあるだろう。

チェルシーはホームで相手と戦う際、自陣に引きこもり守りを重視するチームに対しては空中戦で活路を見出すパターンが多い。とりわけウェスト・ブロムウィッチ戦が昨シーズンの顕著な例だった。モラタはチェルシーの前線では、粘り強く空中戦に身を投じる必要もあるだろう。

■2トップの一角として

チェルシーは昨シーズン、セスク・ファブレガスをリーグ戦で途中出場させるケースが目立った。その場合は3-5-2にしばしばスイッチしていた。ファブレガスは相変わらずチェルシーで最もクリエイティブな選手であり、コンテ監督は彼のゲームメーク能力によるリズムの変化を狙って、ベンチから送り出していた。

このフォーメーションの場合、モラタは相手の最終ラインの裏を狙う役割を担うことになるだろう。D・コスタの場合は強引にシュートまで持ち込む動きが目立っていたが、モラタの場合はもっとインテリジェンスな動きでシュートに至ることが可能だ。

また、中盤にファブレガスがいる場合は、彼のシャドーの動きを引き出すポストワーカーとしての働きも重要になる。ファブレガスは前線のFWにボールをはたいてから、ゴール前に走り込んでシュートに持ち込む動きを好んで得点機に絡む。この点では、スペイン代表でもファブレガスとプレーしているモラタなら、司令塔の持ち味を消すようなことはしないだろうし、十分に役割をこなせるはずだ。

2017-07-27 2016 Morata Fabregas

■4トップのキーマンとして

コンテ監督は、最終ラインを3バックに固執することなく、4枚を並べてスタートさせるケースもしばしばある。セリエA時代のバーリやユヴェントスでも使用したお気に入りのフォーメーションで、チェルシーの指揮官となったシーズン当初、ミヒー・バチュアイをD・コスタと並べて起用する際に、何度も使用したフォーメーションである。

そのプランはシーズン開始わずか1カ月で放棄せざるを得なかったが、前線でより幅広い働きをこなせるFWがいたなら、コンテ監督はもう一度このフォーメーションを実行しようとするかもしれない。

16-17シーズンにはなかなか実戦で採用されなかったフォーメーションだが、優勝が懸かった終盤のウェスト・ブロムウィッチ戦では、このシステムによってチェルシーにリーグタイトルがもたらされた。どうしても点を取り勝利を必要とする場面で、コンテはこのシステムを試す可能性が高いと見られる。

このフォーメーションはD・コスタではうまく機能しなかったが、モラタとバチュアイが並んだ場合、思わぬ機能性を見せつけることになるかもしれない。

Alvaro Morata Chelsea Burnley Premier LeagueGetty Images

ここまで、チェルシーがここ1年間に見せたシステムを振り返りながら、モラタがどのような使われ方をするか考察してみた。

いずれもその役割は前述のとおりではあるが、改めてモラタのストライカーとしての順応性、チームメートやシステムに合わせて役割を自在にこなすその万能性を踏まえると、コンテがなぜモラタを高く評価し、獲得に100億円をつぎ込んだのか、言わずもがな理解できる。

この補強が成功か失敗かは、シーズン序盤から“チェルシーの躍進”という形式の答えで証明される可能性も十分にあり得るだろう。開幕戦こそ敗れたものの、モラタがレギュラーとしてチームの色に染まり始めれば、“答え”はきっと出るはずだ。

文=ニザール・キンセラ/Nizaar Kinsella

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