マウリシオ・ポチェッティーノの解任、そしてジョゼ・モウリーニョの就任。フットボールのマネジメントにおいて、これは戦略的・文化的に、想像しうる最も極端から極端への変更だ。トッテナムは一夜にして、若手志向の高い位置でプレスをかけるアタッキング・フットボールから、ベテランのスター選手が自陣深くからカウンターアタックを仕掛けるフットボールに変わったのである。
モウリーニョを招聘したダニエル・レヴィ会長は、とてつもないギャンブルに出たといえる。ポチェッティーノのレガシーをズタズタに引き裂き、短期間で優勝争いを目指すことにしたのだ。スパーズの会長が巨額の投資を約束したことだけは間違いない。そうでなければ、対立的な新監督とあっという間に痛烈な争いをすることになるだろう。
これからの数年は、トッテナムの新時代を確立する年月になるだろう。モウリーニョは守備重視の監督と広く認識されているが、タイトルを争うライバルたちとの試合動画を何度も見ると、この見方は変わってくる。モウリーニョが「バスを止める」、すなわち堅固なディフェンスを敷くのはビッグゲームだけだ。マンチェスター・ユナイテッドでの荒涼たる18カ月を加えても、おそらくはポルトガル出身監督の戦術の好みというよりは、クラブの中毒性のサッカー文化を反映するものだといえるだろう。オールド・トラッフォードで監督をする前、モウリーニョはスピーディーなカウンターアタックとアタッキングサードでの自由を指導する監督だった。
堅固なディフェンスはつねに基本だった。プレスは最小限にして自陣深くディフェンスを敷き、サイドバックを守備に重きを置く。だが、ポルト、チェルシー、インテル、レアル・マドリーを率いていた時は、フォワードがハイスピードで突進するチームだった。マドリーでの3シーズンでは、チームはラ・リーガで100得点以上をあげているし、より最近の2014-15シーズン、モウリーニョが率いたチェルシーは、セスク・ファブレガスやエデン・アザールを中心に据えた、見る者の心を躍らせる攻撃的なフットボールも展開した。
モウリーニョは通常、4-2-3-1か4-3-3のフォーメーションを使う。スパーズのファンは、頻繁にフォーメーションが変化することに慣れるべきだろう。新監督は自分から仕掛けていく策士というよりは、リアクション監督なのだから。また、自身のシステムに対応できない選手に、実践的に新しいポジションを与える、滅多にないチーム編成もするかもしれない。モウリーニョは戦術において頑固だ。交渉の余地のない杓子定規のディフェンスだが、アタッキングサードでは驚くほど自由。少なくとも、前に出て行く権利はごく少数の選ばれた選手にしかない。
戦術全体の土台となる思想は、ポゼッションにおいてダイレクトパスを多用し、リスクを回避するというものである。ミスは許さない、相手にボールを与えてはならない、そうすれば半分は勝ったも同然という考え方である。
■各ポジションで優位に立つのは?

モウリーニョは各ポジションに特化したタイプの選手を欲する。センターバックにはパワフルな選手を好み、トビー・アルデルヴァイレルトとダビンソン・サンチェスが頻繁にプレーすることが予想される一方、サイドバックは何よりもまずよきディフェンダーである必要がある。スパーズが特に弱く、ミスの多いエリアがここである。セルジュ・オーリエが信用されないことは間違いなく、ダニー・ローズは左で若返ることだろう。
長らくトッテナムには純然たる守備的MFがいなかった。確かにモウリーニョには、ネマニャ・マティッチのような役割ができる選手が早急に必要だろう。1月にスパーズが動けるようになるまで、タンギ・エンドンベレの翼は折りたたまれたままだろうが、エリック・ダイアーは必要とされるものから程遠いというわけではない。保守的過ぎるサッカーでポチェティーノ前監督に干されていたヴィクター・ワニャマの起用法も注目。新監督が中盤の底に欲する選手がまさにそれなのだ。
モウリーニョは通常、運動能力の高いボックスtoボックスのプレーヤーと、訓練されて創造性ある選手を起用する。クリスティアン・エリクセンとムサ・シソコは完璧にフィットするだろう。デレ・アリは守備時のポジションに関する厳しい指示に従わず、試合中に放浪する癖がある。改善できなければ、ポジション争いから脱落することになるかもしれない。
ハードワークができる快速ウィングは常に必要とされる存在になる。そのため、ソン・フンミンは先発メンバーに最初に名前があがる選手である。モウリーニョは逆サイドに機転が利く、クリエイティブなウィングを置くことが多い。右ウィングに関してはエリック・ラメラとジオヴァニ・ロ・チェルソの成長を待つことになるかもしれない
前線ではハリー・ケインが典型的なモウリーニョ型のフォワードだ。ハードワークが出来て、献身的で、パワフルで、得点力がある。軸になることは間違いない。
■冬の移籍市場にも注目
Getty1月の移籍市場でどう動くかを見れば、トッテナムの戦術がどのくらい変わるかが決定的にわかるだろう。今になってみれば、8月に期限ぎりぎりのところでパウロ・ディバラのために大金を使おうとしたレヴィ会長の試みが、その後のポチェッティーノ解任、ひいてはスーパースターになる可能性のある若手への投資を軽視する合図になったようにも見える。
スパーズがブルーノ・フェルナンデスに大金を使うこともできる一方で、ディバラ獲得の再交渉はクラブと監督の双方にとっての長期目標である可能性が高いように思われる。モウリーニョには新しいセンターバックも必要で、カリドゥ・クリバリ獲得の可能性もある。さらに、3500万ポンド(約48億円)で、チェルシーが狙っていると報道されているニース所属のユーセフ・アタルも右サイドのオプションとして名前があがっている。
レヴィ会長が右サイドバック、センターバック、守備的MF、右ウィングの獲得を狙っていることは間違いない。だが、これまでのやり方をみれば、この会長がインフレの市場に必要なカネを喜んで支払うとは思えない。代わりにもっとカネのかからない方、たとえば、不必要なマンチェスター・ユナイテッドのコンビ、ネマニャ・マティッチとディエゴ・ダロットの獲得に向かうかもしれない。そうなれば楽観論はあっという間にしぼむだろう。そして、モウリーニョの戦術はつまらないものになってしまう。
他方、デンマーク代表のエリクセンは、アルデルヴァイレルトやローズのように、新しいプロジェクトへの参加のチャンスが与えられる可能性が高い。この3人がフリーでクラブを去れば、トッテナムは多額のカネを失うことになる。3人ともが以前に、モウリーニョがオールド・トラッフォードに求めていたのは偶然ではない。これは誰にとっても、まったく新しいスタートなのだ。ビッグプレーヤーの到来の始まりであり、これからはスタイルよりもタイトル獲得が優先されるのである。
戦術はネガティブなものかもしれない。だが、モウリーニョのもとでの旅は退屈なものにはならないはずだ。
Goalでは「モウリーニョにもっと期待したくなる!トッテナムファンが読むべき記事7選」をまとめている。
就任前からトッテナムのチーム力を評価していたモウリーニョのエピソードなど、スパーズファンなら必見の記事を7つご紹介。
▶「モウリーニョにもっと期待したくなる!トッテナムファンが読むべき記事7選」はコチラから。
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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です





