Lionel Messi Karim Benzema Barcelona Real MadridGetty/Goal

“メッシ依存”顕著なバルサに決定力不足のマドリー…リーガ前半戦を徹底総括!サプライズ、失望チームは?

リーガ・エスパニョーラ第18節までが終了して、首位バルセロナが勝ち点39、2位レアル・マドリーが勝ち点37を獲得。3位セビージャが勝ち点3差で追走と、やはり2強が優勝争いをリードしている。が、両チームとも盤石の強さを発揮したわけではなく、ここまで紆余曲折があった。バルセロナが現在のペースで勝ち点を重ねるならば、最終的に87ポイントで優勝を果たすことになるが、それは2008-09シーズン以降では初となる勝ち点90台を下回った昨季と同ポイントになる。これは一時期勝ち点100に到達するレベルで争った2強の強さの低下や、リーガのテレビ放映権収入が一括管理となり、他チームが力をつけ始めていることなどに由来しているはずだ。

文=江間慎一郎

■パフォーマンスは低調も凄まじい決定力を誇るバルサ

Lionel Messi Barcelona 2019-20Getty Images

エルネスト・バルベルデ監督率いるバルセロナは、今夏にアトレティコ・マドリーからアントワーヌ・グリーズマン、アヤックスからフレンキー・デ・ヨングらを獲得して陣容をより厚くさせたものの、そのパフォーマンスはサポーターを納得させるまでには至っていない。先にはジョゼップ・グアルディオラ率いるバルセロナが六冠という大偉業を果たして10年目を迎えたが、現チームはあの頃の姿にノスタルジアを感じさせているようでもある。

今季のバルセロナは、アンドレス・イニエスタやチャビ・エルナンデスが中盤で舵を握っていた頃とは違い、試合を支配できないことがままある。顕著なのは4勝2分け3敗と半分以上の試合で勝ち点3を逃しているアウェー戦で、たとえ勝ったとしても“バルセロナの試合ではない”と、バルベルデへの批判が強まっている状況。バルベルデが「アウェーで試合を支配するチームを、私は確認していない」と話したのも火に油を注いだ。ただ、それでも本拠地カンプ・ノウではクラシコの1分け以外8戦全勝を貫き、またルイス・スアレスが10得点、少しずつチームに適応し始めたグリーズマンが7得点、何よりメッシが13得点と前線が迎えるチャンスをしっかりと決め切っている。彼らは、フリーキックやミドルシュートなどからも抜群の決定力を発揮するオールレンジのゴールマシンと化したメッシへの依存をかつてないほどに高めながら、優勝争いの先頭を走り続けている。

■好調も決定力不足のレアル・マドリー

Vinicius, Bale, Zidane, Benzema y Jovic, Real MadridGetty

その一方でレアル・マドリーは、今夏にジネディーヌ・ジダンがポール・ポグバの獲得を求めながらもクラブ上層部がそれに応えられず、さらにプレシーズンではアトレティコに3-7の大敗を喫するなど、不穏な状況のままシーズンをスタートさせ、実際に最初はつまずいた。チャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第1節のパリ・サンジェルマン(PSG)戦(0-3)、さらにはリーガ第9節マジョルカ戦(0-1)の敗北によってジダン解任論が騒がれ、会見で監督本人にそうした質問が投げかけられるにまで至った。だが彼のチームはここから、パフォーマンス的に再起を果たす。

ジダンがフェデ・バルベルデを中盤のレギュラーとして起用し始めると、チームは瞬く間に上昇気流に乗った。ジダンが「ボックス・トゥ・ボックスを体現する現代的な選手」と評するバルベルデは、その遠くから見ても足が長い恵まれた体格でピッチを縦横無尽に駆け抜け、その抜群の読みと技術で攻守に貢献。悪い流れを強引にでも断ち切って、自チームの優勢に持っていく力をを誇示した。トニ・クロース、ルカ・モドリッチ、カセミロというかつてジダンとともに欧州を席巻した中盤3枚に規格外の新風が加わると、王者の錆び付きが少し取れたようで、CLグループステージ第5節のPSG戦(2-2)やクラシコ(0-0)では相手を圧倒した。

ただし、ビッグマッチでも圧倒はしながらも勝ち切れない、点を取れないのが現在の、いや、クリスティアーノ・ロナウドが去って以降のマドリーである。ベンゼマはリーガで12得点を記録するなど得点力を発揮しているが、アタッキングサードでのアイデアが欠けており、それに続く得点者が存在していない(2番目に得点数が多いのは、セルヒオ・ラモスの3得点)。アザールの復帰や他選手の奮闘で、空いたままのC・ロナウドの穴をいかに埋めるかが今後の課題となるはずだ。しかし、バルセロナがパフォーマンス的に物足りないながら決定力が充実し、マドリーが決定力的に物足りないながらパフォーマンスが充実しているというのは、パラドックスのようである。『Opta』のチャンス数やシュート数から計算したゴール期待値は、バルセロナは「28.59」。だが実際にはそれを18.41得点上回る「47得点」を記録した。対してマドリーの期待値は「37.13」で、そして4.13得点下回る「33得点」にとどまっている。

■MVPは順当に…

Lionel Messi Barcelona Alaves LaLiga 21122019Getty

負傷の影響でリーガ第7節までは2試合しか出場できなかったメッシだが、その後は獅子奮迅の活躍で13得点を記録。ベンゼマに1点差をつけてリーガ得点王ランク首位を走っている。先のバロンドール授賞式では、プロアスリートの破れぬ掟である引退という出来事が近づいていることをついに口にした32歳だが、そのプレーは引退を感じさせるどころか極限の域に達しているようだ。止められないドリブルは健在で、今はそれだけでなくフリーキックやミドルレンジから叩くボールも止められない。バルセロナのパフォーマンスがいかに低調であっても、彼がいれば強引にでも流れを引き寄せられる。第18節アラベス戦(4-1)では、相手に押され始めたことでカンプ・ノウにブーイングが響き渡る中、5人に囲まれながらも絶妙なミドルシュートを突き刺して流れを変えた。彼のプレーは見慣れるということがなく、重い衝撃を与え続ける。

■健闘するセビージャ、レアル・ソシエダ

Odegaard Osasuna Real Sociedad 22122019@RealSociedad

サプライズと呼べる活躍を見せているのが、ここまでCL出場権争いに興じている3位セビージャと5位レアル・ソシエダ。両チームともアウェーで強く、セビージャが6勝2分け2敗、ラ・レアルが5勝2分け3敗と、レアル・マドリー(4勝4分け1敗)、バルセロナ(4勝2分け3敗)の成績を上回る。今季にポゼッション・フットボールを売りとしてきたジュレン・ロペテギを招へいしたセビージャは、アウェーでは失点のリスクを抑えながら、本拠地サンチェス・ピスフアンではより攻撃的なプレーを見せて勝ち点を積み重ねている。一方のレアル・ソシエダは、ウーデゴール、ミケル・メリノ、ポルトゥ、オジャルサバルら豪華布陣が展開する攻撃的フットボールが抜群の破壊力を発揮。バルセロナ(47得点)、レアル・マドリー(33得点)に次ぐ得点数を挙げている。

■期待外れのアトレティコ…

Joao Felix Atletico Madrid 2019-20Getty Images

ディエゴ・ゴディン 、フィリペ・ルイス、フアンフラン 、さらにはグリーズマンが抜け、代わりに移籍金1億2000万ユーロでジョアン・フェリックスなどを獲得するなど、大幅に陣容を変化させたアトレティコ。それでも優勝争いに絡むことを期待されていたが、2強の勝ち点獲得ペースがそこまで速くない中で、首位バルセロナに勝ち点7差で4位と後塵を拝している。

堅守速攻だけでは伸び代がないことを理解するディエゴ・シメオネは、今季から本格的にポゼッションフットボールを実践しようと試みたものの、ここまでは決定力がついてこない。ここまでのゴール数は、わずか20得点。先の『Opta』のゴール期待値は「34.76」だが、実際にはそれを11.76得点下回る。ゴール期待値で次に落差がひどいのがエスパニョールのマイナス6.96得点で、リーガではダントツで、最もチャンスをモノにできていない。相手を後方に押し込めばスペースがなく、もちろんチャンスの確度は低くなる。アトレティコはモラタ、さらにジエゴ・コスタ(現在は長期離脱中)の決定力不足も相まって、ゴールに近づけば近づくほど、ゴールから遠ざかっているようだ。シメオネはこれを受けてか、最近の試合では相手をそこまで押し込むことなく縦パスを送り、前線の選手を走らせるプレーを再び実践し始めているが、吉と出るか凶と出るか……。冬の移籍市場で、エディンソン・カバーニなどストライカーを獲得できるかも成否を分けそうだ。

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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

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