2017-12-22-shinji-okazaki(C)Getty Images

マンC相手に奮闘も「ゴールを決めなければ」…岡崎慎司が語る二桁得点への渇望

岡崎慎司が所属するレスターは19日、マンチェスター・Cとカラバオ杯(リーグ杯)準々決勝を戦った。試合は1-1のスコアで延長戦に突入。それでも決着はつかず、PK戦の末にレスターが3-4で敗れた。

レスターは、FWジェイミー・バーディーとMFリヤド・マフレズの主軸がベンチスタート。さらに、DFウェズ・モーガンやGKカスパー・シュマイケル、DFダニー・シンプソンがベンチ外という1.5軍編成でこの一戦に臨んだ。

その中で岡崎は、MFマーク・オルブライトンやMFビセンテ・イボーラと共に先発メンバーに名を連ねた。ポジションは4-4-1-1のセカンドトップ。シーズン開幕前にマンチェスター・Cから加入したナイジェリア代表FWのケレチ・イヘアナチョと前線でコンビを組んだ。

■マッチアップしたY・トゥーレが苛立ちを露わに

岡崎のプレーでまず目についたのが、マンチェスター・Cでアンカーを務めるヤヤ・トゥーレとのマッチアップ。特に光ったのは岡崎の守備だった。

4-3-3の中盤底に入ったY・トゥーレは、低い位置でボールを受けて左右に展開する”攻撃の起点”だった。対する岡崎は、元コートジボワール代表MFにボールが入ると素早くプレス。174センチの岡崎と、191センチのY・トゥーレの身長差は15センチもあったが、岡崎は粘着質の高いマークで上手に抑えていた。

球際で何度も岡崎とバトルを繰り広げていたY・トゥーレが、フラストレーションを露わにしたのは53分の場面。岡崎が背後から2度つっかけていくと、34歳のベテランMFは「ボールに行け」とジェスチャーで背番号20に抗議した。ボールが来そうになれば寄せていき、パスを受ければ身体ごとぶつかってくる岡崎に、かなり手を焼いているのは明らかだった。たしかに、対戦相手からすれば、非常に厄介な存在だろう。

こうした岡崎の積極的な守備が、劇的な同点ゴールにつながった。

90分経過時までマンチェスター・Cが1-0でリード。敗戦濃厚の中、後半アディショナルタイムに突入した。すると90+5分、岡崎が猛ダッシュでプレスバックし、Y・トゥーレへのパスをカット。体勢を崩しながらも、なんとかグレイにボールを預けた。

ここからグレイがドリブルで長い距離を突っ走る。PA内に入ったところで相手選手に背後から倒され転倒。獲得したPKをバーディーが成功させ、レスターが土壇場で同点に追いついた。岡崎の執拗なマークが、同点ゴールの起点になった格好だ。

■ゴール量産の相乗効果

しかしながら、「今日みたいな試合でゴールを決めなければ」と本人が漏らしたように、攻撃面で結果を残すことができなかった。ただ、難しさはあった。シティ相手で守備にまわる時間が長かったことがひとつ。また、カップ戦用の1.5軍メンバーであったことから、とくに前半はチームの連携がスムーズにいかなかったことも災いした。

それでも、クロスボールに飛び込むトライでたびたびチャンスをつくった。いずれも敵にブロックされたり、他の味方に渡ったりして、シュートには結びつかなかったが、クロスのタイミングが合えばネットを揺らしていてもおかしくなかった。「リヤド(マフレズ)のクロスがニアに入れば、自分が触れた場面はあった」、「もう少し早く中に入っていたら、簡単に押し込めるシーンがあった」と、本人も口惜しそうな表情で試合を振り返った。

岡崎としても、今は積極的にゴールを狙っている。昨シーズンまでは中盤でリンクプレーをこなしたり、サイドMFのサポートにまわることが多かったが、これまで以上に意識をゴールに傾けているという。とくに力を入れているのが、12月13日のサウサンプトン戦で決めたような「クロスを点で合わせる動き」。背景には、プレミアで自己最多となる6ゴールを挙げていることの相乗効果があるという。

「昨シーズンまでは、中盤で繋ぐプレーを意識していたんですけど、いまはゴール前に入っていくことを意識している。チームとしては僕がサイドに流れた方がいいシーンもあると思うんですけど、今はゴールを獲れているから、余裕を持って中に入っていける。サイドを崩すことだけでなく、(ゴールを重ねているので)得意のクロスに合わせるプレーが選べる。それが今の自分の立ち位置だと思っています。

今日の試合からも何かを掴んで、『あそこで一歩行けるか』というところにこだわっていきたい。そういうところを突き詰めていきたいですね。そうすれば、必ず二桁(ゴール)いけると思います。二桁がひとつの夢なので、二桁いきたいですね。はやく、はやくいきたいです」

守備での貢献度の高さは、英メディアを含めて誰もが認めるところだ。さらに、ゴールを重ねていることで、攻撃面の評価もジワリジワリと高まっている。岡崎としても自身の夢である二桁ゴールに到達し、ストライカーとしてもう一回り成長したいと願っている。

守備や献身性への評価は十分なほど高い。しかし、「はやく、はやく」と二度に渡って二桁ゴールへの思いを口にしたあたりに、ストライカーとしてのプライドが伝わってきた。そう、岡崎のマインドはストライカーなのだ。

プレミアリーグは、次節でシーズンの折り返し地点に到達する。残り試合は20。その中で4ゴールを挙げるというのは、決して不可能なタスクではない。そして、二桁得点に到達すれば──。「献身的な守備的FW」や「ハードワーカー」といった評価に加え、岡崎が本来持つ「点取り屋」としての才能も、これまで以上にイングランドで高く評価されるようになるだろう。

取材・文=田嶋コウスケ

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