2019-11-26-Marseille(C)Getty Images

マルセイユに浸透し始めたAVB采配。際立つイメージなしも勝ち続けているワケ

11月24日のリーグ・アン第14節で、トゥールーズに0-2で勝利したマルセイユは現在、首位のパリ・サンジェルマン(PSG)を追う2位の座につけている。

10月最後のリーグ戦となった第11節でPSGに敗れると、一時は7位まで順位を落としたが、11月に入ってからは、リール、リヨンと、ポディウム入りのライバルとなりそうな相手を続けて退け、このトゥールーズ戦で3連勝。

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この試合、前半は右サイドバック、後半は左サイドバックにスイッチして先発フル出場した酒井宏樹も試合後、「(この勝利の意味は)大きいですね。これで3連勝。連勝はチームに勢いをもたらしてくれるので」と充実の表情を見せた。

試合は、前半終了間際の42分にトゥールーズが退場者を出して数的有利の状況を得たものの、一人失った相手がよりコンパクトにしぼってスペースを潰す守り方をしていたこともあり、マルセイユにとってはなかなか得点チャンスを得られないもどかしい展開だった。

73%のボールポゼッション、パス成功率もトゥールーズの171本に対して585本と、マルセイユが圧倒的にボールを支配したが、先にゴールチャンスを得たのはトゥールーズ。これはGKスティーブ・マンダンダがファインセーブでクリアしたが、俊足で身体能力の高い攻撃陣を揃えるトゥールーズは、最大の武器であるカウンターアタックを何度か繰り出し、酒井が終盤、激走して相手を食い止めた場面もあった。

「(点を)とれない可能性はありましたけど、その可能性を高くしていくことしか僕にはできない。ディフェンダーとしては、切り替えのところ、カウンターアタックだけが相手の唯一の可能性であって、そこをどう潰せるかが僕らのタスクだと思っていたので、それは遂行できたかな、と」

酒井も「(点を)とれない可能性はあった」と語ったように、ボールこそ支配していたが、マルセイユにゴールが入りそうな気配は、76分の先制点までは一切なかった。

前線にボールが渡っても、アルゼンチン人の主砲ダリオ・ベネデットもシュートではなくパスを選ぶなど、もどかしい場面もたびたび。

酒井は「良いソリューションを探しているだけだと思うので。結果2点をとってくれれば僕らは言うことはない」と味方を評価したが、マルセイユのスローガン『DROIT AU BUT(ゴールに一直線!)』からは程遠い戦いぶりだった。

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転機になったのは、64分にマキシム・ロペスに替えてセルビア代表のMFネマニャ・ラドニッチを、75分にモルガン・サンソンに替えてFWヴァレリー・ジェルマンを投入した、アンドレ・ヴィラス・ボアス監督の采配だ。

ジェルマンは、入って間もなく、クサビのプレーでディミトリ・パイェにパス。パイェがゴール前のベルナデットに絶妙なスルーパスを出し、これが先制点を引き出した。そして3分後、ジェルマンが相手のパスをインターセプトし、こぼれ球に飛びついたラドニッチが華麗なソロドリブルからフェイントを入れてのシュート。この得点を機に、マルセイユは攻撃マインドむき出しの勢いあるプレーに転じ、終了のホイッスルが鳴るまで相手を抑え込んだ。

キャラクター不在を支えるのは…

Florian Thauvin Marseille Ligue 1Getty

正直なところ、今シーズンのマルセイユは、際立ったキャラクターのない、プレーンなチームという印象は否めない。

それは、エースのフロリアン・トヴァンが足首を手術して、5節以降欠場しているせいでもある。また、昨季まで在籍していたルイス・グスタボのような、ピッチ上で傑出したリーダーシップを発揮する選手もいなくなった。

「なんとか勝った」という試合も少なくなく、下位のディジョンやアミアンから勝ち点3を取り損ねると、危うい空気も漂いだした。

そこで迎えたリール、リヨンとの強豪対決に勝利し、トゥールーズ戦で3連勝を飾ることができたのは、今シーズンから指揮をとるヴィラス・ボアス監督の采配が、徐々に浸透し、形になってきた証でもある。

Andre Villas-Boas Marseille 2019-20Getty

ポルトガル人監督は、3-5-2や4-3-3など異なるシステムを試し、センターバックのブバカ・カマラを中盤底のポジションで使ったり、このトゥールーズ戦でも、右サイド専門のブナ・サールを左サイドバックで先発させるなど、戦術にも選手起用にも柔軟性をもって取り組んできた。

番記者は、42歳で快活な指揮官の着任で「クラブの雰囲気が明るくなった」と高評価。マキシム・ロペスが「オートマチズムの質をどうやってあげていけば良いかなど、根気よく指導してくれる」と感謝をこめて語っているように、選手たちも新監督が積極的にコミュニケーションをとる姿勢を歓迎している。

2位に浮上したとはいえ、3位のアンジェはわずか1点差、3位と4位のボルドーとサンテティエンヌは3点差と、1試合の結果で順位が変わる危うい状況ではあるが、「次の試合(金曜のブレスト戦)にも勝てば、後続のチームにプレッシャーをかけられる。ここからクリスマスまで、この勢いを継続したい」とヴィラス・ボアス監督自身も、チームが上昇ムードにあることに手ごたえを感じている様子。

「大事なのはこれから。どんなに小さいクラブでも勝つことはすごく難しいですし、簡単に勝てる相手なんてフランスリーグにはいない。(マルセイユ相手に)一矢報いてやろうという相手ばかりなので。しっかり集中してやっていきたい」と酒井も意気込んだ。

12月3日の16節には3位のアンジェ戦、17節には現在4位のボルドーとの直接対決が続く。

この2戦は、マルセイユにとって前半戦の山場になりそうだ。

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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

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