21歳にしてレヴィン・エズトゥナリはすでにドイツの3つのクラブでプレーした経験を持ち、ブンデスリーガのユースで活躍した優秀な選手に贈られるフリッツ・ヴァルター・メダルの銀賞受賞者でもある。エズトゥナリの活躍が特に目立ち始めたのは昨年夏にマインツに移籍してからだ。コンスタントにピッチの上で結果を出せるようになり、今シーズンはレギュラーとなるまでに成長を遂げている。
伝説的なフットボーラー、ウーヴェ・ゼーラーの孫にあたるエズトゥナリが『Goal』のインタビューに答え、プロのフットボーラーでいられることについて、マインツへの移籍の決断について、監督の指揮下で自分の果たす役割についてとことん語ってくれた。
■「趣味を仕事にできている」
――少し前に誕生日を迎えたと思いますが、お祝いは十分にできましたか?「そうだね。羽目を外したりはしなかったけどね。チームでは誕生日を迎えた人がチームメイトに食事をおごるのが習慣になっているんだ……。まだやれてないけどね(笑)」
――あなたは現在21歳ですが、すでにブンデスリーガで80試合以上の出場経験があります。この数字については誇らしく思っていますか?
「この年齢ですでにこんなに多くの経験を積むことができたのは素晴らしいことだよ。でも僕たちのチームは若い選手が多くてすでに僕はベテランの域に入っていると自覚しているよ。だけどベテランだと思ってあぐらをかいていてはいけないね。今シーズンも毎週新たな気持ちで一週間を始めて、一つひとつの試合に集中したよ。自分をアピールすることを怠ってはさらに経験を積んでいくことはできないからね」
――経験を積めるということは、あなたの夢が実現したということでもありますか?
「もちろんだよ。僕は自分の趣味を仕事にすることができたんだからね。小さい頃、子供用の広場でフットボールを始めた時のことを僕はまだ覚えているんだ。あの頃の僕はフットボールを仕事にする日が来るなんて思ってもみなかったんだ。ほかのフットボーラーもみんな同じなんだろうけど、僕は今、子供の時から一番の楽しみだったことをやっていられるんだ」
■今シーズンを振り返って
――今シーズン(2016-17)が始まる前にマインツへの移籍を決めたのはどうしてですか?「マインツには若い選手が大勢いるし、ここのフットボールが僕に合っていると思ったからさ。それに、監督がどんなフットボールをやりたいと思っているのかがすごく良く分かったからね。監督は若い選手たちを育ててスピード感のあるフットボールをやろうとしていたんだ。ここのメンバーになってさらに成長することができてとても嬉しく思っているよ」
――今シーズン、マルティン・シュミット監督(※今季終了後に契約を解除)のもとであなたが求められていた役割は何ですか?
「攻撃にも積極的に参加することかな。必要な場合には相手陣内に留まって、敵の選手を何人かかわす突破力を発揮することでもあるね」
――今シーズンを振り返って、それは機能していましたか?
「以前よりはうまくやれるようになったよ。積極的にプレーに絡んで頻繁に決定的な場面に参加するようにしていたからね」
――今シーズンのマインツをどう評価しますか?
「シーズン前半は、うまくいかないことも多かったけれど、耐えてできるだけ勝ち点を手にすることが重要だったね。その点ではうまくやれたと言ってもいいんじゃないかな。もちろん、主導権を握られてしまった試合もあったけれど決して気を緩めずにいたよ」
■力になってくれたのはベテランMF
――マインツではレギュラーメンバーとなりほとんどの試合でピッチに立っていましたね。試合前にやるゲン担ぎのようなものはありますか?「試合前にはいつもバスの中で心を落ち着かせることに徹しているから、音楽を聴いて集中力を高めているよ。でも、それがゲン担ぎのためかと言われたらそういう訳ではないよ(笑)」
――どんな音楽を聴くと集中できますか?
「ヒップホップやR&Bが一番好きだね」
――あなたにはすでにブンデスリーガの3つのクラブでプレーし、多くの選手と一緒に練習してきたと思います。その中で特に記憶に残っている選手は誰ですか?
「僕がやっと17歳になったころ、レヴァークーゼンで一緒だったシモン・ロルフェスだね。僕は彼からとてもたくさんのことを学んだんだ。練習を見ているだけでも学ぶ部分がたくさんあったし、彼はいつでも有意義なアドバイスをしてくれたんだ。彼は僕と同様に練習が終わってもグラウンドに残っていて、よく二人で居残り練習をしたよ。これはものすごく意味のあることだったね」
――あなたはドイツの各年代のユース代表チームをすべて経験し、2014年にはU-19欧州選手権のチャンピオンにもなっています。最も心に残っている瞬間はありますか?
「それは間違いなくU-19欧州選手権の決勝で終了のホイッスルが鳴った時だね。とても際どい試合だったから終わった時は本当に嬉しかったよ。だけどトーナメントでの他の試合も素晴らしい経験だったね。あのトーナメントは、僕たち全員をフットボーラーとしても人間としても成長させてくれたんだから」
■U21ドイツ代表としての目標
――U21の代表メンバーにも選ばれていることはどう感じていますか?「同じ年代の最高の選手たちと一緒にプレーして国際的なレベルで自分の力を測れるんだから、これはいつだって素晴らしい経験だよ」
――ヨアヒム・レーブからコンタクトはありますか?
「いや、ないね。今の僕はU21の代表チームのメンバーなんだ。僕はまずここで自分の力をアピールしたいと思っているよ」
――フットボール以外で一番の趣味は何ですか?
「たいていプロのフットボーラーはいろいろな趣味を追いかける時間なんて全然ないものなんだ。練習して、ヨーロッパリーグで何度も遠征して、長い間ホテル暮らしで……趣味を考える暇なんてないでしょ?(笑)僕は一番の趣味を仕事にすることができているんだよ。でも自由な時間がある時には、できるだけ多くの時間を家族や友人たちといっしょに過ごすのが好きだね」
エズトゥナリは来季もマインツでプレーされることが予測されるが、彼の活躍はこれまで以上に注目されることとなるだろう。来シーズンは彼にとっての“趣味”の時間が増えることを期待したいところだ。
取材・文=トビアス・ロレンツ/Tobias Lorenz


