勝者:アントニオ・コンテ
カルチョ・スキャンダル以後のユヴェントスの復活に関して、アントニオ・コンテとジュゼッペ・マロッタは力を合わせて大きく貢献した。今やこの2人のコンビは、ユヴェントスを再び打ちのめすことのできる立場にいる。その将来性ある兆候が早々に見られているのだ。
インテルは今シーズンのセリエAで完璧なスタートを切った。ホームでレッチェを壊滅させた後、カリアリとの接戦も制して連勝。これには、夏の移籍が大きな役割を果たしている。
コンテ監督は得意の3-5-2のシステムを起用すべく、センターバックに新たな選手を欲していた。そこで、アトレティコ・マドリーを自由契約になったディエゴ・ゴディンに飛びついたのだ。さらに、中盤の若返りも望んでいた指揮官は、ニコロ・バレッラとステファノ・センシそれぞれカリアリとサッスオーロから獲得した。
Getty/Goalレンタル移籍で獲得したアレクシス・サンチェスがどういう買物だったかを判断するのはこれからだ。オールド・トラッフォードではルカクに増して悲惨な時間を過ごしていたものの、インテルに新しい攻撃のオプションをもたらしており、これもまたコンテが望んでいたことであった。
インテルは久しぶりにタイトルを目標に掲げられるチームと監督を手にしたと言える。すでにクラブ全体の雰囲気を変わり、前キャプテンのマウロ・イカルディがついにチームを離れたことで、チームの一体感はむしろ増している。チームに必要とされていなかったイカルディは、移籍期限最終日にパリ・サンジェルマンへのレンタル移籍が発表された。
コンテ率いるインテルは、早くも同監督が率いていたころのユヴェントスに似てきている。「老貴婦人」ことユヴェントスは、ほどなく居場所を追われることになるだろう。
勝者:アトレティコ・マドリー
今夏、アトレティコ・マドリーはディエゴ・ゴディン、アントワーヌ・グリーズマン、ロドリ、リュカ・エルナンデス、フアンフラン、フィリペ・ルイスを失った。
経験と才能を兼ね備えた選手を軒並み失ったのである。それにもかかわらず、アトレティコ・マドリーは移籍市場で大きな成果を挙げたクラブのひとつと言われている。なぜだろうか。
それは、失った選手たちの代わりに、素晴らしい実績を誇る選手たちが入ってきたからだ。実際、結果がそのことを証明している。
アトレティコは現在ラ・リーガの首位であり、開幕3試合で3連勝。すでにレアル・マドリーには勝ち点4差、バルセロナには勝ち点5差をつけているのだ。
アトレティコがキーラン・トリッピアー獲得のために、トッテナムに2200万ユーロ(約26億円)を払ったときは眉をひそめる人たちもいたが、イングランド代表DFはプレミアリーグでの悪夢のシーズンを振り払い、早くもワンダ・メトロポリターノにしっかり根を下ろしている。
マリオ・エルモソは、ホセ・ヒメネスと並んで水も漏らさぬ守備を披露しているし、マルコス・ジョレンテを同じ都市のライバルチームに売ってしまったレアルは、後悔しきりであろう。
Getty Imagesしかしながら、この夏、アトレティコが契約した選手の中で最も重要なのは、間違いなくジョアン・フェリックスだろう。
フェリックスのために支払われた金額は、10代の選手においては歴史的に高額な1億2600万ユーロ(約150億円)であるが、シーズン早々に見せている輝きを保ち続け、2014年以来のタイトル獲得を狙うアトレティコに貢献することができれば、この金額に見合うだけの価値があったと見なされることだろう。
敗者:ポグバ&ジダン
Getty/Goalジネディーヌ・ジダンは昨シーズン、沈没しかけたレアル・マドリーという船に戻ることに同意したが、これはチームを救うために自分の希望が大いに通ることを保証されたからでもあった。
つまり、フロレンティーノ・ペレス会長がジダンの欲しいと言った選手と契約することを意味していた。彼が初めて監督になったときは、必ずしもそうではなかった。ジダンはレアルを3度もチャンピオンズリーグ制覇に導いたというのに。
そして、ジダンの最初のターゲットはエデン・アザールだった。初めてアザールをペレス会長に推薦してから10年が経った今シーズン、チェルシーからサンティアゴ・ベルナベウへついにやってきたのである。
他にも数人の選手が獲得された。エデル・ミリトン、ロドリゴ、ルカ・ヨヴィッチ、フェルラン・メンディが、計3億ユーロ(約359億円)以上の金額と引き換えに加入。だが、ジダンは正直に言って、まだレアルの中盤には若くてダイナミックで圧倒的な存在感のある選手が足りないと感じている模様だ。
ポール・ポグバはそのすべてに合致する選手である。なによりも本人がレアルに来たがっていた。マンチェスター・ユナイテッドを離れて、新しい「挑戦」をする場所を探したいと明言さえしていたのである。おそらくは、オーレ・グンナー・スールシャール監督が率いることとなったチームでは、チャンピオンズリーグはもとよりプレミアリーグでの挑戦からも、何光年も離れてしまったと実感したからに違いない。
ところが、レアルはポグバの移籍を実現させられなかった。その理由は主に、ジダンに必要と見なされていないであろうガレス・ベイルとハメス・ロドリゲスの2人を放出することができなかったからである。
ジダンはベイルを退団させるべく全力を尽くしたが、ペレス会長が裏で画策して、ウェールズ代表の中国行きを阻んだ。マルコ・アセンシオがシーズン開幕直前に大ケガを負ったことで、サイドアタッカーがいなくなることを懸念したからである。
結果として、ポグバはマンチェスター・Uでくすぶり続けることとなった。ファンの間では、ずいぶん前から、ピッチ内外でのポグバの自覚のなさに嫌気がさしているというのに。この上、退団の意向が知れ渡ってしまったからには、責任はポグバ自身が負うしかない。
一方のジダンもサポーターの不安と対峙することとなった。ケガ人が多く不運な面もあるが、レアルがこの夏交わしたどの契約も、クラブにとって真に意味のあるものではなかった。新しく入った選手たち、中でもヨヴィッチは、ビジャレアル戦でのパフォーマンスが良かったにもかかわらず、信頼されていないように見受けられる。そのうちに負傷者リスト入りしてしまった。
結果として、ジダンがレアルの指揮を執るようになった初めてサポーターたちは、ジダンがチームの再建を託すのにふさわしい監督かどうか、疑念を持つようになってしまった。
昨シーズンの最終盤、ジダンがチームを浮上させられなかったのは、その前に指揮していたジュレン・ロペテギとサンティアゴ・ソラーリがともに失敗したことが原因である。そもそもジダンは前任者の失敗を受けて滅茶苦茶になったチームを受け継ぐ運命なのだ。
しかしながら、今やクラブの移籍戦略に大きな影響力を持つジダンには、チーム混乱の責任の一部があるのである。
敗者:ユヴェントス
この夏、間違いなくヨーロッパで最も引く手あまただったマタイス・デ・リフトを、バルセロナやパリ・サンジェルマンとの競争に勝って獲得したユヴェントスは大きな称賛に値する。
さらに、それぞれ気性とコンディションに懸念はあるものの、アドリアン・ラビオとアーロン・ラムジーをフリーで加えるだけの能力はユヴェントスにある。
しかしながら、ダニーロを獲得するためにマンチェスター・シティに支払った3700万ユーロ(約44億3000万円)は馬鹿げた金額であり、相変わらず攻撃の起点に関して不安材料があるというのに、将来有望なモイゼ・ケーンをエヴァートンに移籍させてしまった決断もまた馬鹿げていた。
新エース候補として、理想的にはルカク、少なくともマウロ・イカルディと契約したいと思っていたことは明らかだ。ところが、ルカクの代わりに放出する予定だったパウロ・ディバラには、オールド・トラッフォード行きを拒否され、イカルディはパリ・サンジェルマンに行くことになってしまった。
Getty Imagesこの結果、今シーズンのセンターフォワードの選択肢としてマウリツィオ・サッリ監督の元に残ったのは、31歳のゴンサロ・イグアイン、33歳のマリオ・マンジュキッチ、34歳のクリスティアーノ・ロナウドであり、ディバラは試合時間のほとんどをベンチで過すことになるだろう。
つまりユーヴェの攻撃陣は過多であり、いずれチャンピオンズリーグを戦うチーム編成から優秀な選手を放出しなければならなくなるだろう。サッリ監督自身が認めているとおり、「困った」状況なのである。
また、守備陣もデ・リフトの獲得はよかったが、ジョルジョ・キエッリーニがケガで離脱しており、差し引きゼロの状態である。
つまるところ、現在のチーム構成はいびつなものだ。ユーヴェが23年間ご無沙汰しているヨーロッパのタイトルを獲得することができなければ、スポーツディレクターのファビオ・パラティチに多くの疑問が投げかけられるだろう。
敗者:ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長
Gettyバルセロナを去ったネイマールとの再契約にバルセロナが失敗しそうだと言われていた頃、『レキップ』紙は、「バルサは本当はネイマールを獲得したくないようだ」と報じた。つまるところネイマールの獲得は、カンプ・ノウに親友であり仲間であるネイマールを呼びたいと熱望する、リオネル・メッシをなだめるための試みにすぎないと報じたのである。
確かに、バルサの動きの多くが意味のないものであった。初めからネイマール獲得が狙いだったのなら、なぜ移籍市場の幕開け早々にアントワーヌ・グリーズマンに1億2000万ユーロ(約143億6000万円)を投じたのだろうか。その後も相変わらず、ネイマールをカンプ・ノウに戻すために必要な資金を作るための途方もない作業が続けられていた。
その後、パリ・サンジェルマンが、選手の交換に現金を上乗せする取引に応じると表明すると、バルサは、フランスへと旅立つ意思があるかを選手本人に確認する前に、複数の選手の放出を表明した。これが取引を妨害しようとする故意の試みでないというなら、あまりにも未熟な手落ちである。
イヴァン・ラキティッチは最終的にはチームを去ることに同意したが、ウスマン・デンベレは移籍を拒絶し、取引を妨害した。
こうした移籍のごたごたは、会長を笑いの種にしてしまった。バルトメウ会長ほどの地位にいる人物が、お笑い草になってはならない。選手や理事、クラブのスタッフたちに対する、会長の権威を弱めることになり、結果として再選への野望を大いに阻むこととなるのだ。
事実、スタッフたちはネイマール獲得計画に一貫性を見いだすことができずに当惑した。加えて、更衣室で重要な地位を占める何人かの選手たちが、仲間が戻ってこないことに憤慨する一方、他の選手たちが、無謀なギャンブルの取引のチップとして使われて苛立つことに。最悪の結果となった今回の事態は、バルトメウ会長が今後仕事をしていくうえにおいて、高くつくことになるだろう。
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です

