JリーグYBCルヴァンカップ決勝が11月4日に開催される。ファイナルへ駒を進めたセレッソ大阪と川崎フロンターレがともに初優勝を懸けて埼玉スタジアム2002のピッチに立つ。
チケットは既に完売、過去最多だった2002年決勝、鹿島アントラーズvs浦和レッズの5万6064人超えが予想される。クラブ史上初タイトルを手にするのは果たしてどちらのチームか？
■決勝への道のり
C大阪は、グループステージから出場。グループステージに出場した全14チーム中、唯一無敗で終えたものの、最終節で首位の座を奪われ、Bグループ2位に。今季から創設されたプレーオフステージに駒を進めると、Aグループ3位の北海道コンサドーレ札幌と対戦。2戦合計3-0で完勝し、ノックアウトステージ進出を決めた。
準々決勝では昨年覇者の浦和レッズと対戦。ホームでの第1戦をスコアレスで終えると、第2戦も引き分けたが、アウェイゴールを2つ奪い、辛うじて4強入り。続く準決勝は、ガンバ大阪との大阪ダービー。ホームでの第1戦は引き分けたものの、アウェイゴールを2つ許す結果に。第2戦は前半序盤に柿谷曜一朗のゴールで先制しながらも、後半に失点。このまま終われば敗退が決まる絶望的な状況に追い込まれてしまう。しかし、後半アディショナルタイムの5分、水沼宏太の右からのクロスを木本恭生が渾身のヘッド。これが決まり、土壇場で勝ち越しに成功。劇的ゴールに雄叫びをあげるC大阪サポーターの前で、クラブ史上初の決勝進出を手にした。
川崎FはACLに出場していたため、ノックアウトステージから登場。準々決勝でいきなりFC東京との多摩川クラシコが組まれた。ホームでの第1戦を家長昭博の2ゴールで先勝すると、第2戦は5ゴールを決めて、圧倒的な力を見せつけ、ライバルを難なく退けた。続く準決勝では、ベガルタ仙台と対戦。アウェイでの第1戦は3点を先行される苦しい展開も、終盤に2ゴールを奪い、第2戦に望みをつなげる。そして迎えた第2戦。20歳の三好康児が2ゴールを奪うなど、3得点を奪い快勝。逆転でファイナル行きを決めた。
Getty Images■今季の対戦成績は？
C大阪と川崎Fは今季のリーグ戦で2度対戦している。1回目は4月30日に行われた第9節。清武弘嗣のパスを受けた山村和也が迷わず右足を振り抜くと、完璧なコースを突いてC大阪が先制に成功する。さらに終了間際、柿谷のシュートのこぼれ球を清武が沈めて勝負あり。C大阪がホームで2-0の完勝を収めた。
2回目の対戦は、9月30日の第28節。ホームの川崎Fは、19分にセットプレーから谷口彰悟がヘッドを叩き込むと、その後一挙5ゴール。C大阪の反撃を1点に抑え、5-1と快勝。両者の今季対戦成績は1勝1敗の五分で、このルヴァンカップ決勝で雌雄を決することになる。
■監督就任初年度で迎えた初タイトルのチャンス
C大阪と川崎Fには共通点がある。指揮官がともに就任1年目であること、クラブ史上初のタイトル獲得が懸かっていることだ。
J1復帰初年度のC大阪は、今季から尹晶煥監督を招聘。当初は「J1残留」を目標に掲げていたが、序盤から躍進。7月には12年ぶりの首位に立った。守備的MFを主戦場としていた山村和也をトップ下にコンバートし、才能を開花させるなど、「勝ち切れるチーム」へ改革を敢行。
もっとも、控え主体で臨んだルヴァンカップでは、若手に自信を植え付け、チーム力の底上げを図ってきた。現在リーグでは3試合を残して来季のAFCチャンピオンズリーグ出場圏内となる3位につけ、天皇杯ではベスト8に進出している。
川崎Fも今季、4年半続いた風間八宏体制から、鬼木達体制にバトンタッチ。鬼木監督は、かつて現役時代に在籍した川崎Fで育成・普及コーチ、トップチームコーチを経て、指揮官に就任。
Jリーグ3年連続得点王に輝いたFW大久保嘉人がFC東京に移籍するなど、攻撃力ダウンが懸念されたが、現在J1得点ランク2位につける小林悠を中心とした攻撃は破壊力抜群。31試合を終えてリーグトップの64得点をマークしている。AFCチャンピオンズリーグ、天皇杯では苦杯をなめたが、リーグでは逆転優勝の可能性を残し、ルヴァンカップは2009年以来、8年ぶりのファイナル進出を果たした。
ともに決勝で勝利すれば、クラブ史上初のタイトル獲得となり、就任初年度で初のタイトルに導いた監督として歴史に名を残すこととなる。C大阪、川崎Fのどちらも、あと一歩のところでタイトルを逃してきた苦い過去がある。ここ一番の「勝負弱さ」を「勝負強さ」に変えることができるか。両指揮官の采配に注目が集まる。
初のタイトルを獲得するのはC大阪か、川崎Fか。決勝は4日13:05に埼玉スタジアム2002でキックオフされる。