「目の前の試合に集中する」という言葉があるが、これは世界中のサッカー選手や監督が頻繁に発する「定型文」となっている。バイエルン・ミュンヘンのハンジ・フリック監督もサッカー界の「定型文」を使って、チームの野望について語った。
「火曜日には仕事を終わらせたいと思っている。それが私たちの目標だ。素晴らしい流れで迎えているので、連勝を維持したい。目標はブレーメンに勝つこと。ただ目の前のことをやるだけだ」
そして、一つ目の目標は達成された。バイエルンはブレーメンを1-0で下し、8シーズン連続のタイトルを確保。これでフリックと選手は次の目標に歩を進めることになり、7年ぶりの3冠も視野に入れることができる。
Getty Imagesバイエルンは7月4日にベルリンでのDFBポカール決勝、レヴァークーゼン戦を控えている。さらに、UEFAが再開のゴーサインを出せば、チャンピオンズリーグ(CL)の決勝ラウンドに戻ることになる。
ニコ・コバチが監督を務めた序盤戦では多少の浮き沈みがあったものの、11月にフリックが就任して以降は、ヨーロッパのエリートクラブであることを結果で示してきた。フリックを玉座に迎えた初戦はいきなりドイツ最大の注目を浴びる組み合わせとなったが、ボルシア・ドルトムント相手に4-0と大勝。これが新生バイエルンにとって当然の結果であると言わんばかりのパフォーマンスだった。
それから徐々にチームに自信が芽生え始める。2020年最初の試合こそ敗れはしたものの、それ以外は向かうところ敵なし。CLでもチェルシーに3点差をつけて勝利し、スタンフォード・ブリッジから熱気を奪っていった。
フリック率いるバイエルンは後半戦の7試合で4ゴール以上を挙げている。全てのコンペティションの合計で132ゴールを稼いでおり、これは1年で挙げたゴール数で歴代最多となっている。ちなみにこれまでの最高得点記録は1972-73シーズンまでさかのぼる。しかも当時はドイツにリーグカップが存在したため、これは4つのコンペティションを合計した得点数だ。
さらにクラブはリーグ戦を2試合とDFBポカール決勝戦を残している上、CLもこれから再開される。得点記録がさらに伸びることは間違いない。
■無慈悲な強さを発揮
Gettyフリック監督就任からのバイエルンは、まるで「ロボット」のようだ。
今シーズンのバイエルンで驚いたことはその冷酷無比さだ、と語るのはケルンのDFキングスレイ・エヒジブエ。2019-20シーズンはチャンピオンに2試合で8点を奪われた。エヒジブエは『Voetbal International』でバイエルンの強さをこう証言する。
「非常にシンプルにやるべきことをやっているように見えたね。けれど、それがとてつもなく素晴らしいんだ。バイエルンは(※フリックに交代して)10歩前進したと思っているだろう。ミュンヘンでどういう練習をしているのかわからないが、まるでロボットになったようだった」
だが、バイエルンは国内リーグで圧倒し、タイトルを獲得するだけで満足するチームではない。今季からバイエルンの一員としてプレーするバンジャマン・パヴァールもそれはよく理解している。
「カップ戦でもリーグでもいいパフォーマンスを見せることができている。これを続けていかなくてはいけない。バイエルンでは毎年リーグもカップ戦も優勝し続けないといけないんだ。それからCLも。これは僕たちの夢だし、3冠を達成したいと思っているよ」
マヌエル・ノイアーは最後にCL優勝を経験した2012-13シーズンのメンバーだ。当時の成功の再現を心に決めたノイアーは、それ以来毎年リーグのタイトルを獲り続けてきた。今シーズンのリーグ優勝でトロフィーを掲げるのは19回目となるノイアーだが、夏までに21回を数えることになるかもしれない。
「もちろん毎年毎年、初めから全試合に勝ちたいと思ってやっているよ。今年のリーグももうすぐ制覇できそうだが、これからまだすべてのコンペティションを制覇していくつもりだ」契約更改の際にノイアーはこう語り、決意を新たにしている。
■CLで本命に
Getty Images昨シーズンのCLはバイエルンにとって残念な結果だった。リヴァプールに圧倒され、ラウンド16で大会を後にすることになってしまったのだ。だが、今シーズンのバイエルンのチーム状況は全く違う。チェルシーをすでに下しているバイエルンは、優勝候補と目されている。
元バイエルンのバスティアン・シュバインシュタイガーは『フランクフルター・アルゲマイネ』で「ヨーロッパ中を見回しても、スーパーなチームだと思う。CL優勝の可能性もある。もうリヴァプールも敗退しているわけだし、特にそう思うよ」と語る。
ブンデスリーガを制したバイエルン・ミュンヘンは、今後はDFBポカールとCLに向けて選手の調子を整えることになる。他のヨーロッパ主要国に先駆けてリーグが再開したことで、CL再開まで主力選手の休息や回復に時間を割くことができる。この状況は、コロナウイルスの影響でリーグ戦が中断された際、ロベルト・レヴァンドフスキとキングスレイ・コマンがケガから回復した時の状況によく似ている。
CLのタイトルを争う他のクラブには、6月と7月に超過密スケジュールが待ち受けている。一方のパリ・サンジェルマンやリヨンといったフランス勢は、リーグ・アンが早期にリーグ戦打ち切りを決断したため、3月第二週以来公式戦を行っていない。バイエルンでは、この期間を利用してチアゴ・アルカンタラが股関節の手術に踏み切った。チアゴは残りのリーグ戦を欠場することになると思われるが、CLに合わせて調子を整えることになるだろう。さらには、このスペイン人の離脱した穴をレオン・ゴレツカが埋め、自身の価値を証明する形で調子を上げている。フリックは中盤にさらに選択肢を増やし、ヨーロッパ制覇に向けての準備は順調だ。
すべてのポジションに有能な選手を複数抱え、指揮官にとっては嬉しい悩みだ。序盤は人員不足にあえいでいた最終ラインでさえ、リュカ・エルナンデスが調子を上げており、左サイドバックとセンターバックの定位置争いに名乗りを上げている。ニクラス・ジューレは十字靭帯のケガで10月から欠場したが、シーズンのほぼすべてを費やしたその負傷も回復傾向にある。
そして、ヨーロッパ中の他のクラブを見ても、バイエルン・ミュンヘンに勝てるチームはないかもしれない。バイエルンはすでにドイツを制覇し、先んじてCL制覇に向けて準備を始めているのだから。
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