バランス感覚を見せた浦和レッズのボランチコンビ…柏木と青木が生み出した相乗効果

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(C)Getty Images
WSW戦でスタメンから初めて一緒にピッチへと立った柏木陽介と青木拓矢。2人は何を思って、相乗効果を生み出したのか。

「補完性」や「バランス」といった要素はコンビを組むポジションでは必要不可欠だ。センターバックやサイドバック、ツートップでもその重要性を語られる。この日の浦和レッズは、中盤で確かな補完性を披露した。

浦和は26日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)・グループステージ第5節でウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(WSW)と対戦し、6-1で大勝を収めた。この一戦で、浦和の中央に陣取ったのは柏木陽介と青木拓矢。今季、キックオフの笛を並んで聞くことが一度もなかった2人であるが、最初の45分間に関して言えば付け入るスキは見受けられなかった。バランス、補完性という部分で、チームを後方から支え、勝利に貢献している。

19467人の観客が詰めかけた埼玉スタジアム2○○2で行われた試合でひときわ輝いたのは、柏木だ。前半からディフェンスラインに下りて、積極的にボールを求めた背番号10は試合後に、低い位置でボールを受け、意識的にそこからの展開を狙っていたと明かす。

「俺がもうちょっと参加した方が、やっぱり回る回数は増えるなっていうのは、常に感じています。やっぱり自分が下がった方がいいボールの動きになるし。いろいろ試合の中で変化させていかないといけないなっていうのはありますね」

今季はボランチでプレーしているときにもシャドーの位置まで駆け上がり、ゴールに絡んでいた柏木。そのため、ディフェンスラインからボールを送るレフティーの姿にはいくらか違和感を受けたが、得意の左足がかける虹は最終ラインからでも霞むことはない。先制点の起点となるロングパスを武藤雄樹に届けたのは柏木であったし、後半にカウンターから持ち上がりながら、針の穴を通すようなパスを駒井善成へと送ったのも背番号10であった。アシストこそ右足で送った5点目のみとなったが、「左利きの中では右足が上手いから」と目に見えるような自信をみなぎらせ、振り返っている。

対照的に“黒子”としてバランスを取っていたのが青木。「良いバランスでできた」と振り返る青木は、常に柏木の位置を気にするポジショニングを心がけていたという。頼れる相棒に柏木は「推進力もあいつの魅力」と評価しつつ、信頼して低い位置からロングパスを送っていたようだ。

浦和では、豊富な運動量を評価され、試合途中から守備固め要員としても起用される青木だが、柏木の言葉通り今季は攻撃でも存在感を発揮している。ホーム開幕戦となった3月2日のセレッソ大阪戦ではハーフライン付近でボールを奪うと、一気に持ち上がり、ラファエル・シルバに見事なスルーパスを通して3点目をお膳立てした。

WSW戦では攻撃面で青木の「推進力」が発揮されることは少なかったが、守備でストロングポイントを披露。最終ラインから飛び出していっては、度々楔のパスを潰し、相手の攻撃の芽を摘んでいる。

また、「セカンドボールもある程度拾えた」と、自身に合格点を与えるように語った青木。柏木ほど局面を打開するパスを送ることは少なかったが、ポゼッションの最初の第一歩となるパスでチームに落ち着きを与え、司令塔である柏木の時間を作ることに成功していた。

一方で、後半は課題に溢れた。青木は前半からの疲労で、なかなか相手を捕まえることはできず。後半途中から肩で息をしているようにも見えた青木は試合後に「しんどかったですね」と苦笑い混じりに語った。また、同様に柏木も「守備のことに関しては俺が前にいきすぎてしまったり、逆に青木が来れなかったりというのもあったりした」と、反省する。

この日は攻撃の柏木、守備の青木としてバランスを取っていたが、2人のダブルボランチが“分業”に固執することはない。柏木が意識的に下がったと語るとおり、逆もまた然りだ。青木が高い位置でプレーすることや低い位置からゲームを作る可能性だって誰も否定はできない。WSW戦で見せたように、そういったバランス力に長ける2人のポジショニングの変化で今後も互いの良さを引き出し合うだろう。

課題として、2人から共通して出た言葉は「距離感」。もちろん、2人で揃って試合に出なければ培われない要素であるが、ボランチのバランスを取るという点では切っても切り離せないポイントだ。

「もっとやっていけば良くなるかな」

それでも、柏木の言葉からは自信と青木への信頼をうかがうことができた。2人のバランスや位置関係を気にして試合を追ってみるのも面白いかもしれない。

取材・文=平松凌

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