ハインケスの“古めかしい”策略がバイエルンに光を…輝いたフランス人選手たち

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12月6日、バイエルンがリベンジを果たしたPSG戦で、ユップ・ハインケスは手駒にいたフランス人選手をすべて投入した。一見古めかしく思える戦略だったが、見事に功を奏した。

メディアを前にして自らの経験を進んで口にするのが、ユップ・ハインケスの好む手法だ。ハインケスが監督としてボルシア・メンヒェングラッドバッハを率いてからすでに38年以上が経過しており、1987年からはバイエルンの監督に就任。この時を初回として、現在バイエルンで4度目となる監督職を務めている。そして、この長い年月の間にハインケスは学んだのだ。彼の経験の豊かさが、時には最大の切り札になりうるということを。

もちろん、ハインケスが自身の経験のみに頼り、現代から置いて行かれているということはない。彼は時代に遅れることなく、現代の世界ともうまく折り合って生きている。彼は『ワッツアップ』やEメールを使いこなし、妻イーリスとビデオメッセージで連絡を取る。それどころか、妻を介して愛犬のシェパード犬“キャンドゥ”にまでビデオメッセージを送ったりもする。だがその白髪の名将は、今年ですでに72歳という年齢なのだ。見た目通り古風な人間であり、彼が好んで語る戦術はそれ相応に古めかしい印象を与えることも少なくない。その直近に挙げられる例が、パリ・サンジェルマンと対決したチャンピオンズリーグのグループリーグ最終戦である。

12月6日の一戦は、バイエルンが3-1でPSGを下した。ハインケスの前任者カルロ・アンチェロッティを解任へと追い込むことになったファーストレグでの苦い敗北に対して雪辱を果たし、全ヨーロッパに向けて「バイエルンはここにあり」ということを強くアピールできた。この晩の試合がバイエルンにとって非常にうまく運んだのは、スターティングメンバーに顔を並べた3人のフランス人選手たちがそろって重要な働きを見せ、素晴らしいパフォーマンスに貢献したからだった。ハインケスの策略が完璧にはまったのだ。

最初に名前が挙がるべきは、2ゴールをマークしたコランタン・トリッソである。トリッソは中盤から何度も最前線へ飛び出していき、2度も決定的な働きを見せた。キングスレイ・コマンもまた最高のコンディションにあることを最高クラスの舞台で証明して見せ、トリッソの2つ目のゴールを見事にお膳立てしたのだった。コマンのプレーに比べれば、PSGのダニ・アウベスがまったくの御老体に見えたほどだ。そして、さらにフランク・リベリの働きも忘れるべきではない。ベテランのリベリはこの試合で4年半ぶりにキャプテンを務め、心に残るようなプレーを披露してくれた。

■「ハードなトレーニングの成果」

試合後にハインケスは「私の頭の隅に、彼ら3人にとっては故国の選手たちとの戦いになる、という考えがあったのは確かだね」と語った。彼の秘蔵っ子たちが対フランス(クラブ)では特別にモチベーションをかき立てられ、普段よりも力を出せるということを、ハインケスは経験から知っていたのだ。これは古風な対策に思えるかもしれない。だが、2017年の現在でも優れて効果的な方策であるようだ。実際、「PSGとの対戦は、僕にとって確かにほかとはちょっと違ったものなんだ」と、今夏リヨンから加わったトリッソは認めている。​FC Bayern PSG Coman TolissoFC Bayern PSG Coman Tolisso

もちろん、ハインケスがフランス人トリオをスターティングメンバーとしてピッチに送り出したのには、ほかにも納得できる理由がある。

「リベリは2週間チームの練習にすべて参加していたし、試合前には猛烈に張り切ってすごい量のトレーニングを積んでいた。だから彼を最初から起用することには何のリスクもなかったんだよ」

「トリッソは最初から使うつもりだった。この数週間というもの、彼は何度も非常に素晴らしい滑り出しを見せていたからね」

バイエルン史上最高額の移籍金で獲得されたトリッソは、ハインケスによれば「チームプレーに巧みで、闘志があって、よく走り、ゴールを脅かす力を持っている」。そのことを彼はすべて余すことなくミュンヘンで見せてくれたというわけだ。

一方、トーマス・ミュラーに関してハインケスは慎重な配慮を行った。ケガによる6週間に及ぶ長期の離脱後のミュラーを、3日の内に「2つの非常にハードな試合」で最初から起用するといったリスクは犯したくないと考えたのだ。それゆえ、「トーマスを最初から使わないとすれば、(ロベルト)レヴァンドフスキ、コマン、リベリを前に持って来るしかないのは明らかだった」とメンバー選考を振り返る。

ハインケスの決定は大いに報われることとなった。アンチェロッティ時代には調子の出なかったあのコマン、そして新入りのトリッソが、ハインケスの指揮の下では華々しい成長を見せている。指揮官は自身の手腕を鼻にかけることなく、活躍を喜んでいる。

「キングスレイはどんどん良くなってきている。最近では、外側から飛び込んで横パスを出したり、クロスを上げる時にも、全体を見渡せるようになっている。そしてトリッソは、最近チャンピオンズリーグでバイエルンが挙げた5ゴールの内の4つに直接に絡んでいたんだからね」

「チーム全体が非常に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたが、中でもうちのフランス人選手陣はとりわけすごかったね」

文=ニクラス・ケーニッヒ/Niklas König

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