ネイマールの“クレイジーな”移籍劇に対するバイエルンの答え…踏み出した新たな一歩

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ネイマールの移籍金の1/3のお金で、バイエルンは未来のスターを作り上げるべく新しいユースアカデミーを作り上げた。

2013年のことだ。ユルゲン・クロップはバイエルンの補強策について、まるでジェームズ・ボンド映画の悪役のようだと強く非難した。

「我々はバイエルンのような方法をとることはないし、税金についても考えない。次代のタレントこそが、我々の問題を解決してくれるのだ」

当時ボルシア・ドルトムントを指揮していたクロップはそう話した。

しかしようやくバイエルンもそのことに合点がいったようで、“次世代”が今や彼らの主要な懸念事項の一つとなっている。

Uli Hoeness Bayern Campus PS

■新たな一歩に向け投資

これまで5回のヨーロッパ王者に輝いたドイツの盟主であるバイエルンも、自分たちがもはやパリ・サンジェルマンがネイマール獲得のためにバルセロナに2億2,200万ユーロ(約290億円)も支払ったようなクレイジーな市場では競争できないことに気がついたのだ。事実、ネイマールの移籍が発表となってから2週間後、バイエルンは新たなユースアカデミー施設の完成を発表した。「バイエルン・キャンパスは、昨今の狂った移籍市場と高騰した年俸に対しての、我々の答えだ」

今週月曜日、バイエルンの会長、ウリ・ヘーネスはそのように話した。

「技術と戦術トレーニングにより若いタレントを育てることで、他のクラブの経済力に対抗したい」 「ここでは、新たな(ダビド・)アラバ、(フィリップ・)ラーム、(トーマス・)ミュラー、(バスティアン・)シュバインシュタイガー、そして(トニ・)クロースを育てることができる」

続けて、サッカーによるサッカーのためだけの施設にはならないことも付け加えた。

「しかしレベルの高いアスリートを育てるだけが目的ではない。同時に優れた人間も育てたいのだ。若者たちにとっては、テレビの前に座っているよりもスポーツをしていた方が良い」

バイエルンは将来有望な若者たちにとって非常に魅力的な施設を作りあげたのだ。

■誰もが認める最高の施設に

施設の建設費用は7,000万ユーロ(ネイマールの移籍金の1/3にも満たない約90億円)で、30ヘクタールの広さを誇り、ピッチ8面とバイエルンのU-17とU-19が公式戦を行うための2,500人収容のスタジアムを有する。

キャンパスのロケーションも含めて全てのことが綿密に計画された。アリアンツ・アレーナから4kmという近さだけでなく、所在地はクラブが1900年2月27日に創設された当時の場所であるインゴルシュタッター・シュトラーセ272となった。

「(トップチームの練習場がある)ゼーベナー・シュトラーセ、アリアンツ・アレーナ、そしてインゴルシュタッター・シュトラーセがバイエルン・ミュンヘンの新たな魔法の三角形となる」

「バイエルン・キャンパスはドイツ国内においてユニークで、画期的な施設だ」

バーバリア州知事であるホルスト・シーホファー氏はそのように話した。

バイエルンとしてもそうであることを願っているはずだ。バルセロナがネイマールの退団により、突如苦難に陥ったことで、アカデミーが整備されていることの重要性は改めて強調されるようになった。

10年にわたりラ・マシアで育った素晴らしい選手たちによって魅力的なサッカーで成功を収めてきたバルセロナであるが、今ではユース出身であるかどうかに関わらずワールドクラスの選手たちを重要視している。バルサとは異なり、バイエルンはブンデスリーガを5連覇と国内を征圧しているが、ヘーネスはクラブの絶頂期がそうであったように、チャンピオンズリーグでの栄光を手に入れるには核となるのはドイツ人選手であることを信じており、現状ユースからの生え抜き選手が少ないことに胸を痛めている。

「ここ数年、我々の育成年代の成績はあまり良くない。アラバが出てきて以降、トップチームでデビューした選手もいない」

Uli Hoeness Alaba PS

■バイエルンは改革に自信

しかしながら、レッドブル・ザルツブルグの前GMであるヨチェン・ザウアーとともにこのプロジェクトを主導するヘルマン・ゲルラントによれば、それも変わりつつあるようだ。

バイエルンで選手としても、指導者としても経験のあるゲルラントは、新しいアカデミーはトップチーム昇格に向けたとてもはっきりとした道筋を示すことを語った。

「我々としては2年ごとにトップチームに選手を送り込みたい。もちろん毎年それができるに越したことはない」

「環境はファーストクラス。ここから我々はファーストクラスのタレントを輩出しなければならない。我々指導者は選手たちのために全てを捧げることを約束する。だから、ここでは全力を尽くせない者は必要ない。とてもシンプルなことだ」

当然ながら、バイエルンはこれからも脇目をふらさず世界制覇を目論んでいく。違うのは、今彼らはそれを自前のタレントで行おうとしていることだ。その考えに関しては、バイエルンに敵対心を持ち続けているクロップも認めることだろう。

文=マーク・ドイル/Mark Doyle

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