ボルシア・ドルトムントの主将を務めるDFマルセル・シュメルツァーは、12日に行われたチャンピオンズリーグ準々決勝ファーストレグのモナコ戦後、チームや自身の心境について語った。試合がチームバス襲撃事件の翌日に開催されたことに対する批判を口にしている。
前半は試合に入り込めていないようにも見えたドルトムントだが、後半に入ると、数々のチャンスをつくり出し、モナコを圧倒。しかし、香川真司が1ゴール1アシストを記録する好パフォーマンスを見せるも、試合は前半の2失点が響き、2-3で敗れている。
前半のみプレーしたシュメルツァーは試合後、ミックスゾーンで『Goal』の取材に応じてくれた。
――試合前、チームがメンタルの面を整理するのは難しいと話していたが、試合後の印象は?
出来事を消化するには時間は今でもまったく不十分だったと思っている。第三者にとっては、一体何が起きたのかは簡単に理解できるようなことじゃないかもしれない。僕たちはマルク・バルトラを除いて、ケガせずにあの状況から逃れたことを幸運だったと言わなければいけないんだ。(事件後の)時間が非常に短かったので、これから数日間の間やっとそれらを処理することになる。だけど僕たちはCLが何か分かっているし、プレーしなければいけないことも分かっていた。ベストな条件ではなかったね。
――試合が開催されたことに理解を示すか?
ノー。僕たちがプレーしなければいけないと決定された。試合が別の日に行われることになっていたら、みんなはとても喜んでいただろう。それが可能ではないことは分かっている。だが、コンペティションがいかに大きなものであっても僕たちは人間であることを忘れてはいけない。普通なことになってはいけないんだ。簡単に日常に戻ってはいけないと思う。
――この日(12日)を通して報道に対して耳を閉ざしたか?どんどん新しい情報が流れたが。
最も衝撃だったのは、金属の棒がバスの中に突き刺さったことだった。僕たちはみんなすべての記者会見を待ち構えていたよ。友人や家族は何度も見るべきではないと言ってたけどね。ただ何が起きたのか知りたい。僕たちは信じられないほど幸運だったんだ。それを僕たちみんなが分かっている。今日はプレーしなければいけなかったが、その中で可能な限りベストを出した。スタジアム、ファンたちが信じられないほどサポートしてくれた。僕たちはこれから(出来事を)処理しなくてはならない。
――主将として、実際にプレーしたいか聞かれたのか?
ノー。僕たちはみんなそう質問されたかった。どこかのオフィスで試合が(翌日に)開催されることを決めた人たちにではなく、僕たちに起こったことなのでね。日程上、ほかの可能性がほとんどなかったことは理解できる部分もある。だが、人間的な側面から考えてみると、信じ難い決断だ。誰もがそれを理解してくれると思う。
――試合に向けてどのように準備しようと試みたか?
すごく難しかった。普通の1日とは違って、昼間はずっと家にいたんだ。(スタジアムに向かう)直前になってからトレーニング施設にみんなで集まった。それぞれ異なる方法で(準備を)試みたと思う。試合の準備をしようとしても、ミーティングのあとは結局同僚や友人とそのことについてしか話さなくなるんだ。どうにか理解しようとするのでね。なぜこのようなことが起きなければいけないのか、自分に問いかけた。本当にものすごく悲しい事態だね。
――事件の政治的な影響についても考えたか?
いや、そこまでは考えていない。背景が何だったのかについての情報は待っているけどね。それを知れば、受け止めることも少しばかりかスムーズにできるかもしれないのでね。
――「スタジアムが助けになった」とも話していたが、それはどのように解釈したら良いのか?ピッチに立つことで、ある意味”解放感”を覚えると言えるのだろうか?
そうなることを期待していた。でも僕にとって、いつものチャンピオンズリーグのフィーリングとは違っていた。ピッチに入って、コレオを見たときは特別な瞬間だった。良いフィーリングを与えられた。それでも、今日はいつもとはまったく違っていた。
取材=シュテファン・デューリング/Stefan Döring
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