トニ・クロースの素顔とは?弟フェリックスが明かす知られざる一面/インタビュー

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レアル・マドリーでスター街道を走るトニ・クロースのドキュメンタリー映画が、ドイツ国内でついに公開。『Goal』では、作中で重要な役割を果たす弟、フェリックス・クロースにインタビューを敢行し、映画について語ってもらった。

トニ・クロースのドキュメンタリー映画は7月4日からドイツの各映画館で上映がスタート。そこで映画の「助演男優」とも言える弟、フェリックスに話を聞いた。『Goal』と『SPOX』による本共同インタビューでフェリックスは、サッカー選手としてのトニ・クロースや、人物像について語る。そこには興味深く、特別な兄弟関係があったようだ。

■ポップ歌手出演の経緯は…

2019-07-29-Robbie-Williams

――映画「クロース」の公開日、ワールドプレミアには出席していませんでしたね。

もうキャンプに入っていたからね。正直に言えば、まだ見てもいないんだ。皆と同じように映画館に行って見たいと思っているんだけどね。もちろんトニの生い立ちはよく知っている。トニが最初に映画の話をしてきた時、すぐに素晴らしい作品になるだろうと思ったよ。けど、疑問がたくさん湧いてきた。本当にうまくいくのか? 撮影にはどのくらいの時間がかかるのか? これまで一切経験のないことだったけれど、楽しかったよ。本当にいいタイミングだったのかどうかはわからないけれど、5年もすれば後からわかることだろうね。映画の題材になったのは素晴らしいことだし、トニにとっては映えある栄誉だね。

――映画についての最初の質問ですが、ロビー・ウィリアムス(イングランドのポップ歌手)はどんな役割で出演されているのですか? 彼の演技はどうでしたか?

(笑)。それはいい質問だね。外から見ればこう思うはずだよ。「彼は何を探しているんだろう?」とね。トニはずっとロビー・ウィリアムスのファンで、ロビーはサッカーの大ファンで、トニの大ファンなんだ。だから彼に出演依頼が行って、2人はライブ会場で会ったんだ。そこまでの動きがすごく速かった。もちろん演技はワールドクラスさ。ロビー・ウィリアムスはホンモノだね。

■兄弟の成功を支えた祖父

2019-07-29-kroos (※写真は両親)

――ウィリアムスはゲストとして登場したスターでしたが、映画の隠れたスターはあなたとトニのご祖父、ご祖母ではないでしょうか。

その通りだよ。2人はとても面白くて、それこそ映画が作れるくらいじゃないかな。2人が持つ知恵にはいつも驚かされるよ。こう教わったことがある。「前半は少し力を抜いて走れ、力を取っておくんだ」、「シュートはキーパーの頭上を狙ってループで打て」とね。

――ループシュートで…。

そう、ループシュートで。祖父母と僕たちは本当に仲がいいんだ。トニと僕がサッカーを始めるまでは、祖父母は全くサッカーを知らなかった。興味がなかったんだ。けれど、それから2人は僕たちと一緒にサッカーの道を歩んできた。今は、僕とトニの試合だけじゃなく、テレビでやっている試合を全部見るほどになっているんだ。とんでもないフットボール・クレイジーになってしまったよ。2人はいつも僕たちに寄り添ってくれた。両親が送り迎えできない時は、2人が練習場まで運転してくれた。料理も作ってくれた。とても親しくしてくれて、僕たちにたくさん愛情を注いでくれるんだ。祖父は試合のあと、いつも僕たちの脚をマッサージしてくれたんだよ。

――おばあさまは映画の中で、あなたは「できない」や「やりたくない」、「そうじゃない」とよく言うタイプの子供だったとおっしゃっています。逆にトニは何でも楽しんでやるタイプだったと。どんな状況だったか詳しく教えていただけますか?

僕たちがかなり小さいころから、トニと僕の違いがよく分かる瞬間はたくさんあったんだ。トニが何でもリラックスして取り組むのに対して、僕は180度違うタイプだった。庭で1対1をやっている時や、テニスをしている時も、いつでも同じような状況だった。僕は失敗するとすぐに癇癪を起こした。その様子がトニにとっては楽しくて、逆に僕はトニの様子を見て余計に興奮してしまった。よくある光景だったんだ。

――トニは映画の中で、兄弟の中身が入れ替わっても問題なく役割をこなせるだろうと言っていました。あなたについても、W杯で優勝してレアルでプレーすることになったとしても、問題ないだろうと言っています。ご自身とトニを比較しないよう意識することや、トニを追いかけてプロキャリアを歩んだことは大変なことだったでしょうか?

それはもう大変だった。成長するためには乗り越えなくてはいけないことだった。自分とトニを比較するなんてできなかった。トニがキャリアで成し遂げたことを知っていたら、比較なんてできないよ。トニと比較されるのはフェアじゃないといつも思っていた。けど、こういう類のことはほとんど自然に起こることだと理解もした。重要なのは、トニの成功を一番エンジョイしたのは僕だということ。そして、自分のキャリアも同様に誇りに思っているよ。ウニオンで昇格することは個人的にはワールドカップで優勝するくらいの大きな目標だった。もちろんスポーツ選手としてレアルでプレーするのは夢だけれど、トニが外を出歩くのに支払う大きな代償を見れば、僕はああいう風にならなくてよかったと思うよ。ちょっとした自由が恋しくなるんじゃないかと思う。自分のキャリアと人生はとても幸せなものだよ。

――映画のプロモーションで行われたインタビューマラソン企画でトニは「フェリックスが僕より得意なものはない」と断言していました。

そういう発言を本気で受け止めたりはしないよ。さっき言ったように、僕は比較するのが嫌なんだ。僕たちにはそれぞれの才能があるし、弱点もあるからね。けど、もちろん、僕のほうが上手にできることもある。たとえば、NBAに関する知識はいっぱいある。NBAの結果を予想するゲームが始まれば、それは保証できると思うよ。それから、結婚式の余興でやったダンスも僕に分がある。僕が彼にやってもらったんだけれど、トニのダンスはすごく奇妙だったんだよ。僕のほうがうまかったはずだね。

■トニの素顔は「とても面白いヤツ」

Felix Kroos Toni Kroos

――お2人の兄弟の関係性で特徴的なのは、ユーモアですね。SNSで、トニの契約更新の記事に「$」の絵文字で反応しているのを見かけます。

一般的には、SNSで起こることはシリアスに考えちゃいけないよ。僕の場合は、面白おかしく見せているにすぎないからね。けど、言っていることはその通りで、僕の家族は確かにユーモアのセンスがあると思う。そのセンスは祖父から譲り受けたものだよ。僕たちがゆりかごに揺られている時からそれを授けてくれたんだ。トニはリラックスできる環境にいないと面白い一面を見せてくれないけど、実際トニはとても面白いヤツだよ。僕と一緒にいなくてもその真価は発揮できる(笑)。

――劇中であなたは、トニはもう少し感情を表に出したほうがいいとおっしゃっていましたね。あなたが感情をあらわにするところは結婚式の写真で見ることができましたが、トニの場合はどうだったのでしょう?

同じくらい感情を出していたよ。トニは感情を表に出すけど、本当に限られたときにしかそうしないんだ。僕は少しだけ彼よりオープンだけど、最初はそうなるように意識しないといけなかった。妻と連れ添って8年になるけれど、僕が感情を表に出せるようになったのは、ほとんど妻の力だ。自分の弱さを認めて、表に出せることは長所なのだと気がついたんだ。もちろん人それぞれだけどね。

――トニはサッカーシューズの手入れにこだわりがあるそうですね。足元を見た時に、シューズがキレイで真っ白じゃないと気がすまないということです。あなたにも何かこだわりはありますか?

トニのアレにはついていけないな。シューズは革製じゃないとダメだけど、こだわりってほどではないかな。

■レアルへの移籍で変わった評価

Toni Kroos Real Madrid

――ドキュメンタリーでは大物トニ・クロースをたくさんの人が捕まえて記事にしようと躍起になっていました。あなたから見て、どうしてそのような状況になるのでしょうか?

平常心や自信、それからどんなことにも解決策を見出せる知識力だね。もし頭の回転が相手より早くて、次の状況をいくつも想像できれば、それは大きなアドバンテージになる。トニは自分の長所をはっきり分かっていて、自信があるからこそ彼は落ち着いてプレーできるんだ。W杯のスウェーデン戦で決めたフリーキックが完璧な例だ。サッカー選手の90%はフリーキックを蹴れるけど、ああいう状況では世界で一番過酷なプレッシャーにさらされながら蹴らないといけない。それこそがワールドクラスだよ。だからこそ際立った存在なんだ。

――トニのキャリアへの評価は正しくないと思いますか?

いつだってトニへの評価は正当じゃなかった。ただ、大事なのは、成功すれば人の評価は変わるということだね。ミュンヘンでチャンピオンになってカップ戦のタイトルも取った。それはそれでOKだ。でも、もしレアルでCLを3連覇したらどうなるだろう? それこそ全く違うレベルの評価だ。トニはバイエルンでプレーすることを選ばず、レアルに行った。僕にとっては(※ともにビッグクラブなので)大きな違いはないと思うけど、確かにとても違った見方をされているね。

――映画でトニは、バイエルンと契約延長した10分後には選択を後悔していたと打ち明けています。

バイエルンとの契約延長はキャリアの中で選択を迫られたものだったけれど、バイエルンに残ったことはいい決断ではなかった。とはいえ、トニのバイエルン在籍期間は非常に重要で、成長できた期間だったと思う。バイエルンに行くまで、彼のキャリアはずっと上り調子だった。ユースではいつも一番で、つまずきや挫折を知らなかった。だから、トニがあの時経験したことは非常に大切なことなんだ。レヴァークーゼンにレンタルで移籍して、だからこそ成熟することができた。彼がバイエルンにいた時期は全くもってよかったと僕は思っているし、トニもそう感じていることも知っているよ。

――トニはかなり若い頃に家を出てバイエルンに行きました。それでも、クロース家では彼の席をしばらくそのまま残してあったということです。残された側としては苦労がありましたか?

トニが家を出て、両親からの注目が別々に分かれてしまったんだ。それは悪くなかったよ(笑)。それは冗談として、残酷なほど辛かった。兄弟で歳があまり離れていなかったから、僕たちは何をするにも一緒で、どんな時も一緒にいたんだ。そしたらある日突然トニがいなくなってしまった。家族みんなにとって辛い経験だったよ。けどそれが正しいステップだということは誰もが分かっていた。

――2人のコーチでもあったお父様もまた難しい立ち位置だったでしょう。トニはドキュメンタリーで、「お父さんに戻ってほしかった」と当時を振り返っています。当時の親子関係を振り返っていただけますか?

父は父親としての役目とコーチの役割の両方を満たそうとしていて、とても難しかったと思う。父は僕たちの才能を早くから見出していて、できるだけ僕たちを上達させたかったそうだ。それは僕たちにとってもいいことだった。でも同時に、思春期がやってくることも明らかで、トレーニングや試合から帰ってきて家で父と試合の分析をするような生活より、もっといいことがあるんじゃないだろうかと想像を巡らせるような年頃になっていった。サッカー以外のことだって話したかった。もっと家族らしい会話もしたかったとちょっとは思うよ。けど、トニも僕も父を責めたりはしない。僕たちはとても感謝しているし、父とはとてもいい関係だ。両親に成長を見守ってもらえたし、後悔は何もない。素晴らしい少年時代だったよ。

■想像とかけ離れた「サッカー選手の妻」の生活

2019-07-29-kroos

――トニの奥さんであるジェシカは、映画と実生活の両方で重要な役割を果たしています。あなたもご結婚なさって、成功のためにパートナーが果たす役割についてお気づきのことはありますか?

僕は、女性が果たす役割が十分に評価されていないと思っているよ。「サッカー選手の妻」のことについてはあまり言及したくないな。妻はその言葉が嫌いなんだ。その言葉は実際を全く反映していないからね。旦那がずっとサッカー漬けの生活だから、女性はなんでも全部自分でやらなきゃいけない。そして、やりたいことを諦めて譲歩しなければいけないんだ。だから、トニと僕は素晴らしいバックアップをしてもらっているよ。

――ご夫人との馴れ初めについて面白い話があるとしたらどちらでしょう? トニはジェシカ夫人とフエルテベントゥラ島(スペイン・カナリア諸島の島)で出会ったと聞きました。 

馴れ初めの話では軍配はトニに上がるね。両親が一緒にいない初めての休暇で、トニは見事に引き当てたんだ(笑)。僕たちはいとこと一緒に旅行していて、全力で遊ぶ計画を立てていたんだ。そうしたら、トニはすぐに未来の奥さんをゲットしたんだ。それは計画には入っていなかったな。

――トニはとにかく早く家に帰って家族との時間を過ごすそうです。家で数時間しか過ごせないとしてもそうすると言っていました。あなたも同じようにすると思いますか?

僕はいい試合をした後に仲間とバーで一杯やるのが好きなんだけど、トニにとってはすぐに家に帰ることがとても重要なんだよ。プライベートジェットを使う機会があるなら、そっちのほうが簡単だよね。「トニにとっていい」ということが、大事なんだ。トニは全く違うふたつの世界の間を移動しているんだからね。

――FIFAフットボールアウォーズの時、ホテルのホールでディエゴ・マラドーナに会えて嬉しかったと言っていました。しかし、それでもすぐに家に帰りたくなったのだとか。

トニは家族と仕事にはっきり境界線を作りたいんだと思うよ。確かに彼は仕事の美しい面を謳歌しているし、有名人ともたくさん会っているし、映画まで作られた。でもそんなことは結局おまけでしかなくて、実際全く重要じゃないと彼自身がわかっている。重要なことは家で起こっているのさ。

■難病の子供と触れ合って気がついたこと

――トニが設立した基金は、どんなタイトルより誇りを持って取り組んでいます。そこでは難病の子供たちという非常に難しいトピックに取り組んでいます。この話題に初めて触れたときはどうでしたか?

最初は不安な気持ちだった。子供たちの反応がどうなるか分からなかったんだ。でも、素晴らしい雰囲気で出迎えてもらえて、素晴らしい経験ができることがすぐに分かったんだ。これは予想もできなかった。次に子供たちの療養所に行った時は完全に違う気持ちになれて、そこに行くことが楽しみになっていた。病気の子供だけではなく、兄弟や家族まで楽しい気持ちになってくれることに気がついたときは、僕も特別な気持ちになれたよ。子供たちが自分の運命とポジティブに向き合っている様子はとても印象的だった。そんな彼らを僕はとても尊敬している。皆療養所に足を運んで、経験してみるといい。サッカー選手やアーティストはヒーローなんかじゃない。子供や家族こそが日常のヒーローなんだと僕は思うよ。

――感動的な体験はありましたか?

ヘリコプターに乗ってまた海を見に行きたいと願っていた女の子がいたんだ。僕たちはその願いをかなえてあげることができて、その子と個人的に話をすることができた。信じられないほど喜びの感情を顔一杯に浮かべていたよ。でも何カ月か経って、その子は亡くなってしまった。僕はそのことが心に引っかかって、感傷的になってしまったね。でも、僕たちが過ごした時間を特別なものだと思ってもらえたと知って、よかったとも思っているよ。

インタビュー・文=Florian Regelmann/フロリアン・レーゲルマン

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です

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