Dean Henderson England U21s 2019Getty Images

デ・ヘアの正当な後継者―。大物の風格漂うヘンダーソン、イングランドで最も期待される23歳

U-21 欧州選手権(EURO)のグループステージ初戦となったフランスとの試合は、U-21イングランド代表にとって考えうる最悪の事態がすべて現実となった一戦だった。相手に2本のPKを与えたうえに退場者まで出したイングランドは、試合終了間際の悲劇的なアーロン・ワン=ビサカのオウンゴールによって、1-2で敗戦。勝ち点を取りこぼした。

しかしこの一戦には、いまだオールド・トラッフォードの選手名簿に名を残し、試合後にさらに評価を高めた1人の選手がいた。ディーン・ヘンダーソンは、この試合でムサ・デンベレのPK阻止を含む好セーブを見せ続け、トップクラスのGKとして目覚ましい成長を遂げていることをはっきりと示したのだ。

近年のマンチェスター・ユナイテッドでは、自身が“ダビド・デ・ヘアという名前ではない限り”GKのポジションを確保することは不可能だった。チームのピンチを救い続けたこのスペイン人は、過去5シーズンで4回もプレイヤーオブ・ザ・イヤーに選ばれた。この件に文句を言う人間は誰もいないだろう。しかしその一方で、有望な多くの若手GKは自身の価値を証明する場を奪われ、評価を落としてきた。だが、これはヘンダーソンにはあてはまらない。

2018-19シーズンの約12カ月に渡るローン期間中、ヘンダーソンはクリス・ワイルダー監督率いるシェフィールド・ユナイテッドのゴールマウスを守り続けた。最終的にチャンピオンシップ(2部)のシーズン最小失点タイを記録したチームは、2007年以来となるプレミアリーグへの復帰を果たしている。その立役者は、間違いなくヘンダーソンだ。昨シーズンに彼が残したリーグ戦46試合で21回のクリーンシート達成という記録は、南ヨークシャーに拠を構えるシェフィールド・Uを支える基盤となった。

■進化

Dean Henderson Sheffield United 2018-19

このシーズンを通じて安定した活躍ぶりは、ここ数カ月間デ・ヘアの不調に悩まされてきたマンチェスター・Uに背番号1の継承を先延ばしせずに、むしろ早める方向で検討させるに至っている。

マンチェスター・Uとヘンダーソンの契約はあと1年残されており、クラブ側は1年の契約延長オプションを有している。マンチェスター・Uは、このカンブリア生まれの22歳が来シーズン再びシェフィールドへと貸し出す前に、長期契約を結ぶ準備をしているようだ。現在の状況を考えると、シェフィールド・Uのプレミアリーグ昇格はあらゆる関係者にとって都合の良い状況を生み出している。オーレ・グンナー・スールシャール監督は、再びブレーズにローンで出すことで、ヘンダーソンにすでに実績と馴染みのあるチームでプレミアリーグへの第一歩を踏み出させることができる。

一方シェフィールド・Uのワイルダー監督もヘンダーソンがチームに与えるインパクトを称賛しており、この若手GKがブラモール・レーンへと戻ってくるのを熱望している。指揮官は『デイリー・ミラー』に対して、「ディーンはブラモール・レーンへの復帰にとても強い関心があることを明かしてくれたよ。マンチェスター・Uにとっても良い話だ」と語っている。

「彼らは、ヘンダーソンが(シェフィールド・Uに)加入して以降、シーズンを通じて見せたプレーの変化、そして選手としての成長に満足している」

ワイルダー監督がなぜ2018-19シーズンのヘンダーソンのパフォーマンスレベルを気に入っているのか、その理由を探すのは簡単なことだ。ヘンダーソンはこれまで、ナショナルリーグ・ノース(6部)のストックポート・カウンティFC、リーグ2(4部)のグリムズビー・タウンFC、リーグ1(3部)のシュルーズベリー・タウンFCでローン選手としてプレーしてきており、チャンピオンシップ(2部)のレベルまでそれほど多くの時間を掛けずに順調に上がってきた。

2019年の春時点までに、ヘンダーソンはイングランドで最も有望なGKの1人に数えられるようになった。ブレーズでは7試合連続のクリーンシートを記録したが、その間にチームは6連勝を挙げたほか、アウェイで行われたシェフィールド・ウェンズデイとのダービー戦でもチームを引き分けに持ち込んだ。この時の好成績が、最終的にプレミアリーグ昇格の後押しとなっている。

彼はブレーズで左から右、そして中央とあらゆる位置でスペクタクルなセーブを連発した。ヘンダーソンが見せる危険察知能力とポジショニングの良さが、このGKが傑出したクオリティを備えていることを証明している。プレーに派手さはないが、それはボールが来る前からすでに最良のポジションを取っているからこそのことだ。集中力も非常に高い。ボールを目で捉える能力、そしてプレーを予測した素晴らしいフットワークを組み合わせることで、ヘンダーソンは多くのプレーで試合の一歩先を行くことができるのだ。

また、ヘンダーソンはたとえジャンプをしかけた状態であってもあらゆる事態に対処する準備ができているように見える。その好例とも言えるのが、4月に行われたバーミンガム・シティ戦で見せたプレーだ。ゲイリー・ガードナーのクロスによって放たれたボールがブレーズのDFマーティン・クレイニーに当たって大きく逸れ、ヘンダーソンの逆を突く形でゴール反対側の隅へと飛んでいったが、この若者はどういうわけか体勢を持ち直してコース上に両手を投げ出すと、ボールを弾き出した。しかも、その後に失点を招く可能性のあるコーナーキックまでをも回避している。

■風格

Dean Henderson England RomaniaGetty Images

さらに、彼にはワールドクラスの選手によくある気取った態度も頻繁に見られる。ヘンダーソンは敗戦したフランス代表戦後、リポーターに対して「僕がプレミアリーグで戦うGKとして十分な実力があることは、はっきりとわかっただろう」と話している。またチェゼーナで行われた試合後、とあるブックメーカーがうなだれた様子のデ・ヘアの画像をアップして、ヘンダーソンをマンチェスター・Uの新GKに推す内容のツイートをしたところ、この投稿に“いいね”までつけている。大物としての風格も申し分ない。

とはいえ、今のところの見立てでは、ヘンダーソンはパフォーマンスに見合った新たな大型契約を手にするものの、その後はマンチェスター・Uでの出番をもう少し先延ばしにすることを求められるだろう。プレミアリーグのデビューシーズンでは、ブラモール・レーンで昨シーズン以上の活躍を見せることが期待される。

ヘンダーソンが今すぐデ・ヘアの後釜に収まることはないかもしれない。しかし、その日が来るのは12カ月前に想定されていたほど遠い未来でもないはずだ。

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です

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