Marcos Alonso Chelsea

チェルシーのCLが終わった理由…愚かなミスと偉大なるメッシ

リオネル・メッシはまたしても、カンプ・ノウで驚くべきプレーを披露し、歴代の最も偉大なサッカー選手としての歴史に、新たな章を追加した。だがそれも、高くついたミスを連発し、自滅したチェルシーあってのこととも言える。

ブルーズことチェルシーは、今大会のチャンピオンズリーグのベスト16の2試合で、バルセロナに見劣りするようなプレーをしていたわけではなかったが、最終的にトータル1-4で敗退という残酷な結果となった。アントニオ・コンテ監督も試合後にはこう語るしかない。

「選手たちが責任を果たしてくれたことを、私は喜ばざるをえない。選手たちをとても誇りに思う。今夜、彼らは全力を出し切った。0-3での敗戦は今夜のプレーに値する結果だとは思わない」

「今夜とこの2試合での、メッシは格別だった。皆さんも知ってのとおり、私は世界で最も優れたサッカー選手のことを話している。選手たちはとても、とても冷静だった。今夜、我々は多くのチャンスを作ったが、決めきれなかった」

実際、チェルシーはこうした大きな大会でトロフィーを掲げるのに必要な、冷酷さや集中力が欠けていた。

カタルーニャに乗りこんだチェルシーは白いユニフォームを着て、2012年に同じくカタルーニャでバルサを屈服させ、トロフィー獲得への道を切り開いた、かの有名な夜を思い起こさせた。だが、今のチェルシーは、あの時の成功に匹敵するようなチームではないことだけが証明されてしまった。

その証拠としてキックオフから2分8秒後、メッシの低い弾道のシュートがニアポストからゴールに吸いこまれ、GKティボー・クルトゥワは天を仰いだ。チェルシーのナンバー1は試合後、まったく予期しないシュートであり、あれを防ぐのはほとんど不可能に近い、至難の業だと認めている。

その後メッシは、中盤でセスク・ファブレガスの足元からボールを奪うと、セサル・アスピリクエタとアンドレアス・クリステンセンの2人をスピードで置き去りとし、ウスマン・デンベレのバルサでの初ゴールをお膳立てした。これによりチェルシーは、ベスト8進出のためには2点が必要となってしまう。

そしてアスピリクエタのパスミスから、メッシがこの日2ゴール目を挙げて自身の第3子誕生を祝った。再びクルトゥワの股間を抜き、後半の半ばにして、チェルシーの希望をすべて打ち砕いたのだった。

この夜は、またしてもメッシが自身の記録を更新した。自身の、キックオフからの最短得点記録を更新し、チャンピオンズリーグでの100得点目を決めてみせたのだ。さらにこの試合は、チェルシーのバルセロナに対して8試合負けなしという快挙に、ピリオドを打つ試合ともなった。そしてバルセロナは、チャンピオンズリーグのホームでの試合で、25試合負けなしという記録を更新した。

バルセロナは勝利に値するパフォーマンスを見せ、ビジターであるチェルシーの、ほとんどすべてのミスを見逃さなかった。事実、ミスが帳消しになったのは、たった一度のみ。クルトゥワのクリアミスを拾ったルイス・スアレスのシュートがキーパーの正面をついたときだけだった。

Lionel Messi BarcelonaGetty Images

メッシは、どんなチャンスも逃さない。カタルーニャの観客は、キックオフ前から、「ゴッド・セーブ・ザ・キング(神よ、王を守り給え)」というバナーを広げていたが、アルゼンチン代表のアタッカーは確かに、チェルシーを相手に威厳に満ちた最高のプレーを見せつけ、ブルーズ相手には無得点であったという不名誉な記録を、2試合で3点を決めるという華々しい結果で終わらせたのであった。

だからこそアントニオ・コンテ監督は、自身のチームに、優勝候補の一つであるバルサを破って、今季のチャンピオンズリーグを制覇するには、どんなチャンスも逃さず完璧な試合をしなければならないと鼓舞したのであった。だが、2試合の果敢な努力にもかかわらず、チームは完璧には程遠かった。

公平を期して言えば、コンテ監督は、第2戦を前にして、ラインアップとプレースタイルに関してチームをまとめあげ、それは、直近で10月にローマを相手にしたときとは違い、上手く機能していた。

チェルシーは2試合ともよく戦い、コンテ監督は、カンプ・ノウでオリヴィエ・ジルーを前線で使うという最初のプランの微調整を果たし、チームのボール運びを改善していた。

だが、サッカーの試合は残酷だ。チェルシーには運が足りなかったと言えなくもない。ゴールポストを叩くシーンが4本あったし、後半にはPKではないかという場面もあった。しかし、懸命のアピールもカタルーニャでは通じることはなかった。

ただし、こうした大きな試合で試合を決めるのは、些細なことであるものだ。2試合を通して、ウィリアン、エンゴロ・カンテ、セサル・アスピリクエタいった選手たちのパフォーマンスは見事だったにもかかわらず、チェルシーは勝つことができなかった。

もちろん、マンチェスターユナイテッドとは違い、チェルシーは少なくとも、胸を張ってチャンピオンズリーグを去ることができる。だが、ベスト16での敗退は、まちがいなく棘となってチームに残るだろう。なぜなら、この敗戦が、メッシの素晴らしいプレーによるものと同じくらい、自分たちのミスによるものだと知っているのだから。

文=ニザール・キンセラ/Nizaar Kinsella

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