2月22日、18歳未満の選手契約に関するルール違反により、FIFAはチェルシーに対して今後2度の移籍市場での補強禁止処分を科した。同時に40万ポンド(約5,800万円)の罰金支払いの命もあり、チェルシーが被る害は計り知れない。
すでにチェルシーは決定に対して上訴する意思を表明しているが、いずれにせよ彼らの未来に暗雲が立ち込めている。
ただでさえ、最近の試合で結果を残すこともできておらず、今季から指揮を執るマウリツィオ・サッリは苦境に立たされている。プレミアリーグでマンチェスター・シティを相手に0-6の屈辱的な大敗を喫し、FAカップではマンチェスター・ユナイテッドの前に敗退。救いとなるトロフィーを目指して戦ったカラバオ・カップ決勝でもシティに敗れた。
果たしてこの補強禁止は、このイタリア人監督をはじめ、チェルシーに関わる者にどのような影響を与えるのだろうか?
サッリの後任候補は…

サッリにとってはバッドニュースだが、補強が禁止されたからといって監督の交代も禁止されているわけではない。
しかし、現時点での更迭は難しいともいえる。ブルーズが本当に2020年の夏まで補強ができなくなるのであれば、これからチームの舵を取ることは、誰にとっても魅力的な仕事には感じられないはずだからだ。実際、新たな経営陣は適任者をここ数週間探し続けている。ジネディーヌ・ジダンやフランク・ランパードがその候補者の一人だ。
一方、補強禁止という苦境もポジティブに見ることができる。昨夏、今冬とサッリは経営陣が中心となって動いた移籍市場での働きに満足していなかったからだ。1月に愛弟子のゴンサロ・イグアインを迎えてようやく溜飲を下げたところだった。
そもそもサッリが考える監督としての仕事は補強に口を出すことではなく、選手の力を最大限に引き出すことにある。そのために適切なポジションを適切な選手に与える。とはいえ今後も結果が出ないようであれば、堪え性のないチェルシーでは難しい最後になってしまうかもしれない。
アザールの未来

補強禁止の決定とは関係なく、エデン・アザールはレアル・マドリーへ向かう可能性が高い。
当然、チェルシーは新契約を締結しようと躍起になっている。彼の代役を見つけることは潤沢な資金があったとしても難しいが、今のブルーズにはそれを投じることさえ許されない。
しかし、そうしたクラブの思いとは裏腹に、アザールはすでに見切りを付けているようだ。チェルシーが他の欧州メガクラブと渡り合える力がないことを感じ始めており、その思いがスペイン行きを後押ししている。補強禁止のニュースは彼にはさほど興味がないことだろう。
チェルシーは、レアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリーが、それぞれ補強禁止を強いられた期間でもその強さを保っていたことを参考にできるかもしれない。しかしいずれにせよ、補強禁止のニュースがこの28歳の決定に大きな影響を及ぼすことはなさそうだ。
レンタル組の去就

チェルシーが上訴を決めたことにより、この件はスポーツ仲裁裁判所(CAS)にまでわたる可能性もあり、補強禁止の決定が下されるのにはまだ時間がかかるとみられている。
チェルシーが本当に決定を覆すことができると信じているかは不明だが、時間を稼ぐといった意味ではこれは正しい判断といえる。
さもなければ、チェルシーはローン移籍にてスタンフォード・ブリッジへと迎え入れたゴンサロ・イグアインとマテオ・コヴァチッチとの契約において問題を抱えることとなる。
イグアインはチェルシーとインセンティブ・ベースのローン契約を結んでいるが、補強禁止の決定により、イグアインの登録に関する問題が出てくる。もし補強禁止が実施されたとすると、この夏にチェルシーが彼を完全移籍で迎え入れるといった意思決定ができるのかどうかが分からないのだ。
また、ブルーズはアルバロ・モラタを復帰させることも考えられるが、アトレティコ・マドリーとの契約は買い取りオプション付きであるため、今のところチェルシーは主導権を持たない。
一方、コヴァチッチは2018-2019シーズンの終了後もチェルシーへの残留を希望しているが、レアル・マドリーとのローン契約には買い取りオプションが付いていない。
結果として、もしチェルシーが補強禁止の決定を遅らせなければ、この3選手を一度に失ってしまう可能性があるとも言い換えられる。
ヤングスターはどうなる?

他方、チェルシーはヤングスターたちとの問題を解決する必要もある。カラム・ハドソン=オドイは3,500万ポンド(約50億6,000万円)でバイエルン・ミュンヘンへの加入を目指し、1月にチェルシーに対してトランスファーリクエストを提出していた。
ブルーズは、この18歳に長きにわたってクラブに貢献してもらうことを切望していたため、この要望を拒否。しかしバイエルン側は、この夏に新たな交渉を再度申し込んでくることをすでに明かしている。
チェルシーはここで補強禁止の決定をプラス材料に利用することもできる。チェルシーが新たな契約を結ぶことができないとなれば、クラブで才能を眠らせる多くのヤングスターたちに今まで以上のチャンスが与えられる可能性が高まるからだ。
ポジティブにもネガティブにも振れる可能性のある今回の決定。チェルシーにはどのような未来が待ち受けているのだろうか。
文=ニザール・キンセラ/Nizaar Kinsella
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