マンチェスター・シティは、この10年で何度もプレミアリーグを制覇し、見事な復活を成し遂げた。特に悲願だったペップ・グアルディオラを招へいしてからは、2017-18シーズンにプレミアリーグ史上最多勝ち点での優勝、翌シーズンはイングランド史上初めての国内3冠を成し遂げた。直近2シーズンは“完璧”な戦いぶりだった。
しかし、もはや三連覇は絶望的な状況に追い込まれた。来年再びトロフィーを掲げるためには奇跡が必要だろう。
第14節ニューカッスルで勝ち点2を取りこぼしたが、2-2というスコア以上に心配なことは、説得力のないプレーぶりである。ディフェンディング・チャンピオンは、過去2シーズンでつくりあげた輝かしいパフォーマンスを失っている。
もっと的確な言い方をすれば、マンチェスター・Cのパフォーマンスは首位に立つリヴァプールのレベルに届かず、セント・ジェームズ・パークでの引き分けにより、再び2ポイントを引き離されたのである。第15節を終えた両者の差は、「11」にまで広がった。
昨シーズン、ニューカッスルでの試合はターニングポイントとなった。タインサイドで怠惰な試合をした反省から、その後14試合連勝で史上最もハイレベルな優勝争いを制したのである。シーズン終盤の“シティズンズ”からは、鬼気迫る気迫が見えた。
だが、現在のマンチェスター・Cがその時に匹敵するとは思えない。それでも、ペップはニューカッスルでの2つの試合は比べるもののない出来だったと主張する。
「我々は枠内シュートを2つ許し、2失点した。我々のプレーは非常に良かった。ボックス内に10人も敵がいる中でチャンスを作った。GKドゥブラフカのセーブが素晴らしかった」
「残り少ない時間帯の中でフリーキックを与えるべきではなかったが、(ジョンジョ・)シェルヴィーが見事だった」
事の真相はそうではない。グアルディオラは大きな問題を抱えているのだ。その手腕と、そのスピードに。
■崩壊する“完璧”
マンチェスター・Cは過去10試合で1度しかクリーンシートがない。かつて相手の希望をことごとく粉砕した容赦ない鋭利な攻撃も失ってしまっている。ニューカッスル戦でも2度にわたってリードを得ていながら、2度ともあっさり追いつかれてしまったのだ。
さらにフラストレーションが溜まることに、これがリヴァプールを利することになってしまったからである。ユルゲン・クロップ監督率いるリヴァプールは、今シーズン他のどのチームよりもラスト10分でゴールを奪っており、マンチェスター・Cを大いに苛立たせている。
ニューカッスル戦の82分。ケヴィン・デ・ブライネの美しく力強いボレーシュートは、クロスバーを直撃して真下に落ちた後、ゴールラインを超えた。このゴールは勝利を確定する得点になったはずだった。ところが、フェルナンジーニョが不用意にフリーキックを与えてしまい、さらに危険なエリアでシェルヴィーに自由にしてしまった。そして元リヴァプールMFに痛恨の一撃を食らったのだ。
「プレミアリーグでは決してやってはならないプレーだった」と、グアルディオラは認める。「あの状況では、相手は難しいことはできない。だからこそ我々は堅実なプレーをして決してミスをせず、試合を終わらせるべきだった」
「シェルヴィーはゴールの隅に決めた。あの状況なら我々は避けることができたはずだった」
ニューカッスルは、規律を保ちながら人数をかけたディフェンスで、マンチェスター・Cを苛立たせることに成功した。
王者は3/4以上もボールを保持し、常に多すぎるほどのチャンスをつくった。だがここ数週間、チャンスは減少傾向にある。グアルディオラは多くの時間テクニカルエリアを歩きまわり、頭をかくばかりで選手たちの怠慢を叱ることもなかった。ほんの10カ月前に1-2で敗れた時とまったく同じだ。
もちろん無策だったわけではない。カタルーニャ出身監督は、ケガ人が多発するチームで勝利を得ようと努力し、選手を入れ替えてホームチームのニューカッスルを混乱させようとした。
カイル・ウォーカーは前半のほとんどの時間を補助的な中央のミッドフィルダーとしてプレーしたが、後半はオーソドックスな右サイドバックとして前半よりも効果的にプレーした。デ・ブライネとダビド・シルバは、ガブリエウ・ジェズスをサポートするストライカーとして前線へ突進し、バンジャマン・メンディとリヤド・マフレズは、ワイドに開けと命じられていた。
結論から言うと、こうした変化は勝利を確定させるには充分でなかった。リヴァプールとの差を広げることなく、希望を保つためにも絶対に欲しかった3ポイントを得ることができなかった。
今シーズンは、このような試合が多すぎるのだ。敗れた第5節ノリッジ戦(2-3)、第8節のウォルバーハンプトン戦(0-2)もポゼッション率は70%近く記録し、シュート本数も相手の倍以上放っている。いつものマンチェスター・Cの戦い方だ。が、あまりに軽率なミスから失点を招き、結局そのミスを取り返せないまま90分を終えている。
グアルディオラが実践するスタイルは、常に“完璧”が求められる。ボールを支配してピッチ全体を掌握する戦い方は、かなりの高難易度だ。そのためにクラブは大枚を叩いてビッグネームを次々に獲得し、各ポジションに世界最高峰のプレイヤーを置いている。
だが、今季はその選手たちが90分集中力を保てない試合が増えている。上述した以外にも、ミスからあわやというピンチを迎えるシーンが何度も見受けられる。完璧主義者のグアルディオラは、公には選手を庇い続けてはいるものの、はらわたは煮えくり返っていることだろう。
■白旗宣言
Getty Imagesニューカッスル戦後、連勝を続ける首位チームに追いつけるかと尋ねられたグアルディオラは、「リーグ優勝や勝ち点の数を考えるのは良いことではない。ただ試合に勝つだけだ。勝たなければもっと難しいことになる」と語った。
そして15節のバーンリー戦(4-1)を終えた後、こうも語っている。
「(タイトル争いが終わったと)信じてはいない。だが正直に言えば、リヴァプールとの差を見てタイトルの話をするのはクレイジーだ」
白旗宣言ともとれる発言だ。“完璧”だった男が、三連覇は難しいと認めたのだ。
次節のマンチェスター・ダービーやアーセナルへの遠征で、昨シーズンと同じような連勝を望むには無理がある。そして転機になり得るリヴァプールとの直接対決はすでに1試合消化し、アンフィールドで1-3と叩きのめされた。
マンチェスター・Cのタイトル争いは、すでに終わってしまったのかもしれない。
取材・文=ジョナサン・スミス/Jonathan Smith(『Goal』マンチェスター・C番記者)
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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です