デニス・スアレスは古巣セルタへ戻ってきて、今輝きを取り戻そうとしている。
昨シーズンはバルセロナからアーセナルへとレンタル移籍。しかし、リーグ戦では先発なし、わずか4試合の出場にとどまった。そして、今夏にセルタへと完全移籍を果たし、8年ぶりに古巣へと帰還することとなった。
今季はリーグ戦13試合すべてに出場。チームは降格圏に沈み、思うような戦いをできていないが、D・スアレスは徐々に本来のリズムを取り戻そうとしている。ここまでのシーズンをスアレス自身はどのように捉えているのだろうか。『Goal』スペイン語版が独占インタビューで話を聞いた。
■序盤の不調にも焦りはなし
(C)Getty Images――今季は出場機会に恵まれています。ここまでの調子はいかがですか?
調子はいいよ。ただ、今シーズンはもっといい感触で高いレベルのプレーができていた時期があった。悪い流れから抜け出せるように、個人としてもチームとしてもまだまだやれるのは確かさ。これまでも決してひどい試合をしてきたわけではないし、チームの調子自体は見た目ほど悪くない。ただ、一度深みにはまってしまうと結果が出なくなってしまう。
――あなたはティーンエイジャーでビーゴを去り、欧州のいくつかのビッグクラブでプレーしたあと、大人となってまた戻ってきました。この間により大きく変わったのは、あなたとセルタのどちらの方でしょうか?
両方だね。僕が退団したとき、セルタはセグンダ・ディビシオンで負債に苦しんでいたよ。でも今は運営もすっかり健全になったし、ヨーロッパ大会の出場圏内に入るためにクラブは再び大きな賭けに出た。現時点では僕らが期待していたとおりには物事が進んでいないけど、シーズンは長いし時間はまだたくさん残されているよ。
――この4年間は、今シーズンほどコンスタントにプレーしていませんでした。感覚は戻ってきていますか?
もちろんだよ。シーズンにはとても激しく入れたけど、長い間失っていた試合のリズムはまだまだ取り戻していく必要があるね。ひとつのプロセスだと思っているし、そこで僕が成長すればチームも同調して成長できるよ。
――あなたは25歳ですが、セルタでは最も重要ともいえるメンバーの一人となりましたね。どういった点で貢献できると思いますか?
それぞれの点で少しずつだね。ビッグクラブでのプレーで少しずつあらゆることを吸収してきたよ。今は可能な限りチームに貢献するためにビーゴにいる。ケガや色々な理由でとても苦しい1年間を過ごしたし、再びキャリアを前進させる必要があるね。今は自分がフットボール選手であると改めて感じることができているし、それこそが僕が望んでいたことさ。自分のホームでそんな風に感じられるなんて最高だね。
■「ダイナミズムから変えなくては」

――セルタにはラフィーニャ、サンティ・ミナら素晴らしいクオリティの選手が復帰し、近年で最も野心的なプロジェクトを作り上げました。しかし、なぜチームとしては機能していないのでしょうか?
個人的にはチームがたどるひとつのプロセスだと思っているよ。新しく加入した選手のことは元々知っていたけど、ピッチで一緒にプレーしていたわけではないし、ここ数年を降格回避のために戦っていたチームのダイナミズムから変えていかなくてはならないね。それとは違ったことが求められるチーム、つまり上位を目指す戦いに慣れたチームもある。今はタイトルを懸けて戦ってきた選手がたくさんいるね。全員が一丸となってセルタを偉大なチームにすること、そして一緒に成長していくことが大切だよ。
――多くの試合に出場しており、年齢も“若手”ではなくなってきました。自分がチームのリーダーであると感じていますか?
今のチーム状況にはとても責任を感じているけど、僕はもっとずっと多くの貢献ができると思っているよ。いいゲームをしたり良いパフォーマンスを見せたりというのはできたけど、僕はもっとやれる。そしたらすぐに試合に勝ち始めて、信頼を得られるようになると期待しているよ。物事がうまく回り始めればすべてが容易になると思うからね。
――今のあなたが見せるリーダーシップはバルセロナで不遇をかこった立場とは対照的に映ります。境遇について誰かに失望を感じていたのでしょうか?
自分自身に対して、そして必要なプレー機会を得られなかったことには失望していたよ。それについては折に触れて話していたね。高いレベルのパフォーマンスを発揮していた時期もあって、2、3試合でゴールやアシストを決めることができた。でも、突然1か月も姿を消すことになったんだ。時にはそういった説明のつかない状況に追いやられることがあるし、バルセロナのような超ビッグクラブでは常にそういう事態に対する準備をしていなくてはいけない。与えられた5分間のプレーが毎回テストになりうる。もしも僕が求められる高いレベルのパフォーマンスが継続してできていたらと思うと、自分自身に失望するよ。でも今はここにいるし、セルタのことを思いながら素晴らしいプレーをすること、そして最高の自分を提供することに集中しているよ。それと、スペイン代表を意識した世界レベルのプレーというのも心がけているね。
■バルサ、アーセナルでの苦しい時間
Getty/Goal――2016年に、ビジャレアルからバルセロナへ復帰しました。クラブからはどんな説得があったのでしょうか?
あのときはビジャレアルにいて、バルセロナが僕をオプションとして考えたんだ。(バルセロナの強化部長を務める)ロベルト・フェルナンデスはしょっちゅう僕に会いに来ていたし、彼とは試合後にいつも話をしていたよ。シーズン終盤のある試合のときに呼び出されて、クラブが僕を買い戻す決定をしたと伝えられたんだ。ビジャレアルは僕の残留を望んでくれたし、他にも獲得を希望してくれたヨーロッパのクラブがいくつかあったんだけど、僕の喜びは常にバルセロナに復帰することだったよ。世界最高のクラブの、ワールドクラスのエリートフットボールにね。
――エルネスト・バルベルデが就任してからはより出場機会が限定的になりました。監督からもっと説明があることを期待していましたか?
それはないね。監督によってマネジメントは異なるものさ。バルベルデは他の監督ほど話をするわけではないけど、素晴らしい関係を築いていたよ。アーセナルに移籍する前にはクラブでのキャリアについて長く話をしていたし、もっとプレー機会を与えてくれたら嬉しいとも伝えていた。バルベルデも僕はそれに値するだろうと言ってくれたけど、これだけハイレベルの選手が多くいると簡単ではないとも伝えられたんだ。監督としての決断をしなければいけないよ。そして、その決断はバルベルデにとって悪くはなかった。1年目にドブレテを達成したし、昨年はコパ・デル・レイを逃したとはいえラ・リーガは連覇したしね。それがバルベルデの仕事さ。
――バルセロナはあなたがアーセナルにローン移籍する前に契約延長を義務付けましたね。トレーニングでは好調でも監督にとってはほぼ構想外に見えましたし、驚いたと思います。
クラブはムニル・エル・ハダディで苦い経験をしていたのさ。アラベスへのローン移籍から復帰した時点でクラブとの契約がまだ1年残っていたけど、ムニル側が更新を望まずに最終的にフリーで退団してしまったんだ。僕はアーセナルには行きたかったけど、バルセロナは第二の家のようにとても愛するクラブだし、どんなときでも関係を悪いままにしたくはなかった。明日にはバルセロナに住んでいるかもしれないし、クラブにはとても愛着を持っている。どんなケースであっても悪い形で退団はしたくなかった。
――振り返ってみて、バルセロナでの経験はどのように定義づけられるのでしょうか?
きっとほろ苦さだろうね。とてもいい時間、レギュラーとして過ごした時間、苦しい時間がそれぞれあった。世界最高のクラブで経験を積むことができたし、バルセロナでタイトルも取れたね。11人に選ばれるために世界最高の選手たちと争って、アンドレス・イニエスタという僕のポジションでは史上最高の選手がいるチームに所属した。簡単なことではなかったけど、すでに過ぎ去ったプロセスだよ。

――負傷が原因とはいえ、アーセナルでも出場機会を多く得られませんでした。あなたにとってプレミアリーグはすでに過ぎ去ったステージだと感じていますか? それとも、将来的にまたイングランドに行くこともあるのでしょうか?
将来のことは誰にもわからないよ。アーセナルにはとても大きな期待を持って入団した。マンチェスター・シティ戦でデビューしたけど、最初のアウェー戦で負傷してしまったんだ。あの瞬間、脚に力を入れることも動かすこともできなかったから、僕は内転筋が断裂したと思った。そのあとのMRI検査で断裂はしていないことがわかったけど、恥骨に深刻な浮腫が見つかって、それからは痛みなしでは一歩も歩けなくなってしまったんだ。入団してたった2週間で離脱するのは避けたかったし、トレーニングには行っていたけど、無理だったよ。100%どころか50%の状態ですらなかったね。シュートも打てなかったんだ。
――プレーできない原因として、負傷と戦術的理由のどちらの方がよりフラストレーションを感じますか?
負傷でプレーできない方がフラストレーションを感じるよ。アーセナルでのケガは日常生活の多くも制限されてしまったんだ。寝ているときも、くしゃみや階段を上がるのにも痛みを感じていた。1か月前に声をかけてくれたクラブに大きな期待を持って加わったのに、2週目には激しい痛みに耐えてトレーニングに臨むこと以外に何もできない状況を想像してみて欲しい。とても辛い時間だったよ。3~4試合はプレーしたとはいえ50%にも満たないようなコンディションだったから、実際は何もしていないような感覚だった。今でも時々違和感はあるけど、ケガはもう過去のことさ。
――セルタから声がかかったときは決断に大きな迷いはなかったと思います。今は理想といえる場所にいますか?
そうだね。今年の夏は複数のオファーを受けたよ。代理人にはスペインでプレーしたいと伝えていた。アーセナルを退団してからの夏の2か月間はずっと回復に充てていたよ。チャンピオンズリーグに参加する海外のクラブからもオファーがあったし、スペインの他のクラブからも誘いがあったよ。でもセルタは僕がここにいるためにとても大きな賭けをしてくれたし、自分のホームに戻ることを選択したんだ。シーズンの終わりにはファンが喜びを感じられていることのみを願っているし、クラブや僕もそうなったらいい。今のメンバーには重要な結果を争えるだけの力があるんだからね。
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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

