Kasper Schmeichel Premier League Leicester v Southampton 02101

シュマイケルはもはや最高峰のGK…レスターの夢物語はまだ終わらない!?/コラム

■レスターの栄光を演出したシュマイケル

カスパー・シュマイケルという選手は、サッカー界に名を残す往年の名GKペーターの子として知られるサラブレッドだ。

だが、そのキャリアは決して順風満帆なものではなかった。過去にベリー、フォルカーク、ノッツ・カウンティに所属していた頃のシュマイケルにとって、UEFAチャンピオンズリーグに出場することは夢のまた夢だった。実績のなかった彼は、どのようにして成長したのか。レスターがどのようにして彼を成長させたのか。

たくさんの選手が目覚ましい活躍をしているが、シュマイケルがチャンピオンズリーグで戦うのは今シーズンが初めてだった。そんな中でも、シュマイケルはチャンピオンズリーグにおいて最高レベルのGKであることを証明しつつある。

マヌエル・ノイアーやジャンルイジ・ブッフォンは、バイエルン・ミュンヘンやユヴェントスのようなビッグクラブで勝利に貢献している。ともに「世界最高のGK」と言われるが、シュマイケルはノイアーとブッフォンの両GKよりも、所属クラブで不可欠な存在と言える守護神だ。

チャンピオンズリーグのラウンド16でセビージャと対戦し、2戦合計で上回ったレスターはベスト8に勝ち進んだ。レスターのクレイグ・シェイクスピア監督はシュマイケルへの賛辞を惜しまない。

「ヨーロッパにシュマイケル以上のGKはいるだろうか? おそらくいないだろうね。私たちは彼の重要性を(セビージャとの)ファーストレグの時から分かっていたが、それを今夜(セカンドレグで)、人々が目の当たりにすることになった」

今シーズンのレスターは死と再生。つまり“王者の転落とそこからの復興”の両方を味わった。しかし、チャンピオンズリーグを勝ち進むことができた最大の要因は、シュマイケルのパフォーマンスの良さにあると言っても過言ではない。

すでに結果がそれを物語っているが、レスターの試合を見れば見るほど、低迷しているチームが準々決勝まで勝ち上がるために、シュマイケルがいかに重要な存在だったかがよく分かる。

Kasper Schmeichel Premier League Leicester v Southampton 02101

■レスターのCL8強はシュマイケルの奮闘あってこそ

彼がいなければレスターは、ヨーロッパリーグで3年連続優勝を飾ったセビージャに16強で打ち勝つことはできなかっただろう。シュマイケルがいなかったら、グループステージで敗退していた可能性も高いのだ。

となると、もしかしたらクラウディオ・ラニエリ前監督の更迭がもっと早まっていたことも十分に考えられる。リーグ戦では不振であったものの、欧州の舞台での躍進があったからこそ、レスター幹部はラニエリを解任することができずにいたのだ。

事実、シュマイケルはグループステージで合計385分の間、ゴールラインを割られることはなかった。彼はホームで行われたポルトとの一戦、さらにはコペンハーゲンと戦った、ホームとアウェーでの2試合でヒーローとなった。手を負傷したにも関わらず次々と失点の危機を救い、リーグタイトル獲得をともに味わったチームメートを鼓舞し、チームを立て直す先導役となった。

シュマイケルはセビージャとの2試合でPKを阻止し、何度も危機的状況に陥ったがそれを跳ね返してセビージャを撃破した。もちろん、セビージャが2戦ともポゼッションでゲームを支配していたことに疑いの余地はなく、同チームのホームで行われた一戦目でも得点チャンスはレスターよりもセビージャのほうが上回っていた。しかし、シュマイケルは特にセルヒオ・エスクデロとホアキン・コレアのシュートで素晴らしいセーブを見せ、ジェイミー・バーディーが価値あるアウェーゴールを決めるまで、ひたすら耐え続けた。

ホームに戻って行われた第2戦、試合開始3分で失点の危機に陥ったものの、サミル・ナスリからゴールを守り、レスターが勝ち上がるための不屈の精神を見せつけた。キングパワースタジアムでアウェーゴールを決められないセビージャは、ウェズ・モーガンに先制ゴールを許したことで窮地に陥り、レスターは完全に優位に立った。

そこからレスターは堅実な守備を見せ、ゴール前をきっちり固めた。相手は崩す手段が限られて、サイドに展開せざるを得なくなり、クロスを放つしかなくなる。レスターはハイボールを入れられても、空中戦で弾き返す巧みな試合運びを見せた。

Schmeichel Leicester SevillaGetty Images

■レスターの歴史に刻まれるべき物語とは

シュマイケルは周囲に安心感を与えるGKである。彼がその力を父から受け継ぐまでには少々時間がかかったが、レスターで彼が見せる動きの一つ一つが、マンチェスター・ユナイテッド時代のペーターによく似ている。

近頃のGKは足元の技術も求められ、フィールドプレーヤーのようにパスを出せないと軽視される傾向にあるが、レスターは違う。彼らの守護神は何よりもまず第一にシュートストッパーとして、さらには守備陣の最終ラインとして状況に応じて臆することなく前に出る役目も担う。シュマイケルは昨季、プレミアリーグのタイトルを獲得した。彼がその力を発揮するにはチャンピオンズリーグ準々決勝はふさわしい場所であろう。

シュマイケルは、18年前のチャンピオンズリーグで彼の父がバイエルンを相手に優勝をつかみ取った当時、普通の男の子だった。彼は2016年夏、筆者にとあることを教えてくれた。「父ペーターにとって常にこの大会(CL)が特別なものだった」と語ってくれたのだ。

父ペーターは今、自身の成し遂げたことと同じ道を目指す息子カスパーを温かい目で見守っている。レスターが新たな歴史を刻んでいくのを見守っている。

キングパワースタジアムの廊下には、ロナウジーニョの写真が飾られている。数年前にバルセロナと対戦したフレンドリーマッチの際に撮られたものだ。それはうわべだけの敬意を示すもので、ミーハーな気持ちがあっての掲示だった。

しかし、昨シーズンからこれまでの出来事を考えると、レスターのホームスタジアムに掲げるべき過去の記憶として、何が優先されるべきか、言うまでもないだろう。そう、新しい写真を飾る時が来たのだ。

きっとその中の一枚としてふさわしいのは、セビージャ戦でPKをストップし、雄叫びを挙げるシュマイケルの姿であることは間違いないだろう。

ただ、この物語はまだ終わっていない。4月12日はアウェーで、18日にはホームでアトレティコ・マドリーとの2試合が待っている。この大一番で、レスターの歴史を語る上で欠かせないエピソードが新たに生まれる可能性もあるのだ。

これまで、レスターで数々の奇跡を生み出してきたシュマイケル。彼の真価が改めて問われるのが、これから迎えるCL準々決勝となることは間違いないだろう。

また、今シーズン終了時点でシュマイケルが“世界最高のGK”と称される可能性が残っているのだ。その頃に、レスターのクラブハウスにビッグイヤーが飾られているはずだ。


著者名:Peter Staunton / ピーター・ストーントン

サッカーのライブを観るならDAZNで!1ヶ月間無料のトライアルを今すぐ始めよう。
広告

ENJOYED THIS STORY?

Add GOAL.com as a preferred source on Google to see more of our reporting

0