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GERMANY ONLY Atakan Karazor VfB Stuttgart 2019

シュトゥットガルトの大胆なアプローチ。ヴァルター監督の申し子が明かす独自のフィロソフィーとは?/インタビュー

アタカン・カラゾルは新たなVfBシュトゥットガルトを作り上げる使命を託された選手の一人である。

今夏にホルシュタイン・キール(ドイツ2部)から加入したカラゾルは、ティム・ヴァルター新監督のシステムにおいて中盤中央でタクトを振る役割を担っている。ここまでリーグ戦すべてにフル出場している22歳のカラゾルは『Goal』のインタビューに応え、ボルツプラッツ(ドイツの街角にあるミニゴールを備えた広場)で過ごした子供時代やBVBで過ごした忘れられない時間について語る。

さらに、ヴァルター監督の独特のフットボール・フィロソフィーや最も敬愛するボランチについても語る。

■「家族に恩返しをしたかった」

Atakan Karazor Stuttgarttwitter/@vfb

――カラゾルさん、あなたはエッセン生まれですが、ルーツはトルコにありますね。あなたの家族の背景を話してもらえますか?

僕の祖父母は出稼ぎ労働者としてドイツへ渡って来た。その後、僕の父は石炭産業で働いていた。つまり、ルール地方のごく一般的な一家だ。僕は父を見ていて、肉体的な重労働をしなければならないというのがどんなことなのか学んだんだ。父はつらい早朝の仕事から家へ戻っても、すぐに眠りにつくことはなかった。疲れていても僕を連れてボルツプラッツへ出かけ、一緒にボールを蹴ってくれた。家族の歴史は僕の胸に深く刻まれている。僕がこれまでキャリアを積みながらいつも頭の中で考えていたのは、家族に何か恩返しをしたいということだった。僕がこれまでやってきたことはすべて両親のため、そして、僕の試合があるたびに揃って見に来てくれた一族みんなのためでもあったんだ。彼らは、世界中のどんなものと引き換えだろうと僕の試合を見逃したりはしないだろう。たとえ僕がケガで出られなくなったとしても、これからはVfBの試合を一つ残らず見るはずだ。年下の従弟は、まるでスーパースターを見るようにうっとりした顔で僕を見るんだよ。

――そんなふうに思われてどんな気持ちですか?

そりゃあ素晴らしい気分だよ。家族のみんなに誇らしく思ってもらうより素晴らしいことなんて他にないだろ? 母が僕のことを訊かれた時に、「息子はプロのフットボーラーになれたんです」って言えるのはすごいことだ。そんな時、母はちょっぴり僕のことで鼻を高くできるのさ(笑)。とにかく、家族みんなが僕の後ろについて支えていてくれることが、僕にとってはすごく大きな意味を持っているんだ。たぶん昔は誰も考えていなかっただろうね、ボルツプラッツで遊んでいた小さな「アタ」がいつかこんなところまでたどり着くなんてね。

――あなたはボルツプラッツで過ごしていた頃からすぐ熱くなる質でしたか?

だいたいにおいて、僕はどちらかと言えば冷静なタイプだと思っている。ピッチの上では熱くなることもあるのは確かだけれど、それはトルコ人のメンタリティとは無関係だ。そういう熱くなりやすい部分は、ここ何年かの間に“勝者のメンタリティ”みたいなものを身につける中で育ってきたものだね。

■才能を認められたのは…

Karazor KielGetty

――ボルツプラッツ時代の憧れの選手は誰でしたか?

僕はいつもセスク・ファブレガスになったつもりでプレーしていたよ。僕はアーセナルの大ファンなんだけど、これは誰でも知ってることだ。で、ファブレガスがアーセナルにいた頃からずっと、彼は僕のお気に入りの選手だったんだ。

――ということは、あなたはゲーム『FIFA』シリーズをやる時もいつもア-セナルのメンバーとしてプレーするんですか?

ずいぶんアーセナルでプレーしたけど、『FIFA』のアーセナルはあんまり出来がよくないんだよ。『FIFA』のアーセナルの選手は現実世界の彼らほどうまく作られていないんだ。だから、最近はユヴェントスでプレーすることが多くなったね。だけど、どこのクラブでプレーするにしても、『FIFA』では常に僕が自分のクラブのラスボスなんだ(笑)。

――さきほどボルツプラッツ時代のことを伺っていましたが、あなたはいつ才能を認められたんですか?

わりと早い時期に、僕を見に来た人たちから「シュヴァルツ=ヴァイス・エッセン(ドイツ5部リーグに当たるオーバーリーガのクラブ)でプレーさせておくのはもったいないから、地元を離れてどこか大きなクラブへ行かせるべきだ」って言われたんだ。そうすることもできたんだろうけど、当時の父は僕を手元に置きたいと考えていた。自分はずっとエッセンに残ったままで、他の子たちがドルトムントやシャルケへ移っていくのを見ていなければならないのは確かにつらいことだったよ。だけど後になってからは、ただ父に感謝するばかりだった。父は言ったんだ、「お前のためには一歩一歩進んでいく方がいいんだぞ」って。さらなる転機は、U-16時代に6番になる訓練を受けたことだった。それまで僕は10番でプレーしてたんだけどね。

■多くの恩師の元で成長

GERMANY ONLY Atakan Karazor VfB Stuttgart 2019

――さらにエッセンからボーフムへ移って、ボーフムではブンデスリーガのユースでプレーしていましたね。その頃すでに、自分にプロになれる素質があると確信していましたか?

そうだとも言えるし、そうでなかったとも言えるね。自分を信じ、自分の才能を信じることは確かに大事なことだ。けれど、少し自信を失くした時期がなかったと言えば嘘になるだろう。たとえば、ボーフムに移った最初の年はほとんど試合に出られなかった。だけどそれはまた、僕がたくさんの教訓を得ることができた時期でもあったよ。僕は大勢の素晴らしい監督たちに出会ったけれど、ドルトムントで出会ったデイヴィッド・ワグナー(現シャルケ監督)は僕にとって本当に重要な役割を果たしてくれた。彼は正真正銘メンタルを育てる力の持ち主で、僕はその点で彼からものすごく大きな恩恵を被っているし、戦術面でも多くのことを学んだよ。次は、ダニエル・ファルケからたくさんのことを教わった。トーマス・トゥヘルからもプロの世界を覗かせてもらうことができたし、その時に、たとえばヌリ・シャヒンや、今またVfBで一緒になっているゴンサロ・カストロから多くのことを学ぶことができたんだ。

――BVB時代のあなたは、目立って何枚ものイエローカードを出されたりしていましたね。

その通りだね。前半戦の間に2回、イエローカードの累積による出場停止になったことさえある。そういう場合、戦術的なファウルもたくさんあったけれど、時には確かに僕がやり過ぎたこともあったと言わざるを得ない(笑)。それは認めるよ。だけど、その点でも僕はこの何年かの間に成長したんだ。

――トーマス・ヒッツルスペルガーSD(スポーツディレクター)は、「VfBは、これまでのキャリアの中ですでにかなりの苦労を経験した選手を獲得することに注意を払ってきた」と言っています。あなたもそれに当てはまると思いますか?

僕も若い頃にいろいろとつらい時期を経験しなければならなかったから、そのことを指して言うんなら間違いなくそうだね。僕はこれまでに籍を置いたどこのクラブでも自分を成長させて飛躍を果たすことができたけれど、同時にどこのクラブでもあまりうまくいかない時期もあった。常に、チームの中でポジションを手に入れるために戦わなければならなかった。キールでの最初の年には加入してすぐにケガをして、ほとんどプレーできなかった。友人たちに電話して「落ち込んでいるんだ。うまくいかない…」って話したことをまだ覚えているよ。ティム・ヴァルター監督の指導を受けるようになった最初の年も(2018-19シーズン、ティム・ヴァルターはホルシュタイン・キールの監督だった)、初めのうちは試合に出られなかった。もちろんそういう時には、自分のキャリアが間違った方向へ進んでるんじゃないかと自分の胸に尋ねてみることになる。けれどまたそういうことがあったから、プレーヤーとして人間として、僕は今あるような自分になれたんだ。

――キール時代のティム・ヴァルターは、タクトを振る司令塔としてあなたに信頼を置いていましたが、シュトゥットガルトでも同じような役割をあなたに望んでいます。VfBで送る1年目であなたはどんなことを目指していますか?

チームとしての僕たちの目標ははっきりしている。僕たちはもう一度ブンデスリーガへ戻りたいと思っている。もちろん、僕個人にもたくさんの目標がある。コンスタントに成果を出したいと思っているし、ピッチの上での自分の課題を解決して、VfBのリーダーの役割を担いたいとも思っている。僕はチームの土台となる存在でいたいんだ。みんなから信頼される存在だね。

――では、あなたにとって最高の“6番”とは?

パーフェクトな6番は広い視野を持っていて、落ち着きがあって、けれど同時に風のような素早い動きができる。1対1の戦いに強く、カウンターを阻止できなければならないし、リーダーとしての役割を果たすことも求められる。今世界で最高の6番は誰かと訊かれたら、僕はセルヒオ・ブスケツの名を挙げるだろうね。彼は、僕が模範と仰いでいる偉大な選手たちの一人だ。けれど、ほかの選手たちのプレーを見るのも好きだ。たとえば、トニ・クロースのパスの出し方やポール・ポグバの落ち着いたボール捌きなんかをね。

■ヴァルターのフィロソフィーは「独特」

Tim Walter VfB StuttgartGetty Images

――ティム・ヴァルター監督の独特なシステムでも6番は重要な役割を担っていますね。キールで彼のフットボールに触れた時の第一印象はどうでしたか?

初めは理解するのが簡単じゃなかった。あまり試合に出られなかった前のシーズンが終わったばかりで、ちょうど僕は自信満々という状態じゃなかったんだ。初めのうちはベンチに座って外から眺めているだけだったけど、その後第10節か12節が終わった頃に監督からチャンスをもらったんだ。幸い僕はそのチャンスを利用して、彼が見たいと思っていたことをやってのけることができた。それ以来、彼のシステムは僕にとってなじみ深いものになっているよ。

――彼のシステムが気に入っていますか?

すごく気に入っているよ。特に彼のフィロソフィーは他とは比べようがないくらい独特なところに惹かれるんだ。彼のフットボールはどこを取ってもあまり実用的には思えないこともある。実際、非常に複雑で、よくわかっていない初めのうちは混乱するような気分にもさせられる。けれど僕は素晴らしいと思うし、チームの誰もがこの新しいアプローチを受け入れて、完全に気持ちを持っていかれているんだ。

――最も大きな特徴はどういうところだと思いますか?

一つのパターンに当てはめて説明するのはなかなか難しいね。もちろん僕たちはボールをキープして優位に立つフットボールを目指しているけれど、攻守の切り替えが必要になる場面もたくさんある。その両方を混ぜ合わせたやり方なんだ。一番大きな特徴は、間違いなく、ものすごく頻繁にポジションチェンジを行うことだ。常に動いているという点が最も重要な意味を持っている。そして、それが選手全員に求められるんだ。仮に左のFWが試合の状況にまったく絡んでいないとしても、彼にも動きに参加することが求められる。絶え間なくポジションチェンジを行っては、そこに生まれるスペースを繰り返し埋めることができるように、一人ひとりの選手があらゆる瞬間に100%の注意力で試合に臨んでいなければならない。すべてがすごくダイナミックなフットボールなんだよ。

――6番のあなたにとってはどういうことになるんですか?

チームがボールをキープしている時は、僕は何度も道を切り開き、敵をかわしながら走ってスペースを作り、そこへ他の選手たちが入って来れるようにする。加えて、6番である僕の一番重要な務めは、ボールを奪われた時にすぐにゲーゲンプレスをかけてボールを奪い返すことだ。それが僕に負わされた責任だよ。

――それは非常に大胆なアプローチですね。まさに最後列で1対1の状況を生み出しやすく、それに負ければすぐに失点につながる可能性もあります。1-0よりは3-2のような結果で終わりそうな戦い方です。

間違いなく大胆なフィロソフィーだ。けれど何よりそれが僕たちのフィロソフィーであり、僕たちはそのフィロソフィーを自分の血肉としてプレーしなければならない。その場合僕たちは同時に、一人の人間を理解することも受け入れているんだ。それがうまくいけば、僕たちは前へ出ていって、後ろに下がっていて手に入るよりもたくさんのゴールをものにすることができる。このシステムならたくさんのチャンスを生み出すことができる。キールでもそうだったよ。

――ティム・ヴァルターは監督としてどんなタイプですか?

彼が戦術に長けていることは誰もが知っている。けれど僕にとっての彼は、何より選手を夢中にさせる監督だ。彼は自分のやり方にものすごく自信を持っているから、完全にそれに感染してしまって、「わーお、すっかりその気にさせられちゃったよ」って言うことになるんだ。丸ごと心をつかまれてしまうんだよ。

――彼は、練習の時にも常にみんなの気持ちを何かに集中させるようなやり方を導入しましたね。

そう、負けた時にはつらさを味わわなければならないんだ。それが彼の信条で、練習の時のやり方で彼はそれを教えてくれているんだ。それに、彼のやり方だと本当に違いが生まれるんだよ。今思えば、以前の僕は練習試合の時に髪の毛一本一本の先まで試合の進め方で頭を一杯にしてたわけじゃなかった。けれど今は、0-1でリードされているとこう思うんだ。「これから何としてでも勝たなければ。だって、負けてみんなの前で罰として馬鹿な真似をやらされるような羽目に陥るのは絶対に御免だからな」って。ボールの的に尻を差し出したり、耳を弾かれたり、誰かをおぶって走らされたりするなんて、誰もやりたくないからね(笑)。

インタビュー・文=フロリアン・レーゲルマン/Florian Regelmann

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