アル・サッドMFシャビ・エルナンデスが、先のチャンンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦ファーストレグ、レアル・マドリー対パリ・サンジェルマンを振り返った。
同試合でレアル・マドリーは、33分にPSGの先制点を許したものの、45分にFWクリスティアーノ・ロナウドが同点弾を決めて前半を終え、83分に再びC・ロナウドがネットを揺らして逆転。さらに86分にDFマルセロが点を決めて3-1で先勝を果たした。
バルセロナ時代にレアル・マドリーと何度も対戦した経験があるシャビは、同チームが試合展開やそれまでのパフォーマンスなどに関係なく、勝利をつかむ力があると説く。フランス『So Foot』とのインタビューで、次のように語った。
「マドリーには何かがあるということだ。PSGは1-2とする状況を生み出していた。マドリーは屈服する寸前だったが、しかしその後にリードを得ようと再び試合に入り込んだ……。彼らが相手ならば、迎えたチャンスを無駄にしてはならない。無駄にしてしまえば罰せられてしまう」
「最悪なのは、根拠もなくライバルに打撃を与えてくるところだ。カウンター、コーナーキックと、彼らが勝利するためには、そうしたことだけで十分なんだよ。しかし、3-1なんて……。一体、レアル・マドリーが何をしたって言うんだ? PSGがそれだけの差を付けられて負けるなんて、不当と考えることができる。1-1、2-2、またはPSGの1−2勝利で終わるべきだった」
「これは説明ができないことだ。レアル・マドリーは、プレーせずに勝つんだよ。つまり、またしてもそういうことが起こったというわけだ。PSGはチャンスを得ていたときに勝負を決めなければならなかった。スペインの試合中継で、ホルヘ・バルダーノの解説を聞きながら見ていたんだけど、彼は的確なことを言っていた。今回の試合では、全く状況が異なる数多くの局面があった、とね。この一戦は一まとめに分析できる代物じゃない。後半には、PSGが完全に支配していた時間帯があった」
「レアル・マドリーが自陣ペナルティーエリアに押し込まれているときには、マドリーがその重圧を跳ね返す準備をしていると考えられる。PSGは2点目を決めなくてはいけなかったんだよ。でも、そうすることができず、結果が示すように2点差で負けてしまった」
「PSGに起きたことは、僕もバルサで経験したことがある。自分自身に対して、こう語りかけることになるのさ。『ちくしょう、俺たちは彼らよりも素晴らしいプレーを見せている』『おいおいおい、なぜボールが入らない?』。でも嘆いている暇はない。マドリーがすぐさま、カウンターからゴールを決めてくるんだから。やらなきゃ、こっちがやられることになる。レアル・マドリーがそうした脈拍みたいな試合をするようになって、もう30年が経つ。相手の目をまっすぐ見て、挑戦してくるんだよ。『攻撃してくるのか? やってみろよ。俺たちもそうするぞ。ゴールしないなら、俺たちが決めさせてもらう』といった具合だ」
■「優位に立っていなくても勝利できる」
チャビはまた、レアル・マドリーとバルセロナの違いについても言及している。
「PSGが悪いプレーを見せた? 違うね。レアル・マドリーが悪いプレーを見せたか? それも違う。両チームの違いとして挙げられるのは、マドリーは悪いプレーを見せようとも、優位に立っていなくても勝利できるということだ。例えば、バルサはそういったことができない。悪いプレーを見せれば負け、普通のプレーならば引き分ける。バルサが勝つためには、良いプレーが必要だ。自分たちのプレー哲学に背を向けることができないんだよ」
「PSGの方がレアル・マドリーより優れていたか? そうは思わない。でもレアル・マドリーにとって、彼らが優勢とか試合を支配しているとかしてないとかは重要ではない。彼らの哲学は、勝つことだ。だからこそ、彼らを打ち破るのはじつに難しい。様々な形で競争に臨むことができるわけだからね。今回のベルナベウの試合で、PSGはバルサのようにプレーしていた。彼らからは、試合を支配するという意欲を感じられたよね。エメリがカバーニをメウニエルに代えたときだって、PSGは試合をコントロールしていた。でもレアル・マドリー相手であれば、チャンスを物にしていなければ意味がないことなんだよ」
シャビの語りは、止まらない。美しきフットボールの信奉者は、このスポーツがスコアだけで語られるべきではないとも主張した。
「エメリに対する批判? 1−3で敗れれば、批判があるのは当たり前だよ。ジダンだって、負けていれば批判を受けていたはずだ。エメリは悪質な監督か? そうじゃない。ジダンがエメリよりずっと素晴らしいことを実現した? そういうことでもない。いつも、こういう状況が生まれてしまうんだ。フットボールでは、勝つことで誰よりも素晴らしい人物になる」
「ジダンはあの試合から、ここ数週間にわたって彼を批判し続けてきた人々にとっても最も男前になった。その一方でエメリは、またしてもみっともない男になってしまった。でも、そんなことがあってはならない。スコアだけに集中するのではなく、両チームが提示したプレー内容を分析しなくては」
「この試合に関する多くの記事を読んだけど、クリスティアーノがネイマールよりも上だったとの見解が記されていた。そんなのはノー! ノーだ! 不当でしかないよ。ロナウドが何をしたって言うんだ? PK、それとひざで決めたゴール……。じゃあ、ネイマールが生み出した危険な場面はどうなんだ? 彼が誘発したファウルは? 仕掛けたカウンターは? マドリーに恐怖を植え付けたという事実は、一体どうなるんだい?」


