ベガルタ仙台が2018年のチーム練習を始めた1月10日、野津田岳人は今季も仙台でプレーするに到った思いを、口にした。
「さらに一年、ここでみんなと上を目指していきたい。その気持ちが強かった」
強い覚悟とともに、2018シーズンも仙台でプレーすることを決めた。
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■シャドーストライカーとして地位を確立した昨シーズン
野津田が初めて仙台のユニフォームに袖を通したのは、昨年の8月8日のこと。「ここで挑戦したいと思って決めました」。これまでサンフレッチェ広島から清水エスパルスに期限付き移籍していたが、その移籍期間の途中で仙台に移ることを決めた。
広島のアカデミー所属時から年代別代表でも活躍していた野津田は、さらなる出場機会を求めて2016年は途中からアルビレックス新潟でプレー。翌2017年には清水にプレーの場を移したものの、11試合に出場してノーゴールと壁にぶち当たっていた。そこで仙台からオファーを受け、新たな場所で勝負を決意した。
すると仙台加入後は「自分が最も持ち味を出しやすいポジション」という、3ー4ー2ー1の「2」にあたるシャドーストライカーとしてプレー。彼の最大の武器である左足から繰り出す強烈なミドルシュートや的確なパスだけではなく、ボールを持っていないときの動きでも秀逸な動きを見せ、輝きを取り戻す。
あるときは相手のマークを外して素早くフリーのポジションを取り、またあるときは相手のボール保持者の動きに先回りして前を塞ぐポジションを取る。フル出場すれば毎試合のように走行距離が12kmを越えるその豊富な運動量を生かし、状況に応じたポジショニング能力が求められる仙台で中心選手としての地位を確立した。
そして、半年の移籍期間を終え、野津田は広島への復帰か、仙台への残留か、それとも他の道か選択を迫られた。本人はかなり考えたうえで、移籍期間を延長し、仙台の一員として2018シーズンもプレーすることを決断した。
「2017年は自分にとって、大きな時期でした。最初の半年間は苦しい時期も長かったけれど、仙台に来たことで、自分らしさを取り戻すことができました。何より、プレーしていて、本当に楽しかったんです。チームの方、そしてサポーターの方の声が届いていましたし、チームが自分のことを必要としてくれました」
チームの仲間とともに、仙台のスタイルを作り上げていく過程は、野津田にとって充実したものであったという。彼のポジションは先に述べたようにシャドーの位置であり、それは広島時代にも何度となく経験してきた場所だ。
しかし、最初の立ち位置は同じでも、役割や動き方には違いがある。同じポジションであるからフィットは早かったようにも見えるが、仙台加入当初は「覚えることが多かった」という。他のポジションとの連動性から、サイドに大きく開くこともあれば、ボランチの間で攻撃の組み立てや守備で包囲するための援助をする。
移籍規定のために出場できなかった昨季のJリーグYBCルヴァンカップの時には、「外からチームを見ることで、自分のポジションやチーム全体の動きをしっかり身につけたかった」としっかり研究し、会得した。
そして、この“仙台スタイル”をさらに熟成させたい思いが、野津田にはある。
「自分は半年だけでしたが、去年に積み上げてきたものに自分たちの成長や新しく加わった選手といったプラスアルファがあってスタートできます。もっと上を目指してやっていきたい」
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■“仙台スタイル”の熟成へ欠かせない存在に
今季は、スタートから仙台で迎える初めてのシーズンで、始動日から野津田は精力的に練習に取り組んでいる。また、1月13日に彼がチームの新ユニフォーム発表会のモデルとなり、サポーターに「できれば16番でお願いします」と呼びかけると拍手が起こったように、サポーターも2シーズン目の野津田に、大きな期待をかけている。
仲間とともにチーム作りを進めるキャンプで、野津田自身もコンディションを上げている。2月10日に宮崎で開催された練習試合の広島戦では、90分間プレー。新戦力の阿部拓馬のゴールをアシストするなど結果を残し、開幕に向けた準備を着々と進めている。
「前半は若干、相手のプレッシャーに対してはまらない部分があったけれど、後半は修正できて自分たちのやりたいことができたし、特に守備で(相手を)はめることができたことは大きかった」
うまくいかなかったという前半も、野津田は相手のプレッシャーをかいくぐってミドルシュートを放つなどして打開を図っていた。そして、40分に石原直樹とのコンビネーションで右サイドを崩し、そこから送ったクロスを阿部のゴールにつなげた。
「あのかたちは自分としては理想。ナオ君(石原直樹)や遠くのシャドー(阿部)まで飛ばして、三人目として自分が抜け出すかたちはもっと出していきたい」
得点後にその1トップ・2シャドーが互いを祝福し合った光景が、今季の公式戦でも期待される。その一方で、野津田は反省も忘れない。
「自分自身、簡単にボールを奪われてカウンターを受けてしまうところがありました。もう1点を決めることができる場面もあったし、逆に相手に決められはしなかったけれども追いつかれそうな場面もありました。勝つためにはそういうところをもっと突き詰めないと」
今のスタイルをさらに高いレベルへと押し上げ、そして昨季を超える勝利という結果を出すために、野津田がこのチームで掲げる目標は高い。
「チームとしてもっと質を高めるというところと、細かい部分のすり合わせが大事。自分自身ももうひとつ、ゴール前で仕事をすることを課題にしてやっていきたいと思います」
開幕までにさらに調子を上げ、仙台を高みに導くプレーを、野津田は公式戦のピッチ上でも披露してくれることだろう。背番号16の決意がもたらすプレーの数々に、注目してほしい。
写真・文=板垣晴朗
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