ガブリエル・ジェズスはマンチェスター・シティに移籍してまだ間もない。しかし彼のプレミアリーグへのスムーズな順応ぶりには目を見張るものがあり、マンチェスター・シティの監督であるペップ・グアルディオラからの評価も高い。しかしその一方で、グアルディオラはチームのゴール前での欠点を改善すべく、前線の選手を補強する必要性を示唆しているのだ。
ブラジル代表でもあるストライカー、ジェズスは、1月の移籍以来ここまで5試合に先発出場して4得点を挙げている。2月のボーンマス戦で中足骨骨折を負い2ヶ月間戦線を離脱していたにも関わらずだ。ジェズスの適応力の高さには、グアルディオラも期待を寄せている。
「彼を獲得する前には確かに多くのことを期待したが、ここまでのインパクトを与えてくれるとは思わなかったよ。彼はきっと、このクラブの将来を担うストライカーになるね」
さらにグアルディオラはジェズスへの期待の高さが伺えるこんなコメントも残している。ジェズスのような成長を遂げた他の選手の例を問われた際に、グアルディオラはあのスター選手の名前を挙げたのだ。
「適応能力に優れ華麗な活躍を収めた選手はたくさんいるけど、その中でもとりわけ素晴らしいのはメッシだね。メッシは18、19歳で年間40ゴールも記録したんだ」
そして、ジェズスのことを暗に称えるかのようにこう続けた。
「プレミアリーグにやってきてすぐの1～2シーズン目は、なかなか持ち味を生かせず難しい時を過ごす選手も多いだろう。だから時間が必要な時は焦らさず、必要な時間を与えてあげることが大事なんだ。焦りすぎた結果、上手くいかなくなってしまう選手も多いからね。でもトッププレーヤーはどんな形であれトッププレーヤーなんだ。メンタルが強くて向上心があり、さらに優れたスキルを持った選手なら、うまくいかない時期があっても何の問題もないんだ」
マンチェスター・シティはジェズスの前所属チーム、パルメイラスとの移籍交渉を成功させ彼を見事にチームの一員として迎え入れることに成功した。他のチームに移籍する可能性もあった中でマンチェスター・シティを選択してくれたことは指揮官にとっても喜ぶべきことであったようだ。
「我々がジェズスの獲得を決めたとき、既に多くのチームも獲得に乗り出していたよ。でも、彼はここに来ることを決めてくれた。ジェズスがその選択をしてくれたことを我々はとても嬉しく思ったよ。もし彼がもう1年、あるいはもう半年ブラジルに留まっていたら、その時は毎年のようにチャンピオンズリーグに出場しているようなヨーロッパのビッグクラブと契約していた可能性もあったかもね。でも彼はマンチェスター・シティの一員となることを決めてくれた。私はそれを誇りに思い、これからも喜んで彼の成長の手助けをしていきたいと思っているよ」
とは言え、ジェズスに先発メンバーの座が保障されているわけではない。特にポジションを争っているセルヒオ・アグエロはリーグでここまでに18得点を挙げ、ウイングのラヒーム・スターリングは7得点、レロイ・ザネは5得点を挙げている。要は、好調とはいえ彼のポジションにとって代わる選手はたくさんいるということだ。
さらに、グアルディオラは来シーズンも複雑なパスサッカーを続ける意向だが、今シーズンの戦い方に満足をしておらず、ゴール前で完璧に仕事をしてくれる強力な選手が必要だと感じている。そのため今夏の移籍市場ではそのポジションの補強をすることが確実視されているのだ。
それが決定的になったのは、チェルシーとの試合で敗北を喫した際にグアルディオラが残した言葉だ。彼はこの日の敗北の理由をこう語っていた。
「我々がホームで勝てない理由？ それはゴールが奪えないことだ。とてもシンプルな理由だよ。サッカーにおいて最も難しいことはゴールネットにボールを入れること、つまりゴールを奪うことなんだ。速さが欲しいのであれば、足の速い選手を買わなければならない。同じように、ゴールが欲しいのなら、ゴールを奪える選手を買わなければならない。そういうものさ」
現在マンチェスター・シティは20勝9分6敗でリーグの4位につけている。チームの総得点は70点と上位チームと比べ謙遜ない数字ではあるが、ここからさらに上を目指すためには得点力をより上げることを指揮官は重要としているのだろう。
今後の移籍でさらにジェズスのライバルとなり得る選手が出てくることは間違いない。しかしそんな状況でもジェズスはきっと動じないだろう。なぜならトッププレーヤーとはそういうものであるからだ。