Tomi Juric Australia v Saudi Arabia World Cup qualifying 08062017Getty

オーストラリア代表が3-2-4-1で成功する方法…豪記者が見るサッカールーズの現在地とは?

アンジェ・ポステコグルー監督による思い切った決断がない限り、少なくともコンフェデレーションズ・カップにおいては、サッカールーズは物議を呼んでいる3-2-4-1のフォーメーションで戦うことになるだろう。

野心溢れるポステコグルーは、いずれにしろオーストラリア代表のパフォーマンスを高める必要がある。ドイツ、カメルーン、チリといった強豪から勝ち星をあげるチャンスをつかむため、フォーメーションをどのように修正して大会に臨むのであろうか。

純粋なウィングバックタイプの選手がいない状況ながら、3枚のディフェンスラインと左右のウィングバックを置くフォーメーションの妥当性についてはディスカッションされるに値するトピックの一つであるが、実のところポステコグルーは評論家やファンに対して決断を変える意思がないことをすでに表明している。

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では、ポステコグルーがロシアに連れていくメンバーと、そこから漏れた選手たちについて見ていこう。それを見ると、改めてオーストラリアの選手層の薄さが露呈される。コンフェデレーションズ・カップの開幕を目前に控えて23人の変更はできないという前提で、『Goal』ではポステコグルーがロシアの地でポジティブな変化をもたらすことのできるいくつかの側面を示していこう。

ミリガンのディフェンスライン起用

慢性的な股関節のケガによりキャプテンのミル・ジェディナクがサッカールーズのメンバーから外れざるを得なかった状況で、ポステコグルーはおそらくチームにマーク・ミリガンが2人いればと願っているのではないだろうか。もちろん、そんな絵空事を考えたのは一度ではないだろうが。

ポステコグルーの下、ミリガンはオーストラリアのダイナモと化したようにピッチのいたるところに顔を出し、危険を察知し火消しをするようなプレーを見せている。

31歳のミリガンは火曜日に行われたブラジルとのフレンドリーマッチでは中盤でプレーしたが、彼の優れた守備力とパス能力はサッカールーズの3バックにおいて重要な役割を果たすことができるはずだ。

GFX Socceroos 3-2-4-1 formationGoal

過去4戦で見せた3バック全体のパフォーマンスは、クオリティの低さを露呈。昨年10月以来わずか1試合しか所属クラブでプレーしていないトレント・セインズベリーのみがそのポジションにフィットしている様子であった。

もしマシュー・スピラノヴィッチとリス・ウィリアムズの二人のコンディションが良ければ、相手チームの高い位置からのプレスに屈すことなく中盤にパスを供給することができるだろうが、ベイリー・ライト、ライアン・マクゴーワン、ミロシュ・デゲネクの3人にはそれが難しかった。

ブラジル戦での最初の失点は、ディフェンスラインからの縦パスがブラジルの前線からのプレスにひっかかり、そこから奪われたもので、3-2-4-1システムの崩され方の典型のようなものであった。

多くの人々はミリガンが守備的ミッドフィルダーとしてジェディナクの役割を代わりに担うことを期待していることだろうが、彼は最終ラインでプレーしたほうがサッカールーズを救うことができるのではないだろうか。

Bailey Wright Australia v Brazil Friendly 13062017Getty

守備的MFが担うプレスの重要性

3-2-4-1のフォーメーションがピッチの中央に密集をもたらしながら、ここ2週間に行われたブラジル戦とサウジアラビア戦でのそれぞれの最初の失点が中央のエリアを使われている。これは見過ごしてはいけない事実であり、注目しなければならない。

先週アデレードで行われたサウジアラビア戦ではジェディナクとアーロン・ムーイの2人が中盤の底でプレーしたが、最初の失点の場面では、サウジのスローインから始まった場面で、中央でボールを受けたサリム・アリ・ドサリを捕まえることができず、最後はモハメド・アリ・サラウィとのワンツーからゴールを奪われた。

ドイツ、カメルーン、チリを相手に、現在の3バックに対してより手厚いサポートを供給するためにポステコグルーは、中盤にはより運動量が多く、相手を潰すことのできる選手の起用を優先させるべきである。

例えば、私はマッシモ・ルオンゴを推したい。2015年のアジアカップでプレーメーカーとしてブレイクしたルオンゴだが、本来は中盤の深い位置でプレーする選手であり、所属のQPRでは守備的ミッドフィルダーのレギュラーとしてプレーしている。

ジャクソン・アーヴィンも中盤にエネルギーをもたらすことのできる選手であり、守備的な役割でのプレー経験も豊富である。また国際試合での経験も、ジェディナクの離脱により追加でサッカールーズに招集されたジミー・ジェッゴー以上のものである。

アーヴィンとルオンゴを3バックの前に置くことのもう一つのメリットは、現在26歳でこの代表チームにおいてキャリア最高ともいえるパフォーマンスを見せているムーイをより高い位置でプレーさせることができることだ。

Massimo Luongo Australia v Brazil Friendly 13062017Getty

わずかな変化がバランスをもたらす

ブラジル戦では、センターフォワードのティム・ケーヒルの脇にセカンドストライカーとしてロビー・クルーズを起用するというマイナーチェンジを試みた。その2人を前線に起用することは得点を奪うためには有効なオプションであり、ウィングバックのポジションを少し深い位置に取らせることでワイドのポジションの2人にかかるプレッシャーを軽減することができる。さらには、全体のバランスが良くなることも期待できる。

GFX Socceroos 3-4-1-2 formationGoal

クルーズとケーヒルはどちらもトミ・ユーリッチのパートナーとして起用されることになるだろうが、相手ディフェンスラインの裏に走り込むことのできるジェイミー・マクラーレンとユーリッチを一緒にプレーさせるというのも興味深い。

メンバーの中に純粋な右サイドバックがいないため、ポステゴグルーが望むとしても伝統的ともいえる4バックで戦うことは現実的ではない。

しかし、4枚のディフェンダーでピッチの幅をカバーするという考え方をすれば、純粋な左サイドバックであるアズィズ・ベヒチを左サイドバックとして起用し、右サイドアタッカーのマシュー・レッキーにワイドな位置を常に取らせるようにするなどで、バランスは多少悪いが4-2-3-1のフォーメーションを採用することはできるかもしれない。

GFX Socceroos 4-2-3-1 formationGoal

先週メルボルンで行われたブラジル戦でのアルゼンチンがまさに似たような形でプレーしており、アルゼンチンは左ワイドにアンヘル・ディ・マリアを置き、ディ・マリアは右サイドのホセ・ルイス・ゴメスに比べ、かなり開いたポジションでプレーしていた。

その形でプレーするならばベヒチにはサウジアラビア戦やブラジル戦よりも、より守備に重きを置いたプレーが求められるが、それによりミリガンを中盤センターで起用でき、また左サイドのアタッカーにはジェームズ・トロイージを置くことで、トロイージには中に絞ってトム・ロギッチなどとの連携も期待できる。

結論

ポステコグルーが選んだメンバーに関して様々な意見はあるだろうが、残念ながら世界中を探してもオーストラリア人選手で現在のメンバーのポジションを奪い取れるような選手はほとんどいない。

一方で、2014年のワールドカップで全試合に出場したシドニーFCのセンターバック、アレックス・ウィルキンソンがメンバーに入っていないのは不思議ではある。

Alex Wilkinson Australia v Netherlands World Cup 18062014Getty

オランダのスパルタでプレーするクレイグ・グッドウィンも人気のある選手であり、ベヒチやケガで選出から漏れているブラッド・スミスとともに左サイドのポジションを争うべき選手である。しかし、現状ヨーロッパの主要リーグでそれほど多くのオーストラリア人選手がプレーしているわけではない。

それゆえに、ポステコグルーは現在のメンバーを活用せざるを得ないのだ。

3-2-4-1のフォーメーションで戦うことの是非については多くの議論がされていることではあるが、多少の変化を加えれば、ここからの2週間、ロシアのソチ、サンクト・ペテルブルグ、そしてモスクワで行われる試合でオーストラリア代表は優れたパフォーマンスを発揮することも可能なはずだ。いや、『そう信じさせて欲しい』のほうが正しいのかもしれない。

文=マイケル・ヒューゲニン/Michael Huguenin

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