ようやく発せられた“メッセージ”…C・ロナウドの「契約延長を望んでない」発言の真意とは

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チャンピオンズリーグ・トッテナム戦後に「契約延長を望んでない」と語ったクリスティアーノ・ロナウド。このタイミングでの発言の真意はどこにあったのだろうか。

レアル・マドリーが危機に陥っている。それは最近の試合結果からだけではなく、「ウェンブリー・スタジアム」でメディアに向けて発言したジネディーヌ・ジダン監督、ナチョ・フェルナンデス、セルヒオ・ラモス、クリスティアーノ・ロナウドといったチームのメンバーから垣間見える態度や素振りからも伺えることだ。チームの7番を背負うC・ロナウドは普段、ミックスゾーンではほとんどメディアの問いかけに耳を貸さない。何らかの機会や特別な理由がない限りは――。

■「契約更新を望んでない」という発言の真意とは

10月31日のウェンブリー・スタジアム。C・ロナウドは、“ロス・ブランコス"を代表してチームに起きていることをファンに説明することを望んだ。それは必要なことだった。そしてこのポルトガル人は、いつものようにはっきりと語った。言い淀むことなく、滑らかに。

「たとえ5試合に負けたとしてもチームにクライシス(危機)はない。みんないつもすぐに忘れてしまう。我々は戻ってくる。レアル・マドリーはほぼ全試合勝利で終えるんだ。メンバー構成が悪くなったわけじゃない。ただ、経験が少ないのは確かだ。僕は自分のゴールが少ないことについてはとても落ち着いている。残してきた数字はすぐに見られる。“クリスティアーノ ゴール"とGoogleで検索すれば、すべて出てくるさ」。レアルが直面しているクライシスに関するC・ロナウドの言葉には、耳を傾ける価値があるだろう。

しかし、チームが陥っているこの例外的な事態について語ったのと同じ場で、自身の契約についてC・ロナウドが発した内容には多くの人が驚かされただろう。「僕はレアル・マドリーとの契約更新を望んでいない。今の契約にとても満足している」

この言葉は、文字通りの意味以上でも以下でもない。

Cristiano Ronaldo Real Madrid

一見すると、この発言はC・ロナウドのレアルに対する何らかの不満の表明であると誰もが感じるかもしれない。しかし、次の移籍に向けた扉が開きつつあるのかどうかは誰にもわからないことだし、この発言をクラブとの決別前の怒りの表明のように受け止めるのはあまりに安直である。確かに、脱税疑惑で捜査対象となった今年の夏、C・ロナウドがスペインから出て行きたがっているといううわさがポルトガル方面から流れてきた。しかし、選手自身はクラブに対して内部で揺さぶりをかけるようなことは一切しなかった。むしろその逆だ。今夏にこのポルトガル人の退団可能性が高まっていると報じられて以来、“水"はより落ち着いた。教会の聖水盤ほどではないにせよ、少なくとも荒れ狂ってはいないのだ。今回の発言も、現在の落ち着いた状況を裏付ける方向にあると考えることができる。

■ようやく発せられた“メッセージ”

今から約1カ月前、これもチャンピオンズリーグの試合後でのことだったが、C・ロナウドはポルトガルから流れてきた退団のうわさを否定した。それ以降、メディアに対して事実上ほぼ何も語られなかった。状況に少しだけ平穏が訪れた。

そして今回、契約更新を望まないと語ったことは、この夏にマドリディスタの間に出回った数多くの憶測、そして、脱税捜査の結果如何によっては当局から課されることになるかもしれない制裁金をクラブが肩代わりする内容を含めた新契約を取り交わすといううわさについても、これを公式に否定したように考えることができるのだ。制裁金をクラブが支払う例は、公になる・ならないに関わらず他のクラブでも実際に発生した出来事だし、その可能性について検討するのはおかしなことではない。しかし、C・ロナウドは今の契約に満足しているとして、これを否定した。これでさらにもう少しだけ平穏が訪れたのではないだろうか。

一方で、今からほんの1年前にC・ロナウドがレアル・マドリーとの契約を更新したのは確かな事実だ。皆が全力でその時機、タイミングを図っていた。クラブの役員室では、もうずっと以前から、時宜を得ないタイミングでの契約更新は機能しなくなっている。それはクラブにアプローチや契約の認識がないわけでもなく、ましてやそのイニシアティブが欠けているわけでもない。すべては正しいタイミングに適切な形式で取り交わされるのだ。

契約を更新したばかりの今年は、まだそのタイミングではない。また、クラブの長い歴史の中でも深刻なクライシスにあることがウェンブリーで確認された直後というのも、何かを要求する最良のタイミングとはいえない。それはC・ロナウドもよくわかっている。

以上のことを考えれば、レアル・マドリーとの契約更新に関するC・ロナウドの今回の発言は、彼がクラブと距離を置くという主旨ではなく、むしろクラブと近い距離にいるという意味合いのように受け取れる。

ポルトガルから届くうわさがマドリディスタの間に広がるのを静観しながら沈黙を続けた今夏を経た後、今回の発言はようやく発せられたC・ロナウドからのメッセージとして受け止めることができるし、クラブと選手の間にお互いに対する興味、関心が再び生まれたようにも見える。クラブと選手の調和。それはまさに、今夏にリスボンのメディアによって決して好ましくはない報道がなされる前、すべての人がそこにあると思っていたものである。

文=アルベルト・ピニェイロ/Alberto Piñero

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