――ナーゲルスマンさん、まずは数日前、ルーカス・クロスターマンがライプツィヒと契約を延長しました。この結果にはさぞかし満足されたことと思います。
契約を延長してくれてとてもハッピーだよ。この契約延長はとてつもなく重要なことだった。彼を獲得したいと思っているクラブがいくつかあったんだ。バックラインの左でも右でもプレーできるし、サイドバックでもセンターバックでもプレーできるから、驚くべきユーティリティプレイヤーなんだ。ディフェンス面でのクオリティはとても高く、スピード、デュエルの強度、ヘディングの強さも申し分ない。それに、彼の競技面の成長もだ。これもシーズン当初に比べて高いレベルにある。しかし、彼にはまだ伸びしろがある。彼ほどの運動量があれば、もっと勇敢に戦うこともできる。私は彼の助けになれるし、数パーセント引き上げることができる。おそらく、彼自身がまだ成長の余地があると思っていて、チームとしても成長したいと思っているからこそ、契約を延長したのだろう。
ここ数年は、ポゼッション時のことについてはあまり注力していなかった。彼が成長していることで、チームのこの面に非常にフィットするようになった。ルーカスは私たちにとってとても重要な選手だ。ピッチの上でもロッカールームでも、チームを一つにできる存在だ。あまり口数は多くないが、威張らずに誠実に働ける存在は組織にとって重要なんだ。こういう持ち合わせた性質があるからこそ、他のクラブが彼に興味を持っているんだ。だから彼が2024年までクラブに残ってくれて、進む道を共にしてくれることは嬉しいことだよ。
――監督の立場から見て、リーグ再開まであと1週間の準備期間があったほうがよかったでしょうか?
監督としては、準備期間が長いことはいつだって素晴らしいことだね。けれど、どのクラブも7月から3月までにトレーニングを積む機会はあったわけだ。CLやELに出場するチームはそうではないかもしれないが、私たちには6、7、8週間の準備期間があった。もちろん、フィジカルが戻っているかどうかは問題になってくる。けれど、どのクラブも状況は同じだし、機会は均等になっている。準備期間の違いはあっても2、3日だし、あるクラブが6週間みっちり練習することを許されたのに、他のチームは3日しかできなかった、というような状況にはなっていない。土曜日に100%の状態になっているチームはないと思うけれど、どのチームも同じだ。だから機会は平等だね。DFL(ドイツサッカーリーグ)は再開に向けて私たちが守るべきガイドラインをしっかり打ち出してくれた。だから、リーグが可能な限り早く再開することは嬉しいことなんだ。
Imago Images――直面したことのないこの中断期間中、監督として特に直面した試練はありましたか?
ロックダウンの期間が特に試練だったとは思っていないよ。28歳のとき、降格圏にいるクラブ(ホッフェンハイム)を引き受けたときのほうが精神的にもっとチャレンジングだったね。それより、私たちの感情を高ぶらせてくれる存在、つまりサポーターがいないところで今後試合をしなくてはいけない。それについて選手に心の準備をさせなくてはならないよ。この状況は、トレーニングを小人数のグループに分けて長時間やらなければいけなかったここ数週間と同じくらい特別な状態だ。だが、一から準備を始めるわけではない。たくさんのセッションをしてきたし、それ以前にもたくさんの試合を経験して全員が同じ方向を向いて成長することができた。ただ、全員が影響を受けていて全員が同じ状況にいるが、模範的に行動しなければならないことも真実だ。けれど、監督の仕事とはいつだってこうしたものなんだ。これはチャレンジだが、これまで経験した中で最大のチャレンジというわけではないね。
――個々の選手について心配事はありましたか?
今はないけれど、パンデミックの初期にはあったね。会話をしたがっていた選手がいくらかいて、それがどれほど危険かと意見を求めに来たんだ。何が正しくて何が正しくないのか、誰もわからず、中途半端な知識しかないことがたくさんあって、それが危なっかしかった。だから、自分の意見を述べて、選手たちを正しく導くことは綱渡りのようだった。誇張したりもしたくないし、芝居がかった物言いもしたくない。選手たちの不安や心配を少し和らげてやることができたのは、メディカルだった。ちょっとした心配があるのはいつだっていいこと。そうすれば、もう少し規律正しい生活をして、ルールを守ることができるかもしれないからね。
――まだ自粛状況でのトレーニングは続いていきます。これについてお話いただけますか?
基本的には、夏のトレーニングキャンプみたいな状態だね。試合に向けて準備をしようという段階だ。フライブルク戦だけではなく、その後の試合についてもね。普段どおりのトレーニングになるが、選手たちはここ(宿舎)で寝泊まりすることになる。楽しいプログラムでは全くないし、選手たちはずっと忙しくなるかもしれない。もちろん宿舎にはビリヤードやダーツがあるし、部屋にはプレイステーションやテレビもある。だから牢屋にいるような状況にはならないよ。普段よりはもう少し多く振り返りの時間を設けるが、毎晩ディスカッションや映像確認に使うわけではない。彼らは十分大人だから、2、3時間くらい自分自身で管理できるよ。
――選手たちの負傷のリスクが非常に高くなるおそれについてですが、特に今回のように急に強度の高い動きをすることになることについてはどう思いますか?
イングリッシュウィーク(2回以上試合がある週)に慣れていないチームにとっては非常に問題かもしれないね。それに、少人数のグループでしかトレーニングができなかったし、ボールを使うだけで人が集まることになってしまうからね。運動すること、距離を走ることはできたけれど、チーム練習や普通のゲームではなかったのは確かだ。けれど、選手たちは全く運動していない状態から試合を始めるわけではない。今週のうちにもう少し調整する必要はあるだろうけれどね。けれど、他のチームやコーチングスタッフたちもそういう工夫はできる。サッカーでは常に一定の負傷のリスクはあるものだ。「普通の」マッチデーであっても一人や二人はケガをしてしまうもの。だから、もしそのようなことが起こったとしても、すべてのケガを準備期間が短かったせいにすべきではないと思う。
――ケガのリスクに伴い、1試合の交代人数の上限が5人に変更となりました。監督としてどのように適応しますか?
コロナ禍の影響があってもなくても、チームにはパフォーマンスに満足いかない選手が何人かいるものだ。だから全く問題ないよ。むしろ僕が恐れているのは、この措置が戦術的に利用されすぎないかということだ。最後の10分で5人を替えてただ時間を稼ぐようなことは僕の性には合わないね。選手を守る目的や、監督として介入するオプションを増やすために使うような合意があるとしたら、理屈に合うと思う。しかし、83分に1-0のリードを守りたいがためにそれを使うのだとしたら、私は同意できないね。
――経験豊かなプレイヤーが1人以上いるチームが無観客試合の恩恵を受けるもしれないと、あなたは以前におっしゃっていますね。なぜですか?
観客がいない試合では、普段とは違った方法で自分をコントロールしないといけない。これはコーチングの観点の話だけれど、もし選手が様々なシチュエーションを経験していれば、その経験から得た素晴らしい教訓を活かすことができるし、近くでプレーする選手、特に若手をサポートすることもできるだろう。そういう試合では、ピッチでの巧みなコーチングが試合を左右するんだ。しかし、長い目でみれば(※選手の経験の差によって生じる影響も)小さくなっていくことだろう。そして同時に、若い選手が成長するチャンスでもある。今の状況はこう判断するべきだ。これはリスクじゃない。いいチャンスなんだ、とね。
■無観客試合の影響
Getty Images――この数週間、コロナ禍を通じてたくさんの変化がおこりました。しかしリーグの順位だけは変わりません。今の3位という順位をどう評価していますか?
非常にエキサイティングだ。後ろに全く余裕がなく、前には少し距離が開いている。我々にとっては素晴らしいシチュエーションだ。中位の中途半端なところにいたとしたら、無観客で感情をコントロールすることは2倍も3倍も難しかったかもしれない。しかし、まだ対処のしようがある。まだ挑戦を続けたいと思うし、CL出場権を得たいと思っている。今でも目標はトップ4だ。だから今の順位は非常によい状況だと思っているよ。
――中断明け最初の相手であるフライブルクの対策についてはどうでしょうか。中断期間を経て変わったことはありますか?
ちょっと奇妙な感じになった。中断前にはすでにフライブルク戦のプランを立てていたのだが、当時はまだ無観客試合で続行する可能性があると思っていたし、それを想定してスタジアムでトレーニングしたりもしていた。今となっては、その当時のプランを単純にそのまま実行すべきなのか、修正すべきなのかという問題に直面している。もちろん、相手の新しい映像があるわけではないし、フライブルクのサッカーが大きく変わっていることもないだろう。ただ、初戦では、どんなフォーメーションで相手が来るのかわからないものだ。だから、以前のスカウトの結果に従うことになると思う。そして、試合の成り行きによって調整していくことになるだろうね。
――試合中のコーチングのやり方は変えることになりますか?
私はとても「アグレッシブに」コーチングするタイプだし、選手たちに聞こえるように大声で叫ぶタイプの人だ。だから確かに変えなくてはいけないね。しかし、今すぐそれができるかどうかと言われたら、それはクエスチョンマークだね。もちろん頭には入っているよ。私のコーチングは無観客だと、選手にはちょっと恐ろしすぎるだろうからね。だから、ガイドラインに収まるようにやってみようと思うよ。
――長い中断開けすぐの初戦ですが、あなたのチームについてはどう感じますか?
トレーニングでは、やっとプレーを再開できると喜ぶ子犬がたくさんいるみたいになっていたよ。彼らはアスリート集団であり、みな喜びでいっぱいのようだ。
――クオリティの低下の恐れがある中、どのようなサッカーに調整していく必要があるでしょうか?
スタジアムでサポーターがいつも気持ちを湧き上がらせてくれることは、とても特別で重要なものだ。サポーターがいないのは寂しいし、またスタジアムで会えることを楽しみにしている。今は自分自身を鼓舞することになるが、何百万人がテレビで試合を見ていることに気がつく時だ。いや、他のヨーロッパのリーグはまだ再開していないから、それ以上の人が見ているかもしれない。時折、テストマッチのような雰囲気が出てきてしまうかもしれない。しかし、そういうときはなるべく早くその状態を脱する必要があるし、良くないことが起こっていることに自分たちが気づかなくてはいけないね。
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