レアル・マドリーに不安はほとんど見られなかった。パリ・サンジェルマン(PSG)との2月14日のファーストレグを3-1で先勝していたロス・ブランコスは、火曜のパルク・デ・プランスでの試合で再びヨーロッパ・チャンピオンとして格の違いを見せつけた。
好調クリスティアーノ・ロナウドがまたしてもPSGにダメージを与えた。欧州の舞台で脅威を発揮するストライカーは今季チャンピオンズリーグのグループステージだけで9ゴール。ウナイ・エメリ率いるPSGとのラウンド16でも、重要な第一戦で2得点を挙げていた。
一方のPSGは初戦の黒星、そしてネイマールの負傷離脱でチームの立て直しを強いられるという厳しい状況だったが、ポジティブなメッセージで団結を促した。「ともに戦おう、僕たちならできる」と。
だが不運なことに、マドリーもまた自分たちを強く信じていた。おそらくパリの選手たち以上に。パリではマドリーの選手たちを寝かすまいとPSGの一部のサポーターが夜遅くにホテル前で騒音を立てるなどの妨害行為を行い逮捕者まで出た。さらに試合当日のスタジアムでは発煙筒が焚かれ、アウェーチームを飲み込む敵対的な雰囲気が作られたが、大勢に影響を与えることはなかったようだ。

レアル・マドリーはヨーロッパ王者に過去12回輝いている。その理由をこれまでもしっかりと見せつけてきた。ロス・ブランコスの選手たちは簡単な脅しには動じることなく、むしろ逆境のなかで輝きを放つ。同じことがクリスティアーノ・ロナウドにも言える。
そして監督のジダンだ。過去には選手起用に迷いがうかがえる時期もあったが、この試合では自信をもって先発の11人をピッチに送り出した。マルコス・アセンシオやルーカス・バスケスという初戦の勝利に貢献した2人をこの試合でも起用。カゼミーロとマテオ・コヴァチッチと4人で強力な中盤を形成した。ルカ・モドリッチやトニ・クロース、そしてイスコやケガから復帰したガレス・ベイルはベンチで試合開始の笛を聞くこととなる。
そして、この選手起用がピタリとはまる。試合序盤からたたみかけてくるPSGに対してマドリーはハードワークで対応し、得点を許さない。一方、攻撃ではカリム・ベンゼマが前半の数少ないチャンスをものにすることができなかった。
Gettyスタジアムに詰めかけた熱狂的なファンは懸命に声援を送ったが、PSGの逆転は実現しなかった。後半開始早々、バスケスのクロスに高い打点のヘディングでロナウドがネットを揺らす。それまでもバスケスやアセンシオと連携を見せていたエースの一撃でついに均衡が破れた。
この試合でもクリスティアーノがいつも通りやってみせた。彼は今季もCLで最高の輝きを放っており、これが今シーズンのCLで12ゴール目。大会では8試合連続ゴールとなり、ルート・ファン・ニステルローイが2002-03シーズンに打ち立てた9試合連続得点に次ぐ第2位となった。
先月33歳になったばかりのロナウドは、今シーズンの目標を欧州王者に設定している。昨シーズンも決勝トーナメントでバイエルン・ミュンヘン、アトレティコ、そして決勝でユヴェントス相手に重要なゴールを決めてきた。この試合でさらなる金字塔を打ち立てるゴールを決めても何ら不思議に感じる要素はない。
試合終盤、もつれた中から幸運にもボールがエディンソン・カバーニの足に当たり、スコアは同点。しかしマルコ・ヴェッラッティが退場し、10人でのプレーを強いられていたPSGにはもう打つ手がない。
案の定、追加点を挙げたのはマドリーだった。バスケスのクロスをアドリアン・ラビオがクリアミス。カゼミーロが右足を振りぬくとボールはPSGの選手に当たり、GKアルフォンス・アレオラの奮闘むなしくゴールに吸い込まれた。
ロス・ブランコスはクラブ創立116年目となる今シーズン、CL3年連続優勝という夢に向かってまた一歩前進した。そう、彼らはすでにコパ・デル・レイは敗退し、ラ・リーガ優勝の可能性もほぼ消滅している。それでも“Mr.CL“ロナウドのとどまることのない得点能力に導かれ、マドリーは欧州の舞台で勝ち残っている。
文=ベン・ヘイワード/Ben Hayward




