ほろ苦さ残った清武弘嗣&山口蛍…日本代表で存在感を高めるべくJで結果を!/コラム

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(C)Getty Images
アラブ首長国連邦(UAE)代表とタイ代表に勝利を収めた日本代表。2018 FIFAワールドカップ ロシア出場に大きく近づいたが、セレッソ大阪の2人、清武弘嗣と山口蛍にとっては、ほろ苦さが残る連戦となった。いま2人できることは、C大阪で結果を残す以外にない。

3月23日の敵地・アラブ首長国連邦(UAE)で行われた死闘を2-0で制し、28日のホーム・タイ代表戦(埼玉スタジアム2002)に挑んだ日本代表。2018 FIFAワールドカップ ロシア出場権獲得へ、より大きく近づくためにも、連勝が求められた。長谷部誠(フランクフルト)に続き、今野泰幸(ガンバ大阪)、髙萩洋次郎(FC東京)とボランチの離脱者が続出したこともあり、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は所属のハンブルガーSVで今季3分の1程度、この位置を務めている酒井高徳をダブルボランチの一角に抜擢。山口蛍(セレッソ大阪)とコンビを組ませた。

今回、唯一の本職として重責を担った山口だったが、開始早々の4分、酒井高との出し入れから受けたボールを原口元気(ヘルタ・ベルリン)に出そうとしていきなりミス。タイにFKを与えてしまう。6分には山口のクリアが小さくなってCKを与え、その後も酒井高らと挟みに行ってもなかなか相手からボールを奪えないなど、持てる力を出せない。18分には酒井高のサイドチェンジを原口が受け、香川真司(ドルトムント)へとつないだヒールパスに山口が反応し、強烈シュートをお見舞いするが、相手GKに惜しくも阻まれてしまう。このチャンスを決めていれば評価も違っていたのだろうが、この日は90分通して本来の鋭さや輝きを発揮し切れない。そんな印象が色濃く残った。

「蛍のような選手は、攻撃ではさらに期待している。簡単な場面でのパスミスがあったので前半は少し恐れながらプレーしているように見受けられたが、後半良くなった」とボスニア人指揮官は努めて前向きにコメントしていたが、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「今日の蛍は良くなかった」と厳しい言葉を口にした。それは実際にプレーしていた本人が一番よく分かっているはずだ。

今季C大阪でも尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督率いる新体制になったことで、彼の役割も守備第一になり、課題のボール出しに思い切って取り組むことができなくなった。山口自身も「今のチームではいろいろ制約があって自由にならないことが多いから難しい」と吐露していたが、そんなクラブでの日々の積み重ねも3月代表2連戦に出てしまったのかもしれない。長谷部と今野が離脱し、6月のイラク代表戦(テヘラン)も戻ってこられるか分からない状況だけに、背番号16は中盤の柱として確固たる存在を示せるようにならなければいけない。「まだまだハセさんの代わりになんてなれないと思うし、でも自分以外にハセさんの代わりはなかなかいないと思う」と山口本人も自覚を口にしていただけに、今後のJリーグでの奮起を求めたい。

一方、同じC大阪の清武弘嗣も5年ぶりに「国内組」として今回のタイ戦に挑んだ。UAE戦は出番なしに終わり、本人も満を持してこのゲームを迎えたが、またもベンチスタートを余儀なくされた。

「(代表の)トップ下は、(香川)真司君がいて、僕がいてという感じでずっとやっている。もちろん試合には出たいですし、ピッチの上で(彼と)絡みたいというのもありますけど、それ以上にまずはW杯の切符をつかまなければいけない。僕は5~6年、代表にいますけど、こういう気持ちは初めてとかじゃない。出ても出なくても自分が考えているトップ下像と言うか、常にイメージは持ちながら、試合に絡める準備はしていきたいなと思います」と前日の27日に神妙な面持ちで語った通り、清武を香川との競争の厳しさをしっかりと認識した上で、自分にできる仕事をやり切ろうと考えていた。

そんな背番号13に与えられた時間は74分以降の15分あまり。決して長いとは言えなかったが、「監督がボールを失わずに落ち着かせてほしいと言っていたので、それをイメージしながらシンプルにやった」と本人も言うように、まずはボールをしっかり保持しながらリズムを変えるようと試みた。その役割をこなした上で、伝家の宝刀であるリスタートから吉田麻也(サウサンプトン)の4点目をお膳立てする。「キヨのボールはいつもいいんで信頼して飛び込んでます」と新キャプテンもうれしそうにコメントしたが、1アシストという明確な結果が残ったことも清武にとっては大きかった。

とはいえ、昨年11月のサウジアラビア戦(埼玉)ではトップ下で攻撃のタクトを振るい、自らPKを決めると同時に、数々の決定機をお膳立てした男にとって、今回2連戦の出場機会の少なさは物足りなさも覚えたはずだ。香川が所属のボルシア・ドルトムントで復調しつつあるのをハリルホジッチ監督が評価し、2戦連続スタメン起用という判断になったのだろうが、清武にしてみれば、背中を追いかけ続けてきたC大阪の先輩に再び水を空けられる形になったのも厳然たる事実。1月末に古巣復帰を決断し、その後はケガも重なって実戦から遠ざかったことも響いたが、ここから巻き返しを図らなければ、ロシアW杯での活躍も叶わなくなってしまう。

今季C大阪では、まだ北海道コンサドーレ札幌戦、サガン鳥栖戦の2試合に出場しただけで、得点も奪えていない。「4-2-3-1」の右サイドというのは清武にとって良さを出しづらいポジションなのかもしれないが、それでも5シーズン欧州でタフに戦ってきた経験値を遺憾なく発揮して「違い」を見せなければ、代表での序列は変わらない。

欧州から日本に戻るという決断を下した山口と清武にとって、自身を向上させられる場はもはやJリーグしかない。C大阪にタイトルをもたらし、自分も輝きたいという思いは2人に共通している。だからこそ、もっともっと高みを目指さなければならない。Jリーグはドイツやスペインに比べれば球際や寄せの部分で多少劣るところもあるし、屈強なフィジカルを持つ外国人選手も少ない。こうした環境であっても世界基準を忘れずに日々プレーしなければ、国際舞台に立った時にギャップが生まれてしまう。もしかすると今回の2人にはそういう瞬間があったのかもしれない。それを回避すべく、今後のJリーグで細かい部分までこだわって戦うことが重要だ。セレッソコンビのロシアへの挑戦はここからが本番。ここからのJで凄まじいアピールを見せてほしい。

文=元川悦子

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