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なぜ、神戸のチーム状態が向上しているのか?補強だけではない好転の要因

 ヴィッセル神戸は28日、明治安田生命J1リーグ第27節の川崎フロンターレ戦を2-1で勝利。一時は残留争いで厳しい戦いを強いられることも予想されたが、直近5試合で4勝1敗と好調を維持。その不安を払拭し始めている。なぜ、ここに来て神戸のチーム状態が向上しているのか。川崎戦で顕著に表れた部分をスポーツライターの飯尾篤史氏はこう指摘する。

■3バックシステムの安定

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 J1リーグも残り7試合――。優勝争いのカギを握る存在になりそうだ。トルステン・フィンク監督率いる、現在9位のヴィッセル神戸のことである。

 6位のサンフレッチェ広島(28節)、首位のFC東京(29節)、4位のセレッソ大阪(32節)、2位の鹿島アントラーズ(33節)と、上位陣との対戦を残しているだけでなく、そのすべてに勝利してもおかしくないほど今、充実の一途を辿っているからだ。

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 実際、9月28日に行なわれた27節では5位(試合前の時点では4位)の川崎フロンターレを2-1で下し、勝点3をもぎ取った。

 ここに来て、なぜ、チーム状態が向上したのか――。

 「後ろ3枚のフォーメーションがハマっているし、(酒井)高徳や(飯倉)大樹くんとか、神戸のやりたいサッカーにフィットした選手たちが入って来てくれた。これは、すごく大きかった」

 そう語るのは、山口蛍だ。システムは、夏に加入したトーマス・フェルマーレンを3バックの左に、同じく今夏、ドイツから復帰した酒井を左ウイングバックに配した3-3-2-2。フェルマーレン、大崎玲央、ダンクレーの3バックはいずれもビルドアップ能力に優れ、アンカーのセルジ・サンペールを加えた4人でボールを展開していく。

 むろん、そうしたパターンは川崎も分析済み。そこで前線の4人――小林悠、家長昭博、阿部浩之、中村憲剛がマンマーク気味にプレッシャーを掛けに行く。すると、神戸はすかさずGKの飯倉がビルドアップに加わり、数的優位を築いてしまう。

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 「(9月18日に対戦した)天皇杯ではハメられていたので、僕が前に行くことで2対1(飯倉&大崎と小林)を作れると思っていた」と飯倉が明かす。

 リーグ戦3試合ぶりの復帰となったアンドレス・イニエスタの正確かつ意表を突くパスワークも冴えたが、そのイニエスタをストレスなくプレーさせる酒井、フェルマーレン、サンペールらのサポートも見逃せない。なかでも酒井は、イニエスタとのコンビネーションからの突破で何度か川崎の右サイドを破った。

 さらに、先制点を生み出した古橋亨梧の圧倒的なスピード、ワンチャンスを確実にモノにしたダビド・ビジャの決定力も素晴らしかった。

■王者を苦しめたデュエルの激しさ

kobe03.jpg©J.LEAGUE  だが、この日、最もインパクトを受けたのは、神戸のボール回収力だ。

 ボールホルダーに次々と襲いかかる神戸の選手たち。その激しい当たりに、田中碧や阿部は何度かボールを奪われ、中村も苦しんでいた。

 J1連覇中の川崎はボールの回収力に磨きを掛けてきたが、この日に限れば、プレスの速さ、デュエルの激しさは神戸のほうが上回っていた。酒井が手応えを覗かせる。

 「僕が来た当時と今を比べると、みんなの意識が変わってきたのを感じます。僕も『もっと強く行け』と要求しているし、僕が練習中、ウェリントンやトーマスとガチガチやっているのを見て、周りも『あれが必要なんだな』と感じ取っていると思う。Jリーグのいろいろな試合を見ますが、神戸の球際の部分はJでも異質になってきたかなって」

 酒井、フェルマーレン、飯倉の加入によって神戸の戦力が高まったのは間違いないが、もっと大きいのは意識の変化――。これこそが、今の頭を充実させている要因かもしれない。飯倉もチームの変化を説明する。

 「『チームを変えていこう』って高徳、蛍と3人でよく話している。今までは蛍ひとりでやっていたけど、俺と高徳が来て、良い意味で分散できている。いい選手はいっぱいいるけど、それが点と点で、線にならないっていうのがこれまでの課題だった。プロとしての姿勢をチームに落とし込めたら、もっと良くなると思う」

 酒井がチームに加入した23節の浦和レッズ戦以降、4勝1敗の成績を収め、チームは残留争いから一歩抜け出した。だが、「まだまだです。もっとできる」と西大伍が言えば、飯倉も「自分たちがやりたいサッカーはまだ60~70%。もっと効率的にボールを回したい」と力を込める。

 9位という順位に惑わされてはいけない。上位陣にとって今の神戸は、かなり厄介な敵として、目の前に立ちはだかるに違いない。

取材・文=飯尾篤史

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