Liverpool Henderson Milner WijlandumGetty

なぜプレミア優勝争いは前半戦で決着?リヴァプールとシティに存在する「決定的な」差

■タイトル争いの決着

リーグ戦はマラソンに例えられることがある。一発勝負のカップ戦とは違い、毎週末のように違う相手と死闘を繰り広げ、10カ月を通じての総合力を競い合う。悪天候、ケガ人、出場停止。様々な困難を乗り越えた末にゴールテープが見えてくる。だから最後まで何が起こるか分からない。

しかし、今シーズンに限っては、折り返し地点で勝負が決まってしまった。赤いゼッケンの選手が、ペースメーカーをぐんぐん引き離し、後方集団が見えないほど独走したのだ。それでも、個人競技のマラソンならば、よもやのアクシデントがあるかもしれない。だがフットボールは違う。誰かにアクシデントが起きても味方が補ってくれる。さながら42.195kmのチーム戦だ。

だからリヴァプールの30年ぶりのリーグ制覇は、年を越さずして決まってしまった。いくらユルゲン・クロップ監督が周囲の声に「耳を貸さない」と優勝を認めなくても関係ない。誰がなんと言おうと、タイトルレースは決着がついたのだ――。

■昨季からの変化は…?

Fabinho Liverpool 2019-20

12月26日のボクシングデー、リヴァプールは2位に着けるレスターを4-0で粉砕した。これで2位以下に13ポイント差をつけたことになる。同時期のリードとしては、プレミアリーグのタイ記録だ。この状況からタイトルを逃したクラブはない。

131年のイングランドトップリーグの歴史において、クリスマス時に勝ち点10以上リードしたクラブがタイトルを逃したのは1回だけだという。1995-96のニューカッスルがそうだ。しかし、今のリヴァプールが躓く姿なんて想像できない。

今季の彼らは非の打ちどころがないのだ。昨季は、わずか1敗で97ポイントを稼ぎながら2位に甘んじた。その一方で、欧州の頂点に登り詰めた。では、昨シーズンから何が変わったのか? 実は、大して変わっていないと思う。だが、それが凄いことなのだ。欧州王者の基準を維持しているのだから。

今シーズン開幕前、ユルゲン・クロップ監督は「誰も教科書をくれない」と話していた。チャンピオンズリーグでの成功の上にあぐらをかかない術は、自分たちで学ぶだけと説いた。だから慢心せずに高いインテンシティーを維持している。選手たち自身にも、特段に変わった感覚はないはずだ。それでも対戦相手に与える威圧感は増す一方である。

ヨーロッパ王者の威厳や自信と言ってしまえばそうだが、その自信のおかげで攻守のメリハリがより際立ったと思う。その結果、あまり目立たなかった選手も脚光を浴びている。今の彼らは攻勢をかけた際に躊躇がない。両サイドバックが同時に得意のオーバーラップを仕掛けるので、守備は手薄になる。それをカバーするのが、シーズン序盤戦はMFファビーニョだった。穴を埋めてボールを奪取するだけでなく「ボールを持たせても優秀」と監督に言わしめたMFは、11月にケガで離脱するまでMVP級の活躍をしていた。さらに、クラブワールドカップではGKアリソンが好セーブを連発して存在感を見せつけた。

■シティとの決定的な差

Liverpool 2019-20Getty

この総合力に勝るチームはいないのだ。対抗馬となれる唯一のチームがマンチェスター・シティだったが、既に14ポイント差が開いている。もちろん、リヴァプールが残り20試合で「15勝1分け4敗」や「14勝3分け3敗」の成績ならば、計算上はシティにもチャンスが生まれる。その場合はシティの全勝、もしくはそれに近い成績が絶対条件なのだが、今の彼らにそれは期待できない。

今季も1試合平均2.11ポイントを稼いでいるチームに対して適切な表現かは分からないが、前半戦のシティは不振に陥った。その原因は、色々なところで指摘されているようにセンターバックにある。夏にヴァンサン・コンパニが退団し、アイメリク・ラポルテも8月にケガで離脱した途端、歯車が狂い始めた。

そもそもペップ・グアルディオラのチームは常に主導権を握ろうとするため、カウンターを受けるリスクがある。センターバックが一対一の守備を強いられる状況が生まれるため、ニコラス・オタメンディや中盤からコンバートされたフェルナンジーニョでは荷が重い。それならば、サイドバックとボランチの絞りを調節すべきだが、目まぐるしく変わる状況に対応するのは“シティには”難しいようだ。

では仮に、リヴァプールがDFリーダーのフィルジル・ファン・ダイクを欠いたらどうなるだろうか? 確かに痛手だが、シティほどは苦しまないと思う。そこが決定的な差なのだ。両チームにはリーダーシップに圧倒的な差を感じる。

リヴァプールの選手たちは、どの局面においても自分がリーダーとなって対応できる。クラブキャプテンはジョーダン・ヘンダーソンだが、ファン・ダイク、アンドリュー・ロバートソン、ナビ・ケイタなどは各国の主将だ。トレント・アレクサンダー=アーノルドはユース年代で、ジョー・ゴメスはU-21代表で、アダム・ララーナはサウサンプトンでキャプテンを任されていた。ピッチの至る所にリーダーがいるのだ。

だから彼らが崩れることは考えられない。それに、もし本当にリーグ戦がマラソンならば、リヴァプールは給水にも成功したのだ。それも単なる水分ではない。ザルツブルクから南野拓実という“翼が生えそうな栄養ドリンク”を。

文=田島大

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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

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