Gerard Pique Spain Italy WC QualifiersGetty Images

なぜピケはスペイン代表でプレーするのか?ラ・ロハへの強い渇望と制裁の重さ

カタルーニャの独立騒動によって、バルセロナに所属するスペイン代表DFジェラール・ピケは、一躍渦中の人となった。かねてより、カタルーニャのスペインからの独立を支持してきたピケは、一部のスペイン人から大きく、そして耐え難いほどの批判を受けている。

それでも基本的には、ピケはスペイン代表でプレーを続けるだろう。なぜならピケ自身がそれを望んでいるからだ。このセンターバックは自身の望む人生を歩む人物であり、自身がいたいと思うところ、つまり16年前に“ラ・ロハ”のシャツを身にまとったときから自分の家のように感じている場所に、すでにいるのだ。

ピケはほぼ半生を代表で過ごしたからこそ、1日日曜日に涙をこらえることができなかったのかもしれない。インタビューでは「もし僕が問題となるならば、2018年よりも前に代表を引退する」と語ったが、“約束”を守らなかった場合、一部のファンからのブーイングはさらに過熱することになるだろう。

しかし、ピケは続けたがっている。それは揺るぎない事実だ。彼が批判を物ともしない図太い神経を持つ人間であるためではない。競うーそして勝つ、2010年と2012年のような記憶は、みすみす失うにはあまりにも魅力的すぎた。スペイン代表からの引退は、ユーロやワールドカップでプレーをする選択肢、そして最高の喜びを味わう可能性を失うことを意味する。カタルーニャ代表は公式ではないし、こうした大会に参加することはできない。過去にはペップ・グアルディオラのように国家の感情がスペインにはなかったにも関わらずプレーすることを選んだ選手がいたし、オレゲール・プレサスの様にそれを拒否した選手もいた。

また、代表引退は様々な方面へ重大な影響を及ぼしかねない。スポーツ法10/1990は、「国際的な性質を持つ大会に参加するために国の代表選手として招集を受けた連盟のスポーツ選手は、これに参加しなければならない」と定めており、予測される制裁はあらゆるプロ選手を怖れさせる。

同法76条では「スポーツ選手による正当化されない代表への不在」は制裁の対象となる“重大な違反”であると定められており、同じく79条では「犯された違反行為に対しては、一時的もしくは永久的な連盟ライセンスの失効、停止、剥奪」を伴うとされている。これらの条項を踏まえれば、もしあるプロ選手が引退を望む場合、その選手は選出者との合意を取り付ける以外に方法はない。つまり、対話だ。ピケはこれまで対話を行おうとはしなかったが、それはつまるところ、自分のいたいと思うところにいるからなのである。

ピケの涙を疑うものは多くないが、一時的な感情の高ぶりで決断することは誰の得にもならない。カタルーニャが独立したとしても、スペイン代表は全サッカー選手にとって魅力的な場所であり続ける。それこそが、ピケが今後も“ラ・ロハ”でプレーを続ける大きな要因の一つとなっても、何ら不思議はないだろう。

文=イグナシ・オリバ/Ignasi Oliva Gispert

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